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第1811話 物価安定主義5

 関連回 第934話 教育番組6~お金~、第1659話 物価安定主義

 孫たちへの講義は続く。楽しいひと時だ。


 富の再分配(公平配分)は、誰でもでききることであり、だからこそ、国ではなく、民の自主性すなわち善意に委ねてきたが、委ねると言っても国が何もしないということはない。民の善意を育むよう教育してきたし、そう行動するよう事あるごとに啓蒙してきた。


 その中でも特に富裕層の意識改革は相当力を入れてやってきた。この世界は所得税や相続税などがないため、富裕層がお金を貯め込むようなことになれば、経済が回らなくなってしまうからね。そうなると前世のように国による再分配(強制徴収)が必要となってくるが、それはしたくなかった。


 強制されてしたことは善にならず、徳を積むことにならない。

 自発的にすることより善になり、徳を積むことになる。

 僕は皆に徳を積んでもらいたいのだ。


 国   富裕層から強制徴収しなくて済む → 感謝

 富裕層 徳を積める → 感謝

 庶民  助けてもらえる → 感謝


 キーとなるのはやはり富裕層。ここから善想念が広がれば、この世の高級霊界化につながる。そのためにも国による強制徴収はなるべく少なくした方がいい。強制する・強制される、奪う・奪われる、は悪想念を喚起させるからね。


「経済を好循環させるため、富裕層にはたくさんお金を使ってもらおう。当然、僕ら王族もその中に入ってくるから、まわりに啓蒙しつつ、自らも実践するんだ。但し、たくさんお金を使うと言っても、ただ闇雲に贅沢して無駄遣いすることは好ましくない。そこはちゃんと使い方というものがある」


 パネルを提示する。


□--------------------------


・自分磨き


 本の購入、社会人教育の受講はおすすめ。

 伝統、歴史、文化、芸能、美術等の鑑賞も同様。

 結果的に文化保護、知的職業のサポートになる。


・高価な良品を買う。


 ただ高いだけでなく、多くの人が関わり、高い技術が必要とされるもの。

 社会に必要とされるもの。社会に残すべきもの。

 住宅の購入は雇用を生み出し、インフラ整備につながる。

 伝統工芸品の購入は伝統工芸技術を守ることにつながる。


・人を雇う。


 失業が減り、本人と家族を助け、社会も安定する。


・人助け


 関係方面への寄付、援助。


□--------------------------


 消費はいいが浪費はダメ。

 もっともいいのは投資だ。これらはそれに値する。


「お金を使う時、世のため人のためになるか、将来のためになるか、誰かが喜ぶが、誰かが助かるか、それを念頭によく考えて使うといい。ただ単に高いものを買うのではなく、相応の価値があるものを買う。例えば、職人が丹精込めて作った作品を買えば、その職人を応援することになり、技術の存続につながるが、中身のないボッタクリ商品を買えば、悪徳業者を肥えさせることになる。真面目に商売をしてるのにお客さんが入っていない店で買えば、店を救うことになるだろうが、お客さんへの態度が悪く、従業員にパワハラしてるような店で買えば、そういう店を流行らせることになる。ちょっとしたお金の使い方で世の中を良くも悪くもできるんだ。だから、いい店、いい人から、いいモノを買うように努めよう」


 前世の企業において、売り手よし・買い手よし・世間よし、の三方よし、を心がけているところもあれば、売り手よし、だけのところもあったし、国を思う企業もあれば、そうでない企業もあった。添加物まみれの商品を平気で売る企業もあれば、それを抑えた商品を売る企業もね。


 企業はそれぞれの理念や信条に基づき商売をしているが、CMを鵜呑みにして無思考で商品を選ぶのではなく、世のため人のために商売してる企業の商品を選択するべきだ。多少高くでも、それが応援につながり、世の中が良くなっていく。


