第38話 伯爵位の叙爵
ギルド長が子爵邸に来訪してきた。
「領主様に王都への召喚要請が来ております」
ついに来たか。
「今回は海賊討伐の件が王城で高く評価されての召喚です」
「では王城からも連絡が来るんだね」
「はい、それと王都に行かれた際、ギルドマスターにお会いしてほしいとのことです」
「ギルドマスターか……海賊討伐の報奨金とか?」
「おそらくそうだと思います」
王城かぁ。また王女に捕まりそうだな。
――――
――――――
<王城・謁見の間>
前回のようにザイス筆頭大臣が目録を読み上げる。要約すると海賊討伐を高く評価。よって伯爵位の叙爵。それと王からギルドマスターにAランク冒険者への推薦をしたとのこと。
「はは――! 有難くお受け致します」
その後、恒例の執務室、今回の手続きも簡単に終わる。ザイス筆頭大臣から後でギルドマスターに会いにいくよう伝達された。そして手続き終了後……王女に捕まる。
「ギルフォード伯爵、立て続けの海賊討伐は本当に凄いですね」
「ありがとうございます」
「今回は百人以上を生け捕りとのこと、人間業ではありません」
「……えっと、護衛の二人が強いのと私の魔法でうまく戦ったと言いますか……」
「……何か隠していませんか?」
王女がジッとこちらを見つめる。
「ごめんなさい。責めているわけではないのです。ただ、あまりに信じられない強さなので……」
「そうですね。自分で言うのも何ですが、自分の強さは規格外なのでしょう」
「魔法ですよね」
「そう魔法ですが、相手を無力化するのです」
「無力化……」
「今はこれで勘弁して頂ければ幸いです」
なんとか逃げてきた。王女の関心が益々高くなってるなぁ。でもあの眼差しは真剣なんだよな。
<王都・ギルド本部>
「ギルフォード伯爵様、わざわざご足労頂きまして恐縮です」
「ここでは一冒険者、固い儀礼は結構です」
「ありがとうございます。実は王城からAランクへの推薦があり、ランク上げを致します」
「それなら海賊は三人で倒しましたので、三人のランク上げでお願いします」
「大丈夫です。もともと王城の推薦がなくても、三人のランク上げをする予定でした」
「それなら結構です」
ギルドマスターとの会談後、三人ともAランクとなった。同席していたテネシアとイレーネも嬉しそう。それと今回の報奨金は金貨五千枚となった。(日本円で五億円……)
帰りに王都の酒場で打ち上げパーティーをしよう。テネシアとイレーネを労いたい。
――――
――――――
<王都・子爵邸改め伯爵邸>
昨晩は三人で遅くまで飲み明かした。こういう時に王都に自分の館があるのは便利だ。嬉しかったのは新しい執事であるビスタが遅い時間にもかかわらず、きちんと出迎えたことだ。さすがバイアスが選んだだけはある。暖かい布団で昼近くまで眠れた。十人いた使用人はギースの子爵邸に五人移って、こちらは五人になってしまったが、しっかり屋敷の管理をしているようだ。王都に来た時は必ず顔を出すようにしよう。
<王都・商会本部・会長室>
本店隣の商会本部(本館)が改装されて綺麗になっていた。ここはメラル統括本部長が全店舗を統括するための本部(本館)だ。王家御用達商会の看板もあるな。倉庫の件は何とかなったのかな。
「会長、伯爵位の叙爵、おめでとうございます」
「メラル本部長、ありがとう」
「本館が立派になったね」
「はい、会長の伯爵位の叙爵に合わせました」
「ところで倉庫の件はどうだった?」
「本店の裏側に倉庫を確保しました」
「広さはどう?」
「以前よりだいぶ広くなっておりますが、余裕があるほどとは言えません」
「見に行こう」
本店のすぐ裏側の敷地に大型倉庫があり、メラルと確認した。
「う~ん、強固な構造で良い建物だね」
「恐れ入ります」
「確かに中に入る容量は万全とは言えないな。今はいいけど今後、支店が増えたら厳しいかもな……」
「……倉庫を別の場所でも確保しますか?」
「大元の保管場所が分離するのは避けたい。機密漏洩を防ぐため、転移場所は一つにしたい」
「しかし、どうしたらいいでしょう?」
「大丈夫、今から、ここの容量を拡大するから」
「どういうことでしょうか?」
「今から魔法を使って地下へスペースを広げるから、少し外してほしい」
――――
――――――
「信じられません……こんなことが現実に起こるなんて……」
メラルが驚くのも無理はない。二十分ほどで、倉庫の地下にスペースが広がり、それが地下で四方に広がっているのだ。容積でいえば元の10倍以上だろう。階段も設置した。
「商品が不足したら、ここに転移させるから、本部の人間は口の堅い人間に限定してほしい」
「かしこまりました」
「それと聞いてると思うが、王家御用達商会になり、王家が直接、武器を買うことになる」
「既に何度か取引しております」
「そのため他国への武器販売は禁止だ」
「それも王城の担当者から聞いております」
「よし、では大丈夫だな」
「ただウラバダ王国という国が再三、支店出店と武器販売を要請してきて難儀してます」
「ウラバダ王国?」
「数年前に亜人の国を武力侵略していて、政情が不安定のようです」
「……そこは絶対に取引してはダメだ。門前払いしても構わないし、用心棒を増やしてもいい」
「かしこまりました」
「支店出店の状況は?」
「国内に二店舗出店が決まりました。国外は検討中です」
「王家御用達商会になったし、国外は慎重にな」
「かしこまりました」
メラルの報告にあった「ウラバダ王国」というのは島の亜人達が脱出した国だ。ここは要注意だな。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。




