第391話 魔法研究所3
リーベとロッツの姉弟が来てくれたから、早速、四人で今後の打合せをすることにした。会議場所は魔法研究所三階の所長室(まだ所長は決まってないけどね)
僕「リーベとロッツが来て、四人になった。これで具体的に今後のことを打合せできるな」
レネア「二人とも、よろしくお願いね」
リーベ「こ、こちらこそお願いします。王女殿下様」
ロッツ「よ、よろしくお願いします。王女殿下様」
レネア「ふふ、ここでは堅苦しい挨拶は抜きよ」
僕「それじゃ早速始めようか。先ずこれを見てくれ」
みんなに紙を渡す。記載されている内容は――
魔法研究所の目的
一、魔法の研究(魔法の整理・魔法書の編纂)
二、魔法の教育(研究生の募集・教育)
三、魔法の普及(生活魔法アイテムの研究・制作・販売)
レネア「魔法を研究して、教育して、普及するんですか?」
僕「まあ、そうだな。具体的には魔法書の編纂、研究生の教育、そして生活魔法の制作が柱になる予定だ」
リーベ「あの~私は魔法が使えませんけど、大丈夫でしょうか?」
僕「まったく問題無い! と言いたいところだが、多少は身に着けてもらう必要があるかな」
リーベ「クライスナー学園では魔法はほとんど教わっていませんが、大丈夫でしょうか?」
僕「大丈夫! 君達二人に魔法適性があるのは【鑑定】で見てるから、必要なアイテムを渡そう」
二人とも基本的に魔法研究所の組織運営に携わってもらうから、魔法そのものは、それほどいらないんだけど、あのスキルだけはあった方がいいな……
僕「二人とも手を出してくれるかな」
二人「「はい」」
僕「【鑑定】アイテムだ」
リーベ「?……指輪ですよね」
僕「普通の指輪でないぞ。これを指にはめれば、【鑑定】スキルが使えるようになるからな」
眼鏡型でも良かったが、かさばるので、指輪型にした。
ロッツ「鑑定ですか……?」
僕「そう。鑑定スキルは人や物をチェックするのに有用だから、後で使い方を教えよう」
二人「「ありがとうございます」」
僕「そう言えば、ロッツは【引き寄せ】のスキルを持っていたよな?」
ロッツ「はい」
僕「そのスキルも何かの役に立つかもしれないな」
ロッツ「そうだと嬉しいです」
僕「それで話を戻すけど、この三本柱では、レネアが魔法を研究所して本を編纂していくことが最初に来る。そしてその研究成果を研究生に教えていく。これが二つ目だな。最後の普及だが、魔法研究の成果により多くの人の役に立とうと言うものだ。また、これにより資金を稼ぎ、研究所の運営にも役立てる」
レネア「なるほど、私が研究した成果が本になり、その本で教え、研究結果を生活魔法アイテムにして、庶民の生活向上と研究所の運営資金にもつなげるわけですね」
僕「その通りだ。そしてそれは僕とレネアだけでは人が足りない。それで二人に協力してもらうわけなんだ」
リーベ「私達は何をすれば宜しいのでしょうか?」
二人に紙を渡す。記載されている内容は――
事務全般(受付窓口・施設管理・人員管理・経理管理・本の編纂)
商取引(生活魔法アイテムの管理販売)
研究生対応(募集・面談・研究補助)
ロッツ「いろいろありますねぇ……」
リーベ「本当に……」
僕「実はレネアはまだ王立学園の生徒で、卒業までは半年ぐらいあるんだ。だから、それまでに大まかな準備を進めておきたい。二人には期待してるよ」
僕が王立療養所を開設した時は、ミアや薬事研究所のスタッフ達がいたから、彼女らにほとんど任せたんだよな。しかも、あの時は王城の外だったから、もっと大変だったろうに。自分でやると準備の大変さがよく分かるよ。スタートが大変なのは商会も無人島も研究所も一緒だな。ふふふ。
あれっ?二人ともプレッシャーを感じてるみたいだな。これはいけない。
僕「二人とも大丈夫だよ。僕もレネアも一緒にやるから。それに、まだ半年以上、時間があるんだ。やれるところから、やればいいさ」
リーベ「国王陛下、お気遣い感謝します」
ロッツ「ありがとうございます」
僕「僕が見たところ、リーベが事務全般、ロッツが商取引と研究生対応で分担したら良さそうに思うんだが」
リーベ「それでいいと思います」
ロッツ「僕もそれでいいです」
僕「それと、当初は君達をレネアの『助手』と考えていたけど、これから研究生も増えるだろうし、仕事も幅広いし、魔法研究所の『職員』という形にしよう。その方が体裁もいい」