 ホワイトな企業は頑張ってもらい、ブラックな企業は退場してもらう。もし世の中にブラックな企業が蔓延るら、それはブラックな企業を応援する行動をしているからだ。それでは世の中は中々良くならない。世の中を良くできるかどうかは、一人一人の消費行動にかかっている。


 最近、日本では缶コーヒーやカップ麺などの売上が落ちているが、実にいい傾向だ。物価高の影響だろうが、外食が減ったのもいい事だ。外食なんて添加物まみれだし、外国産の食材ばかり使っているからな。外食産業における生野菜の洗浄には、食品添加物としての「次亜塩素酸ナトリウム」を用いた殺菌処理が一般的に行われているが、これをすると野菜の栄養が抜けてしまう。これはコンビニのサラダもそうだ。あれを食べても必要な栄養は十分に摂れない。


 モノだけでなく、人も企業も、そのバックボーン(理念・信条)も見る。前世を例に取れば、日本で稼ぐだけ稼いで、日本で税金を払わない企業のモノや、日本にミサイルを向けるような国のモノは買うべきではない。そこでモノを買うということは、国富が海外に流出したり、ミサイルの開発を助けていることになる。


 日本が大嫌い。

 日本人の健康を害しても構わない。

 日本人から奪いたい。

 日本を滅ぼしたい。


 そう考えている国の企業と商取引したり、

 モノを買いたいと思うなら正気の沙汰とは思えない。


 政治と経済は別? 世迷言は言わない方がいい。政治の上に経済は成り立ち、経済の上に政治は成り立つ。両者は不可分の関係だ。切っても切り離せない。政治的に敵対関係にある国のモノは避けるが吉。敵に塩を送る必要はない。戦国時代の話は美談で語られているが、塩で敵が盛り返し、攻めてきたら、自国の危機を増すことになる。


 こういう自爆行為に日本人は無頓着で魅了されがちだが、厳に慎むべきであり、善を適度な範囲でコントロールすることが、現世の修行のうちであることを知った方がいい。悪性の高い人に善を施しても養分にされるだけ。戦国時代の件はたまたま相手に善意が通じたから良かったが、その感覚がどこでも通じるとは限らない。ましてや外国なら猶更だ。陰でお人よしと馬鹿にされている。


 ただ、僕が言うまでもなく、最近の消費動向を見ていると、日本に敵意を持つ国のモノを避ける傾向が強くなっており、これはいい傾向だ。敵意に対し敵意で返す必要はないが、敵意に対し善意で返す必要もないからね。


 悪意ある者と戦う必要はない。

 離れ、関わらなければいい。

 そして、脅しを気にせず、悪口には淡々と事実で反論し、

 物理的攻撃をされても大丈夫なよう防衛体制を敷く。

 その過程で悪意を持たないことが修行となる。


 さて、話を進めよう。


「モノの価格は需要と供給のバランスで決まると言ったが、

 実はもうひとつ、別の見方がある」


 パネルを提示する。


□----------


 インフレ デフレ


□----------


「それはインフレとデフレだ。モノの供給に対し、お金の供給が多いのをインフレ、モノの供給に対し、お金の供給が少ないのをデフレという。モノの方は主に売り手と買い手、つまり商人と庶民の間の話だが、お金は少し違う。これは連邦が発行してるからね。連邦は各国の集まりだから、各国の代表たる王も関係してくる」


 アルベール(十四才)が手を挙げる。


「今は連邦が通貨を発行していますが、昔は各国が発行していたと習いました」


「そうそう。どの国も、金貨、銀貨、銅貨をそれぞれ同じ単位(価値)として発行していた。その後、連邦が成立し、新通貨は連邦で統一することにしたんだ。これを連邦通貨というが、白金貨、金貨、大金貨、銀貨、銅貨、錫貨となる。ちなみに旧通貨である各国の通過はそのまま使えるが、劣化が酷いものは随時回収し、新通貨に造り直しているところだ」


