表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
352/1884

第352話 王太子結婚前

話は意外な方向に……


 バハナ将軍が軍に加わり、その後、ダルト国からの動きは特に無かったが、内偵は継続させていた。現在、行政調査庁による内偵がダルト国の上層部を監視してるはずだが、どうなっているんだろうか?


ロルアス行政調査庁長官から報告を受ける。


「ダルト国の上層部はバハナ将軍が出撃して以降、なんの音沙汰もないので、相当焦っているようです」


「ふふ、そうだろうな」


「軍関係の施設も内偵しましたが、ダルト国の海軍の残兵力は少ないですね。軍船十隻ほどです」


「それなら、当分はしかけてこないだろう」


「……でしょうね」


「ダルト国の責任者、クスル提督と言ったか。どんな男なんだ?」


「……まあ、小物ですね。自分で敵地に乗り込む気概も無さそうですし、悪巧みばかりしてるようです」


「悪巧みか……また愚かなことを考えなければいいけどな」


「引き続き内偵を続けます」


「ああ、そうしてくれ」


 行政調査庁の内偵は古株の旧隠密隊員によるもので、【隠蔽】【透過】【念話】【転移】アイテムを渡している。彼らなら、敵方の城でも、軍事施設でも、好きに入れるし、会話を聞くことができる。はっきり言ってしまえば、暗殺も楽に可能だ。(絶対にしないけどね)


 こちらから、しかけることはないが、向こうがしかけるなら、即座に対応したいからね。いつ来ても迎え撃つよ。


 そう言えば、兵力の増強、軍の再編等で慌ただしかったが、ライナスとラーシャの結婚まで、あと一カ月ぐらいとなったな。そろそろ、そちらの準備もしないとな。


――――

――――――


~ラーシャ視点~


 あと、一月ほどで、ライナス様と結婚か……私が王太子様と結婚なんて、いまだに実感が持てないけど、まわりが式の準備やら、招待状の準備やらで、大忙しで、次第に結婚という二文字が意識の中心に占める割合が大きくなる。これまで王妃様からお妃教育を受け、王族の一員になる準備は整えてきた。


 元々、冒険者だった私はお母様ミアと一緒になってから、生活環境が劇的に変化した。冒険者から、お母様の専属護衛となり、王都、王城での生活が多くなったが、平民だった私が貴族となり、今度は王族になる。まるで夢のような話だ。


 だけど、一点、気がかりがある。それはお母様のことだ。お母様は私と妹のサラを養女にしてくれたが、私が王太子様のところへ嫁げば、お母様と離れてしまう。今はまだサラがいるから、一人きりではないけれど、サラも連邦放送局の仕事が忙しいようだし、私がお母様のことをちゃんと見てあげたいと思う。今度、お母様と話してみよう。


