第18話 王都の屋敷
男爵になり、本日、授与された王都の屋敷へ行くことになった。王女様が口添えしたのか、王城にも商会本店(二号店)にも近い場所だった。
「いい場所だなぁ」
いつもの三人で馬車に乗って門の前に到着したが、綺麗に管理されてるようだ。
「お待ちしておりました」
入口に執事と思しき男性が近づいてくる。
「ギルフォード男爵様でしょうか?」
「そうです」
「どうぞ、こちらへ」
屋敷の中に入ると執事とメイド等、使用人が十人ほどいる。結構いるな。
「本日からお世話になります。こちらは護衛のテネシアとイレーネです」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
使用人の取りまとめをしている執事の男性はバイアスという名で、相当なベテランのようだ。これなら大丈夫だろう。
「それではバイアス執事、いくつか注意事項を伝える」
「はい、なんなりと」
「自分は王都でギルフォード商会を経営している。商売のため移動が多く、ここにはずっといない。ただ王都には商売の関係で頻繁に戻ってくるので、緊急時は商会に来れば連絡がつく。また王城から連絡があった際も商会に報告をお願いしたい」
「了解しました」
「私と護衛の二人は王都に来た際はなるべく顔を出すようにしたい。屋敷の管理をよろしく頼む」
使用人たちとの顔合わせの後、屋敷を見て回る。絵画や骨とう品もあり、貴族っぽいな。今のところ、山の館と荷馬車に乗り出す麓の間で転移を多用してるけど、緊急時は店の地下室も使っている。館の男爵の部屋も防犯がしっかりしていて、転移スポットに良さそうだ。それと王都で遅くなった時、宿泊施設として利用できそうだな。ちなみに店の地下室は後からスキルでつくった。
「しかし、男爵邸にしては、かなり立派だな……」
男爵と言えば、下位の貴族であり、屋敷も持たない者もいると聞いた。横でテネシアとイレーネが応接のソファーでくつろいでいるが、ここの応接間は広くて、立派だし、落ち着くなぁ。きっと王女様の計らいだろうな。よく物語では、悪い王族が登場したりするけど、第一印象でこの国、ロナンダル王国の王族に好感を持った。初めて来た国が良い国で良かったよ。
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