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第53話 王城からの呼び出し

「最近、入島希望者が激増してるな」


 もともと入島希望者が増えていたが、最近の増加は半端ではない。ほとんどがウラバダ王国から避難してきた亜人達だ。


「鑑定スキルでどんどんさばきますよ!」


 ミアの明るい声が出る。僕とリミアの二人では追い付かないので、ミアにも鑑定スキルを使用してもらうことにした。僕の【創造】スキルで、鑑定スキルを持てる眼鏡を作ったのだ。こんなレアなスキルまで創造できるのは有難い。前回もそうだが、切羽詰まった状況の方が、必要性が高まり、かえって創造しやすくなるのかもしれない。


 ミアは魔法グッズのお陰で、転移、念話、鑑定のスキル使用が可能となった。逆に僕はミアから、ヒール、ハイヒール、エリアヒールを【転写】させてもらったので、お互い様か。


「しかし鑑定スキルは凄いですね。短時間で確認できます」


 ミアは鑑定なしでずっと審査してたから、その差がより実感できるのだろう。通常なら一人、数時間、下手すると半日かかったりしたが、今なら三十分以内に終わる。ただそれでも入島希望者の増加が多いので、大変だ。領主邸の収容限界もあるから、領地境界から来た人は一時、領主軍の兵舎に待機してもらっている。向こうには水と食料、ミア特製の回復薬と薬草粥があるからカバーできるだろう。おっとテネシアから念話が来た。


あるじ、兵舎の避難民が倒れた)

(分かった。すぐ行く)


~~領主軍・兵舎~~


「倒れてるのは十人ぐらいか……」

「エリアヒール!」


「一人、回復しないな」

「ハイヒール!」


よし、これで大丈夫だ。


「テネシア、兵士達に避難民を大切に扱うよう、言ってくれな」

「わかった」


 横目で見たら、レッドとブルーが兵士達と一緒になって、避難民の対応にあたっていた。人間が亜人を助ける姿を見て、感じ入るものがあったのかもしれないな。


一段落した時、王都の商会本館のメラルより念話が来た。


(今、大丈夫でしょうか?)

(大丈夫だ)

(王都の伯爵邸の執事からで、会長に至急、王城へ来るよう連絡があったとのことです)

(至急?)

(今回はいつもの様子ではなかったみたいです)

(……例の商会襲撃の件かな)

(用件は言わなかったので、何かあると思います……)

(ありがとう。すぐ行くよ)



~~王城・執務室~~


 執務室に行くと、いつものザイス筆頭大臣の他に、ガロル王がいたので少し焦った。悪いことはしてないはずだけどな


「ギルフォード伯爵、早い到着で何より」

「はは! 有難きお言葉を頂き恐縮です」


とりあえず王の挨拶に深く拝礼する。


「よいよい、そなたに聞きたいことがあったのだ」


応接に通され、二人と向き合って座った。すると王が口を開く。


「最近、隣国のウラバダ王国より、多くの避難民が国境を越えて我が国に来ているとの報告があった。中心部に入れなかった避難民は辺境を歩き、どうやらギースに向かっているらしいが、真か?」

「はい、避難民はウラバダ王国の圧政に苦しんで、移住を希望しておりましたので、引き受けております」

「かの国の圧政は耳に届いている。だがギース領内だけでは負担が大きいだろう」

「はい、実はそのために領土を開拓してきました」

「領土とな? あの土地でそこまで許容できたか?」

「王様、実は偶然ですが、無人島を見つけ、そこの土地を利用しております」

「!! 何と申した!!」

「実は以前、まったくの偶然ですが、人が住んでいない島を見つけていたのです」

「……その島に避難民を住まわせてると?」

「はい、まだまだ土地はありますので、十分受け入れられます」

「……念のため聞くが、貴殿は我が国の貴族だな?」

「はい、当然です」

「ということは貴殿が治めるその島も我が国の領地でかまわぬな」

「自分の認識では島はギースの延長で、当然、ロナンダル王国の一部です」

「そうすると、徴税の必要が生じるが……」

「住民のほとんどが避難民で、救済のため、領主が費用を支出してる状態です。開拓の費用もすべて領主が負担してます。しかもほとんどの住民が物々交換で生活してますので、徴税は無理だと思います」

「……なるほどな」

「現状は住民から徴税どころか、領主が開拓から衣食住まで負担しております。国の直轄にしてもかまいませんが、間違いなく大赤字になるはずです」

「なぜ、赤字なのに島の開拓をしているのだ」

「自分は元々商人ですし、今もそうです。しかし商売だけが人生と思っておりません。損得抜きに純粋に皆の喜ぶ姿を見たくて、ここまできました」


「……ザイス筆頭大臣、意見はあるか」

「我が国に来た避難民は最初に中心部に来ましたが、入れさせませんでした。それでギース領に向かったと聞いてますので、言い方は悪いですが、ギルフォード伯爵が泥をかぶった形になります。我が国としても民が増え、領地が増えるのは悪い話ではありません」

「それとギルフォード伯爵は先日、ウラバダ王国の関係者から商会本店の襲撃を受けておりますが、見事に撃退されております。身の危険と引き換えにしても、外国への武器販売を断り続けたのは評価すべきでしょう」

「ギルフォード伯爵、島の運営は貴殿に任せることとし、島の徴税は免除しよう」

「お心遣い、有難き幸せに存じます」

「よし、用件は終わりじゃ。メリッサ姫が待ってるから、行ってやれ」

「はは! これにて失礼致します」


 いやはや疲れた~でも、ガロル王とザイス筆頭大臣が話の分かる方で良かった。良かった。

さてメリッサ王女のところへ行くか。


 今回はメリッサ王女に、商会襲撃者の撃退について、聞かれた。「二十人の男達を素手で生け捕りにした」「眠ったように全員、気を失っていた」「もの凄い体術を使った」等の話が衛兵から伝わったらしい。王女が知っているということは、間違いなく、王や筆頭大臣も知ってるよな。それどころか島のことも実は前から知ってたりして……いや、あの驚き方は本当に知らなかった感じだったし……どうだろね。まあ、自分は自分のやるべきことをやろう。それと今回で、あの島の所属がロナンダル王国になったから、島民にもアナウンスしないとな。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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