第28話 島の森の主
徒歩での探索は疲れるが、途中でヒール(回復魔法)をかけてるから長続きする。ヒールをかけ続けているミアが大変だろうと思い、覚えたてのヒールをミアにかけてあげた。
「ヒールもできるんですか!」
「実はさきほど受けた時にスキルを複写したんだ」
「そんなことまでできるんですか!」
「ははは、痛くない魔法ならね」
四人中、二人も回復魔法要員がいるので、助かっている。すでに長時間、歩いてるが疲れが抑えられている。
「主、大した魔物は出てこないな」
「それはそれで助かるけどね」
「でもつまらないな」
テネシアが少しふくれる。
「それなら薬草取りを手伝いましょうよ」
イレーネが薬草を上手に採取している。森の民エルフと言われるだけあって、こういうのもお手の物だな。
「しかし、こんな深い森で魔物がほとんどいないのも気になるな」
「もともと無人島で、魔物も少なかったのかもしれませんね」
イレーネの言う通りだといいんだけどな。
しばらくいくと硫黄臭がした。見ると湯気が立ち込め、お湯溜まりになっている。
「これは温泉だ!」
手でお湯に触れると熱かった。ここの場所はしっかりマーキングしておこう。
どんどん奥にいくとあちこちに湯気が立ち込めている。このあたりは地下のマグマの活動が活発なんだろう。
「主、まだいくのか?」
「だんだん木がなくなって岩肌ばかりになってきたな」
「こんな場所だと生き物もいなそうです」
「これでは薬草も取れないですね」
もうそろそろ引き返そうとしたその時、強烈な気配を感じた。どうやら他のメンバーも同じようで、お互いに顔を見合わせた。
(何をしに来た!)
突然、脳内に声が聞こえた。耳からの音でなくテレパシーだろう。他のメンバーも聞こえたようだ。応答しよう。
「ここに探索に来ました」
(なぜ探索する?)
「この島で生活するためです」
(この島に住むだと?)
「いけなかったでしょうか?」
(……住むことはかまわないが、この付近の場所は絶対に避けるように)
「正確な境界線が分かると有難いです」
(分かった。境界線の情報を送る)
その瞬間、脳内のイメージマップに境界線が引かれた。先ほどの温泉は大丈夫のようだ。
「了解しました。境界線の中には決して入らないようにします」
(それなら良い)
(もし約束を破れば、命の保証はないし、大地を揺らすことになるだろう)
ここで帰っても良かったが声の存在について、確認したくなった。
「もし差し支えなければ、貴方様のお姿を見せて頂くことは可能でしょうか?」
(……ならん)
「分かりました。これで引き揚げます」
――――
――――――
<島の館・会議室>
僕「いやあ、凄い迫力だったね」
テネシア「怖かったけど、なんか暖かいものも感じた」
イレーネ「島の神様でしょうか?」
ミア「どうでしょう」
自分、テネシア、イレーネ、ミアの四人で話し合った。決まったことは境界線内の進入禁止だ。自分は脳内でイメージマップがあるが、みんなに分かるよう紙の地図を作成した。奥地であり、開拓対象外のエリアなので影響は無いだろうが、周知徹底は必要だ。
それと温泉が気になったので近日中に整備開発しよう。回収した薬草はミアの研究棟の近くの薬草畑に植えた。
僕「まだ、森の反対側を見れてないな」
テネシア「そんなに急ぐ必要もないだろ」
イレーネ「長時間の徒歩は疲れますからね」
ミア「そのうちまた行きましょう」
今回の探索は魔物が少なかったことで、テネシアのテンションは下がったようだな。イレーネも疲れたようだし、ミアの言う通りそのうちまた行くか。
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