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第354話 長い付き合い2

 ミアとも長い付き合いだから、テネシア、イレーネと同じように、『側妃』にするという考えは自分の中では、あるにはあった。ただミアとは熱い恋愛というより、緩やかな関係が心地よかったので、何となくここまで来た感がある。要は結婚しても、しなくても変わらない。という感じだろうか。このあたりでケジメをつけるのもいいかもしれない。


前回同様、先ずは家族に聞いてみよう。


<王宮・応接間>


僕の呼びかけで、メリッサ、義父母、ライナスが集まる。


僕「実は内務大臣のミアのことなんだが、これまで長い付き合いだし、多大な貢献もしてくれた。それで、僕の側妃に加えようと思うんだけど、どうだろうか?」


 前回同様、直球でいく。こういう真面目な話は下手に胡麻化さない方がいいだろう。


一同、静まりかえる。う~ん、唐突だったかな。


 その後、義父母から反対は無かったし、ライナスは言いだしっぺだから、ほぼ空気状態だったけど、今回はメリッサが雄弁だった。


メリッサ「ええと、側妃というと、テネシアさんや、イレーネさんと同じ扱いということですか?」


僕「う~ん、立場的にはそうなるね。でも意味合いは若干違うかな……」


メリッサ「どういうことでしょう?」(ちょっと強め)


僕「今度、ライナスとラーシャが結婚するだろ、それで、ミアが独り身でいることにラーシャが気を使ってるようなんだ。母一人になるとね」


メリッサ「つまり、独り身でいるミア内務大臣に陛下が“お情け“をかける感じですか?」


うわあ、メリッサも、ど直球だなぁ。でも、確かにそういう部分はあるかもなぁ


僕「確かに長年のミアの貢献に対し、何らかの手助けをしたいというのはあるなぁ」


メリッサ「ふ~ん、あなたはお優しいですね……」


 メリッサは少々、反対寄りかな?まあ、前回と状況が全然違うからなぁ。あの時、テネシアとイレーネはライナスの命の恩人だったからな。


僕「あとは、三人の側近のうち、一人だけ側妃にしてないのも、少し気にかかっていた。彼女は若返りスキルで、外見は僕らと同じ二十代だから、変な虫を寄せ付けない意味もあるかな」


メリッサ「前者は同情しますけど、後者はむしろミアさんにとって良いお話ではありませんか?異性から関心を寄せられるなら、あなたが情けをかける必要はないのでは?」


うむむ、そう来たか。なかなか手強い。しかし――


僕「ミア内務大臣は見た目、二十代でも、実際は四十代だからねぇ。そこへ二十代の男から求婚があっても、精神的に釣り合わないよ。逆に同年齢の男性だと今度は外見が釣り合わない」


メリッサ「う~ん、まあ、そう言えば、そうですね……」


僕「つまり、ミア内務大臣と釣り合う男は、まったく同じ条件の“僕“ぐらいしかいないだろう。もし、僕が妃にしなければ、一生、独り身かもしれない。それはあまりに気の毒だ」


メリッサ「ふ~……わかりました。陛下がミア内務大臣と長い付き合いで、そのままにしておけないと。ご温情から、側妃にしようという趣旨はだいたい理解できました」


僕「おお、それなら!」



メリッサ「ただし!条件があります!!!」(強め)



僕「う、なんだい?」


メリッサ「今回は長年の付き合いがあるミア内務大臣ということで、言わば“特例“みたいなものです。いいですか、“特例“です!陛下はお優しいですから、今後も独り身の可哀そうな女性を見るたびに妃にしたいと言われたら、たまったものではありません!」


