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第429話 子供達の進路状況確認

 僕の子供はメリッサとの間に五人、テネシアとの間に二人、イレーネとの間に二人、そしてミアとの間に一人いる。合計で十人だ。う~ん、こうして見ると子沢山だよね。王族にとって跡継ぎが重要なのは義父母(先王夫妻)やメリッサとの話で十分、認識していた。


 跡継ぎが途絶えたり、不明瞭になれば、それだけで王政の運営が立ち行かなくなり、国が混乱してしまうからだ。だから、僕は積極的に跡継ぎ育成には注力してきた。まあ本音で言えば、早く子供達に引き継いで楽をしたいというのはあるけど、子供達が成長して課題を乗り越えていく姿を見るのが何より楽しみなんだ。


 それで、これから子供達と進路状況について、確認をすることにした。それに同じ屋根に住む者同士、情報共有も大切だからね。


先ずはメリッサの子供達だ。


――――

――――――


<王宮・応接間>


僕、メリッサ、ライナス(二十六才)、ミローネ(二十三才)、

アレク(十九才)、レネア(十七才)、シルエス(十才)が揃っている。

こうして並ぶと年の差を感じるよな。


僕とメリッサもアラフィフだし……


 普段は二十代の外見のままなので、あまり年齢を意識してないが、子供の年齢を確認すると自分の年齢も分かるから、ちょっと嫌になるな。ははは。


僕「え~と、それじゃ、進路状況の確認をするぞ。先ずライナスからだな。国王になって順調にやれてるか?」


ライナス「はい。領地分担して頂いて、大分助かりました。でも王領からの細かい補修依頼は相変わらず続いています。一応、代官達には手続きで時間がかかる旨の説明はしましたが、少し不満げなようです」


僕「今までは僕がスキルですぐ補修してしまったからなぁ。この対応の方が異例なんだ。僕の方からも代官達に説明しておくが、お前も手続きの改善をした方がいいな」


ライナス「手続きの改善ですか。確かに役所の手続きは時間がかかりますが、あれはあれで必要なことですし……」


僕「例えば、生活に必要な橋が壊れた場合、すぐ補修しないと代官だけでなく、近隣住民からも苦情が出てしまう。あとで補修したとしても、遅く対応されたという反感だけは強めてしまうんだ。だから、そういう場合は四の五の言わず、サッサと補修してしまった方がいい。早く補修すれば逆に感謝されるからな。同じ補修をしたのに、早い対応は感謝され、遅い対応は反感を持たれる。それなら早く対応した方がいいだろう」


ライナス「それはよく分かりますが、工事内容のチェック、予算のチェックも必要ですし……」


僕「だから、前もって補修が必要そうな箇所をチェックして、予算取りしていくんだ」


ライナス「前もってですか? 壊れる前にですか?」


僕「壊れてから対応するのでは遅い。壊れる前から対応準備しておくんだ。そのためには事前チェック、修繕計画も必要だな」


ライナス「事前チェックと修繕計画ですか……」


僕「取り敢えず、技術研究所と王軍隊から補修部隊を選抜して、巡回チェックさせたらいい」


ライナス「わかりました。しかし王軍隊をそういう風に使ってもいいのでしょうか?」


僕「王軍隊は以前から土木建築作業、電気工事作業をさせているから、かまわない。むしろ彼らに国内のインフラ整備を積極的に関わらせてもらいたい」


ライナス「それだと本業の軍事訓練が疎かになりますが……」


僕「軍事訓練と言ってもいろいろある。土木建築や電気工事も戦中戦後の支援に繋がるだろ。軍隊が自ら復旧できたら心強いと思うよ。剣を振るばかりが軍隊じゃない」


ライナス「確かにそうですね……」


僕「それに王軍隊が平時にインフラ整備をすれば、民の信頼を得られるし、彼ら自身の職能向上にもなる。一石二鳥、三鳥の効果があるんだ」


ライナス「王軍隊がインフラ整備に注力すべき理由は分かりました。でも一般の工事業者の仕事を奪うことにはなりませんか?」


僕「そうだな。だから、補修するのは橋や道路等公共性の高いものに限定しよう。一般の住居や建物は一般の工事業者にさせればいいさ」


ライナス「なるほど、工事も公共と一般と分けるのですね」


僕「その通りだ。なんでもやり過ぎるのは良くないからな」


ライナス「分かりました。それなら対処できそうです」



 よし、ライナスはこれでいいな。彼は元々の素養があるから、気付けば行動は早い。今後はいろいろな視点も養って欲しいものだな。



 ◇    ◇    ◇



僕「さて、次はミローネだな。ギルフォード商会の方は順調かい?」


ミローネ「ええ、お蔭様で順調です。受信機テレビと農業アイテムが大陸中で飛ぶように売れて支店も増やしているところです。特需と言っていいでしょう」


僕「なるほどな」


ミローネ「連邦通貨で錫貨(十円相当)に続いて、銅貨(百円相当)も出したので、庶民(平民)の需要が増えたのも大きいです。今後は銀貨(千円相当)も連邦通貨を出して欲しいです」


