第7話 複写スキル
鉱山から帰り、収納内を確認したところ、鉄が大量に確保できた。それ以外にも金、銀、銅、ニッケル、マンガン、チタン等、希少な金属も手に入った。
「これは凄いな……」
早速、剣を加工スキルで作ろうと思ったが、何か見本があった方がいいな……
「二人とも武器を貸してくれる」
「いいわよ」「いいぞ」
まずは剣だ。テネシアの剣を見ながら、試しに一本【加工】してみた。外見上はそっくりだ。
「性能はどうかな……」
テネシアが元の剣を、イレーネが加工して作った剣を持って互いに剣をぶつけてみた。そうすると明らかに加工して作った剣の刃こぼれが酷い。
「これじゃ使えないな……」
見た目は同じでも性能に違いが出てしまった。武器の場合、ほんの少しの性能差が命取りになってしまう。劣化は許されないだろう。
「どうしたらいいだろう……」
と、その時、頭に新スキル獲得のイメージが出てきた。新しいスキルは【複写】だ。先ほどと同様、テネシアの剣を手に持つ、すると剣の内部構造のイメージが浮かんだ。
「よし、【複写】!」
一瞬で同じ剣が作成された。今度は試し打ちをしても刃こぼれしない。これで獲得したスキルは【収納】【転移】【加工】【複写】となった。その日のうちに二人の武器の予備を五セットほど作っておいた。またイレーネは弓を使うので、弓矢も大量に作り置きしといた。
二人とも大変喜んでいた。狩りと護衛の方はよろしく頼むよ。
ただしイレーネの弓の素材は魔物の素材が必要なようで複写(予備作成)が厳しそう。とりあえず情報は転写してるので、壊れた場合の加工(補修)は大丈夫だろう。
翌朝から二人の稽古が激しくなった。テネシアは長剣か槍、イレーネは両手に短剣のスタイルだ。お互いの剣がぶつかり合うが、予備があるので心配不要。そして、狩りの獲物も充実するようになった。また何度も遠出するうちに、この周辺には危険な魔物はほとんど現れず、山の奥側で見かけることも分かった。
食料(獣)はこの周辺、訓練(魔物)は山の奥側というのが最近の行動パターンだ。今のところ、食料調達がメインだけどね。
「次は魔物の素材を確保するか」
そう呟くと、二人の口角がかすかに上がった。
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