 すんなり連邦通貨に移行できたのは、元々、各国は一つの国で、ひとつの通貨を使っていたからだ。僕の前々世であるケンネリオンがロナンダル王国を興したが、死後、国は六つに分裂し、その後、いろいろあって今の形になった。 


「現在、連邦通貨は連邦王であるシルエス王が発行することになっているが、発行する際は連邦各国の同意が必要だ。ただ、ほとんどは旧通貨との交換のための発行だ。むやみに出回っている通貨の総量を増やすことはしない。それはなぜか? インフレを防ぐためだ。市場のモノの供給量が変わらない状況で、通貨の供給量を増やしたら、インフレになるからね」


 イスファ王太子(二十四才)が手を挙げる。


「そこが少し分かりづらいです。どうして通貨の供給が増えると

 モノの価格は上がるんですか?」


「そうだな……例えば、ここに100人の国があったとしよう。100人だが、その中で通貨を持ち、皆、それでモノと交換していたとする。モノの量は一定だ。その状況でリーダーが通貨をいきなり倍に増やしたとする。今使っているのと同じ量の通貨を皆に配るんだ。そうするとどうなるか?」


 一息つく。 


「結論から言えば、モノの価格が倍になる。最初は2倍のお金があるから、2倍買えるように思うかもしれないが、モノの量は変わっていないわけだから、そのままだと品薄になる。品薄になればどうなるか? 当然、価格は上がるよね。結局、2倍のお金を持っても、価格も2倍になるから、生活は変わらないというわけだ。ただ単に取引の際、通貨が増えて面倒になるだけ。ただ、これは机上の空論で、実際は、品薄になると、先に押さえておきたいという心理が働いて想定以上にモノの値段は上がるから、2倍では済まない。もっと上がるはずだ」


 オークションなんかもそうだよな。本来、100の価値のモノでも、二人で競り合い出せば、200、300と簡単に跳ね上がる。モノ不足になれば、それと似たようなことが一般市場でも起こりうるのだ。


 前世のオイルショック(1973年)の時、原油不足の噂とメディア報道をきっかけにトイレットペーパーの買い占め・品薄パニックが日本全国で発生したが、あれは当時の通産大臣がテレビで紙の節約を呼びかけたことがきっかけだった。


 歴史は繰り返すで、感染症ウィルス流行(2020年)の時も、トイレットペーパー騒動が再燃した。なんでトイレットペーパーなんだ? というツッコミはさておき、両方とも人の心理が強く関わっている。他の人が慌てて買ってるから自分も買わなきゃ、ということなんだろう。


 従来の経済学では説明がつきづらいが、これを補完するために生まれたのが行動経済学だ。行動経済学とは、心理学の知見を取り入れ、人間が必ずしも「合理的」とは限らない非合理的な意思決定を行うことを科学的に分析する経済学のこと。


 伝統的な経済学が「人間は常に自分の利益を最大化する」と仮定するのに対し、行動経済学は衝動買いや「もったいない」と感じる心理(サンクコスト効果)など、感情や認知の偏りが実際の経済行動にどう影響するかを研究し、マーケティングや政策立案に応用されている。


 人間は理論や理性だけでなく、直感や経験則に頼り、感情に流されることが往々にしてあるからな。損をすることを利益を得ること以上に強く恐れる心理(損失回避)もあるしね。セールスで「今買わないと損」と言われると、その心理(損失回避)が働き、買わなくていいモノを買ったりする。


 あと、最初に提示された情報(数字)が判断の基準になる心理(アンカリング効果)、変化を嫌い、現状を維持しようとする心理(現状維持バイアス)なんかもある。人は非合理的な部分があるが、その非合理性を分析・予測し、より良い社会やビジネスに役立てることが大切だ。


 しかし、行動経済学か……これだけでも一つのテーマになるが、整理して、また、どこかで話す機会を持つようにしよう。今回は物価をテーマに話をしているから、脱線せず、さらに進めよう。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。

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