僕「さすがに銀貨は価値が大きくなるからな。経済混乱インフレを防ぐためにも、ある程度、期間を空けよう。それに各国と連携の上、数量制限も必要だな。ダルト王国との貿易は進んでいるかい?」


ミローネ「はい、最初は物々交換がほとんどでしたが、徐々に通貨取引も増えてきてます。扱う品目も増えてきました。トーマス宰相も気さくで話しやすいです」


僕「うんうん、それは何より。もうほとんど仕事は覚えたかな?」


ミローネ「そうですね。父上とメラル本部長のお陰でほとんど覚えたと思います」


僕「それなら、そろそろ会長職を引き継いでもいいかな?」


ミローネ「そうですね……、個人的には大丈夫ですが、今は商会全体が特需で忙しいので、落ち着いた時期にしてもらえると助かります」


僕「確かにそうはそうだな。ならタイミングを見図ろう」


ミローネ「ありがとうございます。父上」



 うん、ミローネも大丈夫そうだな。商会の引継ぎについては、タイミング次第だが、メラル本部長とも打合せしていくか。



 ◇    ◇    ◇



僕「よし、次はアレクだな。ギルフォード王国の方はどうだい?」


アレク「こちらは順調です。最近、三国同盟を締結して、ダルト王国と人的交流が増えてますが、向こうの技術はいい刺激になってるようです」


僕「ギルフォード王国からダルト王国へは武力協力(海軍の派遣)、ダルト王国からギルフォード王国へは技術協力(技術視察隊の受入れ)だったな。アレクも見てきたか?」


アレク「ええ、蒸気機関車に乗りましたし、街中の電灯も見ました。あれは中々凄いですね」


僕「ロナンダル王国では、電灯の技術は受入れたんだけど、蒸気機関は軍船だけにしたんだ」


アレク「なぜですか?」


僕「一言でいうと環境かな。蒸気機関は便利だけど、排煙で空気を汚すんだ。その点、電気はそれがないからね」


アレク「確かに蒸気機関は煙が出て、空気が汚れてる感じがしました」


僕「ギルフォード王国は自然豊富だから、あまり空気を汚したくないかな。でも電灯は導入しても差し支えないと思っている。まあ、昔ながらの油の灯火も趣があるから、最終的には島民に選んでもらえればいいと思う」


アレク「……そうですね。ギルフォード王国はダルト王国とも違いますし、ロナンダル王国とも違いますからね」


僕「お前も知っての通り、同じ王政でも、あそこは島民の自主性が強いから、それを尊重しないといけない。先ずは島民の代表達がダルト王国の様子を視察して検討していけばいいさ」


アレク「そうですね」


僕「ところで、アレクはまだ王太子の身分だけど、そろそろ王位に就任したいかい?」


アレク「いえ、まだまだですよ!」


僕「そうかい?」


アレク「もうしばらく、父上が王位のままでお願いします」


僕「何か不安な点があるのかい?」


アレク「やはり三国同盟を締結して間がないのと、ダルト王国との交流拡大、そしてエルメス帝国の不安がありますからね」


やはりエルメス帝国は不安要因なんだな。

う~ん、こればっかりはしかたないか……


僕「分かった。もうしばらく僕が王位に就いてよう」


アレク「ありがとうございます」



 よしよし、アレクも大丈夫そうだな。ギルフォード王国はロナンダル王国と違って、ゼロからつくった国だから、貴族等の余計な抵抗勢力が無いし、住民の自治意識が高いから、国王はそこまで大変なことは無いだろう。あとはタイミングだな。



 ◇    ◇    ◇



僕「次はレネアだね。魔法研究所と魔法学園の方はどうだい?」


レネア「魔法研究所は父上が所長をしてくださってますし、研究生が四人だけなので、好きにやらせて頂いてます。魔法学園の方は結構、忙しいですね。生徒も増えてきましたし、教員を揃える必要もありますし」