<王都・ミア侯爵邸>


夕食、お母様ミアラーシャサラがそろう。


ミア「今日は三人、そろいましたね」

ラーシャ「サラは最近、忙しそうだったね」

サラ「連邦放送局で、軍関係の取材に行ってたんです」

ラーシャ「へぇ~そんなこともするの?」


サラ「今までは放送を流すだけでしたけど、最近は取材して自ら放送をつくるようになったんです」


ミア「番組も増えましたね」

サラ「今は王太子結婚式の準備ですね。そのうちお姉ちゃんにも取材にいきます」

ラーシャ「それは恥ずかしいから、やめて」


サラ「ダメですよ。お姉ちゃんは憧れの王太子妃になるんだから」

ミア「ラーシャが王太子妃になるなんて、夢のようだわ」

ラーシャ「それは国王陛下とお母様のお力添えがあったからです」

ミア「そんなことないですよ。あなた達の思いが通じたのよ」

ラーシャ「……」


ミア「?どうしたのラーシャ?」

ラーシャ「なんか、自分だけ、こんなに幸せになっていいのかと……」

ミア「ふふ、いいにきまってるじゃない」


ラーシャ「あの……ええと……」

ミア「どうしたの?」


ラーシャ「……お母様はずっと“一人“でいいんですか?」

ミア「何言ってるのよ。あなた達がいるじゃない」


ラーシャ「それはそうですけど、あの……結婚は考えたことはないのですか?」


ミア「結婚!?」


ラーシャ「お母様は知的で綺麗で、優しくて、こんなに魅力的なのに勿体ないと思いまして……」


ミア「……そうね。私は植物研究が大好きですし、恋愛とか、結婚には興味は無かったですね……」


ラーシャ「それなら、今まで気になる男性はいらっしゃらなかったのですか?」


ミア「……そうね。正直に言うと、尊敬する男性はいます」


ラーシャ「……それは……、国王陛下ですね?」


ミア「……嫌なね。分かってたの?」


ラーシャ「それは分かりますよ」


ミア「でもね。私の陛下に対する思いは、恋愛とは違うのよ。尊敬、敬愛でしょうか」


ラーシャ「でも、好きなんですよね?」


ミア「な、何を言ってるんです!相手は国王陛下ですよ!」


ラーシャ「それを言うなら、私だって、相手は王太子様ですよ」


ミア「それに陛下は既に三人もお妃様がいらっしゃいます」


ラーシャ「……それなら、もし国王陛下にその気があったらどうですか?」


ミア「それは……そんなことはありませんよ……」


 やはり、お母様は国王陛下に気があるんだ。でも肝心の国王陛下はどうなんだろう?今度、ライナス様に探りを入れてみよう。


――――

――――――


<王宮・ライナスの部屋>


ライナス王太子と会話する。


「もうすぐ結婚だね」

「そうですね」

「う~ん、楽しみだけど、緊張するなぁ」

「そうですね……」

「?どうしたんだい。何か考え事?」


「ええ、実は私の母のことなんです」

「ミア内務大臣のこと?」


「ええ、母は今まで国王陛下とのお付き合いが長いと伺ってます」


「そうだね。僕が生まれる前からだね」

「それでテネシア元帥、イレーネ宰相とも旧知の間柄ですよね」

「そうだね」


「それで、テネシア元帥、イレーネ宰相は国王陛下の妃となられてますけど、国王陛下は母のことをどうお考えかと思いまして」


「それは、恋愛感情ってこと?」


「恋愛感情かどうかは微妙ですけど、テネシア元帥、イレーネ宰相のような深い結びつきがあるのか気になるところです」


「……つまり父上がミア内務大臣をどう思っているのか、知りたいと?」


「まあ、そうですね」


「どうして、急に気になったんだい?」


「私が結婚して、幸せになるのに、母が一人のままでいいのかと思うようになりました」


「う~ん、父は既に三人も妃がいるからなぁ……」


「母は三人のお妃様と仲が良いですから、そのあたりはクリアできそうな気がします」


「そう?」


「問題は国王陛下が母をどう思っていらっしゃるのかと、三人のお妃様のお気持ちですね」


「まあ、そうだね」


「それで、ライナス様にお願いがあります。国王陛下にそのあたりの探りを入れてもらえないでしょうか?」


「ええええ!僕に!」


「こんなこと頼めるのはライナス様しかいません」


「う~ん、責任重大だなぁ……」


「難しいことはありません。国王陛下の本心を知りたいだけなのです」


「わかった。君の頼みなら、断れないよ」


「さすが、王太子殿下!私の夫になるお方です!」


「ははは、君も言うようになったな」


――――

――――――


~ライナス視点~


……とは言ったものの、あの父上の本音を聞き出すなんて、至難の業だよ。しかし愛するラーシャのため、玉砕覚悟で聞いてみるか。


<王城・執務室>


父上が一人で休んでいる。今がチャンスだな。


「父上、今、お時間、大丈夫ですか?」

「ああ、いいよ」

「実は折り入って、父上にご確認したいことがありまして……」

「なんだい?急に改まって」


父上が真っ直ぐ、こちらを見つめてくる、うわあ、聞きづらい。


「……実はミア内務大臣のことですが」

「ミアか?ミア内務大臣がどうした?」


本当に聞きづらい。ええい、ままよ!


「父上はどう思っておいでですか?」

「なんだ、藪から棒に!そりゃ、信頼できる側近だと思っているよ」


これは想定内の答え、でもこれではダメだ。


「いえ、仕事上のお話ではなく、人間として、いや女性としてはどうですか?」


「ぷっ!おい、なんで、そんなことを聞くんだ?何かあるのか?」


「いえ、テネシア元帥、イレーネ宰相をお妃にされてますが、どうして、ミア内務大臣はそうでないのか知りたいと思いまして」


「……それは成り行きみたいなものだな」


「それでは、父上はその機会さえあれば、ミア内務大臣をお妃にする気がないわけでも、ないんですね」


「……ただ、ミア内務大臣は恋愛とか、そういう間柄じゃないからなぁ……」


あれれ、父上が珍しく、弱々しいぞ。ここが押し時だ。


「でも、好きなんですよね?」(大きめの声)


「お、おい!父親をからかうもんじゃない!」(慌てる)



ここでやめとこう。父上はミア内務大臣に気があるよ。間違いない!

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