僕「いやいや、いくら何でも、それはないよ!」


メリッサ「で・す・か・ら、今回で、“最後“にして下さい」


メリッサから強い意志が伝わる。これは本気だ。

そうだ、メリッサは元々強い意志を持つ女性だったな。


僕「わかった。その通りにする」


メリッサ「それと、また側妃式とお祝い会をするのですよね?」


僕「う~ん、まあ、そうだな」


メリッサ「今はライナスとラーシャの結婚準備が最優先ですから、それが終わってからにお願いします」


僕「それは当然だな。そうする」


子供達の結婚前に僕らがいきなり式をあげたら、違和感がありすぎるだろうし。


メリッサ「それとミアさんも王宮に呼ぶのですか?」


僕「まだ、はっきり決めてないけど、当面は今のままかな……」


メリッサ「……そうですね。ラーシャには王家に嫁いだという意識をもってもらうため、少なくともラーシャと寝所は分けた方がいいでしょう」


 そうか、ミアをラーシャのいく第一王宮にはできないよな。もし、ミアを王宮に呼ぶなら、テネシア、イレーネのいる第二王宮だな。


僕「そうだな。もしミアを呼ぶとしても、第二王宮の方だな」


メリッサ「それなら、結構です」


 こうして、四人目の妃をもらうことをメリッサから了承してもらったが、今回が最後だと強く念を押された。まあ、これは当然だし、僕もそんな気はまったくない。


さて、今度は、もう一方の家族だ。


――――

――――――


<第二王宮・応接間>


僕の呼びかけでテネシア、イレーネが集まる。


「実はミアも妃にしようと思っているんだけど、どうだろうか?」


ここでも直球、というより、彼女達とはいつも本音で話してるから、これが普通。


イレーネ「それは、私達と同じ側妃にするということでしょうか?」

僕「ああ、そうだ」

テネシア「まあ、ミアとも付き合いが長いからな……いいんじゃない?」


おお、さすが、テネシア、決断が早い。


イレーネ「私も反対しません。ミアさんは仲間ですし」


イレーネも早い。


僕「一応、今回の理由を言うと、ライナスとラーシャの結婚で、ミアの独り身を心配するラーシャの意見が発端なんだ」


テネシア「ああ、ミアはずっと独り身だったからね」

イレーネ「そうですね」


僕「彼女はずっと独り身だろ、でも若返りスキルにより、外見と中身の年齢に差異が出てるんだよ。それに釣り合うのは世界中で僕ぐらいだろう」


テネシア「なるほど、人間は年を取るのが早いからな」

イレーネ「陛下とミアさんは特殊ですからね」


僕「そうそう、僕もミアも特殊なんだよ。だから釣り合う人を探すのは至難の業だ。幸い、僕らは仲間になれたから、こうしていられるけど、その縁をこれからも大切にしたいと思うんだ」


イレーネ「それで、結婚というわけですね?」


僕「そうだな。ミアも付き合いが長いからな。一種のけじめみたいな意味もある」


テネシア「それで、肝心な話だけど、あるじはミアが好きなのか?」


僕「……まあ、好きか嫌いかと聞かれたら、好きにはなるだろうな……」


イレーネ「私達よりもですか?」


僕「いや、みんなに差は無いよ。みんな大切だよ」


イレーネ「それを聞いて安心しました」


僕「みんな、それぞれに個性があるからね。順番はつけられないよ」


前世のどこかの国で、第一夫人、第二夫人みたいのを聞いたことがあるが、

ああいうのはまったく受け付けない。僕の中で妃達はみんな平等だ。


メリッサは王妃、テネシア、イレーネは側妃となっているが、

テネシア、イレーネは僕の「妃」になることを望んでいて、「王妃」

になることに関心は無かった。要はみんな同じ「妃」だけど、たまたま

メリッサが王家だったから、メリッサが「王妃」となっただけの話だ。


だから、テネシアとイレーネの「側妃」の呼称も

「妃」だけにする案もあったが、そうすると王妃との区別がつきづらい

と思い、側近の妃、「側妃」にしたんだよな。

あの時は各方面の調整で大変だったが、今となっては

懐かしい思い出だ。


――――

――――――


<王都・ミアの侯爵邸>


ミアと二人で話す。


「一応、関係方面の了承はもらったぞ。僕と結婚してくれないか」

「ふふふ、相変わらず仕事が早いですね。はい、よろしくお願いします」


 その後、ミアに『側妃』について、詳細を話す。テネシア、イレーネから聞いて、だいたい分かっていたようだ。さすが、内務大臣、この国の情報管理責任者だ。


「それで、その側妃式とお祝い会をするのですね?」

「そうだ。君が僕の妃になったことを公にする」

「なんだか、嘘みたいな話ですね」

「どうして?」


「ついこの間まで、娘の結婚準備に浮かれていたのに、まさか自分もそうなるなんて」


「……それは僕もだよ。それに四人目の妃をもらうなんてね……」


「メリッサ様から何か言われましたか?」


「もう、これで“最後“にしてくれと言われた」


「ふふ、でしょうね。私が言うのもなんですが、“私も“そう思いますから」


「さすがに僕もこれ以上は無理だよ。妃は君が“最後“だ」


「それを聞いて安心しました」


 今回はラーシャの母への思いが発端だったけど、本当はそれに乗ったのが正直なところ、以前から、ミアの将来の身の上を心配してたのは、実は僕の方なんだ。今回ばかりは子供達の動きに感謝だな。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

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