僕「やはり魔法学園が大変だよな……。一期生のトアラ(テネシアの娘)、テセルス(イレーネの息子)が八才だから。六・七・八才の三学年ができてるのか」


レネア「今後、九・十・十一・十二・十三・十四才の学年ができる予定ですから、まだまだ生徒の数は増えていきますね」


僕「それなら支出(運営費)も増えていくな」


レネア「ですが、魔法研究所の生活魔法アイテム収入で、賄えています」


僕「それは良かった。生活魔法アイテムは販売時だけでなく、使用更新時にも収入が見込めるようにしたから、今後の学園運営も安定するだろう」


レネア「ええ、父上の先を見越すご慧眼には感服致します」


僕「そう言えば、魔法学園の学園長はレネアが就任してるけど、魔法研究所の方は僕が所長をしてた方がいいのかな?」


レネア「ええ、“強く“お願いします」


僕「はは、分かったよ。僕も魔法研究所にはちょくちょく顔を出したいしな」


 しかたない。魔法研究所の所長は当分、続けるとしよう。こちらは半分趣味みたいなものだからな。それと、あそこがあったな


僕「それとレネアに超級回復魔法を【伝授】したじゃないか」


レネア「はい。そうですね」


僕「それでさ。王立療養所の方もたまに顔を出すようにして欲しいんだよね」


レネア「父上が所長で、ミア内務大臣が副所長をされてる療養所ですね。何度かお手伝いにいったことがあります」


僕「超級回復魔法を使えるのは僕とミア内務大臣と君の三人しかいないんだ。よろしく頼むよ」


レネア「……確か超級回復魔法は【伝授】に制限がかかっているんでしたね」


僕「そうなんだ。それにアイテム化することもできない。その代わり超級回復薬があるけどね」


レネア「超級回復薬があれば、超級回復魔法の使い手がいなくても大丈夫なのではないですか?」


僕「超級回復薬の存在は隠匿してるからね。王立療養所以外では使わないようにしてるんだ」


レネア「つまり、超級回復薬は外来診療、超級回復魔法は訪問診療ということですね」


僕「平たく言えばそうだな。僕たちは収納に超級回復薬を常備してるからいいけど、何らかの事情で超級回復薬を使えない場合は超級回復魔法が役に立つからね」


レネア「分かりました。私も超級回復魔法の実践をしたいので、王立療養所にヒーラーとして顔を出すようにします」


僕「うん、そうしてくれると助かるよ」


これだけでも僕の負担がぐっと減る。

さて、最後はシルエスだな。



 ◇    ◇    ◇



 ここで、家族みんなにも情報共有しておくか。知ってるのはメリッサだけだからな。ライナスも薄々気付いてるようだが。


僕「エルスラ共和国の中央議会から総督引継ぎの依頼があったので、現在、シルエスはお試しで、エルスラ共和国の中央議会に出席してもらい、勉強と検討をしてもらっているところなんだ」


ライナス「エルスラ共和国の総督ですか……、道理で……」


僕「シルエス、どうだい?エルスラ共和国の様子は?」


シルエス「何回か会議に出席してますが、内政、外交、経済と幅広い話が聞けて面白いですね。大いに刺激を受けています」


僕「そうか。それは良かった」


 彼にはまだエルスラ共和国の『王政復古案』について、話してないけど、何度か議会に出席すれば、そのあたりも薄々感じるようになるだろう。自分で見つけ、自分で考え、自分で答えを見つけてくれればいいなぁ。もし総督に就任しない場合でも、絶好の社会勉強になるし、将来、この経験は絶対に役立つだろう。


僕「みんな、シルエスがエルスラ共和国に勉強に行ってることは内密にな! 総督就任もまだ正式じゃないし」


ライナス「承知しました」


んん、シルエスが何か言いたそうだな。


僕「シルエス、何か気になるのか?」


シルエス「ええ、タイタスとディオネが将来、ライナス兄様の側近になるとの話を聞いたのですが、私の進路についても、二人に話してもいいでしょうか? 自分だけ聞いて、二人に話してないのは気になって……」


そうか。この三人は昔からなんでも話し合ってきたんだっけ……


僕「タイタスとディオネも僕の家族だからいいよ。だけど、絶対に口外しないよう約束を頼むぞ。これは国と国の外交だから、日常的に軽々しく話す性質の話題じゃないからな」


シルエス「わかりました」


僕「ここのみんなも頼むよ!」


家族一同「は――い!」「わかりました!」



これでメリッサの子供達は状況確認できた。さて次に行くぞ。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

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