リーベ「わかりました」
ロッツも頷く。
僕「この魔法研究所は王立だから、二人の俸給は役人に準じて支払うことは以前話した通りだ。将来的に、この魔法研究所の収支は独立採算を目標としているが、それに縛られず、二人には固定給を支払うから、のびのび仕事をして欲しい。別に失敗したって構わない。僕は結果を重視するけど、それより過程の方をはるかに重視する。真面目に仕事をして結果が出ない人と不真面目にやって結果だけ出した人がいた場合、前者を大切にしたい」
レネア「えっ、結果より過程が重要なんですか??」
僕「今の話は極論だが、結果だけに走るのを戒めるということだな。結果だけに走ると、大抵碌なことはない。目先の結果に惑わされず地道に仕事をしてもらいたいのが本旨だ」
レネア「なるほど……、それならよく分かります」
リーベとロッツの二人も僕の話を真剣に聞いてくれている。やはりこの二人を採用して間違いなかったな。人の話を聞けるというのはそれ自体が能力の一つだからね。
僕「先ほど、二人には【鑑定】アイテムを渡したが、これは業務で非常に役に立つんだ。例えば、受付窓口対応、研究生対応、商取引等で相手の話してる内容の真贋が分かるからね。嘘を見抜ければトラブルを回避でき、余計な遠回りをしなくてすむ。それに生活魔法アイテムの状態も分かるんだ。いわゆる商品チェックだな。人と物のチェックにどんどん使ったらいい」
レネア「研究生はどうやって募集するのですか?」
僕「最初は王立学園やクライスナー学園の卒業生を対象に考えていたが、それだと門戸が狭すぎると感じるようになった。この際だから王国全土から募集しよう」
レネア「対象年齢等、条件はどうしましょう?」
僕「学園卒業生に絞ると成人(十五才以上)になるところだったが、魔法は未成年の方が伸びしろがあるからなぁ。でも学業も優先させたいし。う~ん、どうしよう」
レネア「……それでしたら未成年の場合は一緒に勉強も教えたらどうでしょう?」
僕「なるほど、魔法科目以外に一般科目も入れるわけだな。しかし教員がいないぞ」
リーベ「それなら私達姉弟がお手伝いできると思います」
僕「そうか、二人はクライスナー学園の卒業生だったな!」
なるほどな。ここには王立学園の卒業生一人とクライスナー学園の卒業生二人がいる。やってやれないことはないか……う~ん
僕「それならレネアが魔法科目、リーベとロッツが一般科目で分担できるな」
ただ、少数限定だな。未成年と成年でそれぞれ一クラス(三十人ぐらい)かな?
僕「募集は成年(十五才以上)と未成年(六才)の両方でするけど、人数はそれぞれ一クラス三十人ぐらいだな」
レネア「成人クラスはそのまま魔法研究所で受け入れすればいいと思いますけど、未成年クラスも一緒だと、ちょっと厳しいような気がします」
そうだよな。元々、卒業生を想定して準備してたからな。それなら――
僕「それなら魔法研究所に併設する形で、学園を造ろう。名称はそうだな。魔法学園だ」
三人「「「魔法学園!」」」
僕「まあ、一クラス三十人ぐらいだから、小規模でいいな」
レネア「でも、遠方からだと住居も必要ですね」
あれれ?思ったより面倒な話になってしまったが、王国にとって優秀な人材を育てるためには未成年の可能性を閉ざすわけにはいかない。未成年なら学校教育は必要だからな。
僕「わかった。僕が魔法学園と生徒の宿舎も造ろう」
魔法研究所だけでなく、魔法学園までつくることになってしまったが、
こういう流れは悪くない。元々、教育方面には強い関心があったしね。
◇ ◇ ◇
その後、生産系スキルで魔法学園と宿舎を魔法研究所のすぐ近くに造った。土地の有効活用のため、学園と宿舎は同じ建物にした。中には教室の他、会議室、集会室、運動場、魔法練習場、食事室、調理室、図書室、学園長室、生徒達の個室、応接室、娯楽室等一通り設置した。イメージは前世のアニメで見た貴族用寄宿舎学校を近代的にアレンジした感じだ。いつものことだが、今回も大きく造り過ぎたかな。まあ、いいだろう。大は小を兼ねるだ。
これで遠方から来た生徒も不自由なく生活できるだろう。
ここは一クラス制の少数精鋭だ。どんな生徒が集まるだろうな。
魔法研究所、魔法学園か……、夢が大きく膨らむな。
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