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第1790話 聖王料理2

 続きです。八千文字達成。

 只今、料理作業中、さ~て、次は何をやろうか。

 複数のメニューを料理長と同時並行で作っているが、

 進捗状況はこんな感じ。


・ごはん(炊き込み中)

・かぼちゃのスープ(煮込み中)

・里芋の煮っころがし(煮込み中)

・ひじきの納豆がらめ(未着手)

・海苔と大根のサラダ(手作業中)

・大根、にんじん、ごぼうのきんぴら(包丁作業中) 

・こんやくステーキ(漬け込み中)


 丁度今、人参とごぼうを切り終わり、大根の皮を切っている。大根ではなく、大根の皮ね。桂剥きにした大根の中身の方は料理長が適当な大きさに切り、海苔とあえている。


「陛下、海苔と大根のサラダの味付けはどうしましょう?」

「ポン酢をかけてくれ」


 ポン酢と言えば、日本では大手食品メーカーのものが、すぐ思い浮かぶが、本来は、かんきつ果汁と酢でできた調味料を指し、メーカー独自の商品名ではない。「味〇〇」ならそうだが、「ポン酢」は違う。ポン酢はオランダ語の「ポンス(pons)」に由来するが、これは柑橘類の果汁に砂糖やスパイスやアルコールを混ぜた飲み物で、そこから日本独自に改良され、日本のポン酢となった。


 現代、日本では、添加物入りのポン酢だが、この世界では無添加で、ゆずなどの柑橘系の搾り汁・醤油・みりんで製造している。砂糖もアルコールも使っていない。素材には徹底的にこだわっている。


 オランダと言えば、日本とオランダの歴史は古い。1600年にオランダの商船リーフデ号が豊後国臼杵(大分県臼杵市)に漂着したことから始まり、もう、かれこそ400年以上だよな。


 当時、新教国で新興貿易国家として勢力を伸張していたオランダに対し、敵愾心を抱いていたカトリック国スペインのイエズス会士らは、「リーフデ号は海賊船である」と、五大老の一人であった徳川家康に嘘の進言をした。


 この進言を受けて、乗組員のオランダ人ヤン・ヨーステンや、イギリス人のウィリアム・アダムスらは、船とともに大坂(大阪)へ護送され、取り調べを受け、その際、乗組員を引見した家康は、新教国とカトリック国の対立など欧州情勢を臆さずに説くヤン・ヨーステンらを気に入り、海賊船の嫌疑を晴らすことができた。家康の慧眼により外国のトラブルに巻き込まれずに済んだのだ。


 家康は、釈放されたヤン・ヨーステンらを城地の江戸に招き、外交政策の相談役として抜擢したんだよな。江戸に幕府を開いた後、ヤン・ヨーステンは耶揚子やようすの日本名を与えられ、城下に屋敷を構えて外交交渉に当たり、ウィリアム・アダムスは後に旗本として相模国三浦郡逸見(神奈川県横須賀市逸見)に領地を得て、三浦按針みうらあんじんの日本名を与えられた。家康が二人を重宝したのがよく分かる。


 ヤン・ヨーステン(やようす)の屋敷跡は八重洲(東京都中央区八重洲)という地名に、アダムス(あんじん)が眠る旧領に造られた駅には安針塚駅(京急本線)と、その名を今に残している。この過程の一部は映画にもなっているが、あの映画は西洋の視点が強すぎて好きじゃない。日本人をすぐ人を斬り殺す野蛮人のように描写しているが、それは当時の西洋だろうに。植民地でいったい何人殺している。自己紹介乙だね。


 実際は、来日した西洋人を日本側は手厚くもてなし、オランダの商船が来る以前にも、ポルトガル、スペインと交流していたが、ボルトガルとスペインはイエズス会の布教色が強く、家康は問題視していた。その流れを受け、3代家光の時、ポルトガルとスペインを追い出し、オランダを唯一の貿易相手国に絞ることになったが、好き勝手に貿易されては困るので、幕府が貿易を一元管理(独占)し、取引場所は長崎の出島に限定することになった。


 こうして江戸時代は鎖国することになったが、完全に外国との貿易を閉ざしたわけではなく、実はオランダを通し、西洋の優れた文明や技術を吸収していたんだよな。怪しげな宗教はシャットアウト、でも、優れたものは取り入れる。これは蘭学と呼ばれ、その際、オランダ語も日本に入ってきた。


 男勝りの活発な女子を日本では「お転婆」というが、これはオランダ語の「オテンバール」から来ている。オランダ語の元の意味は「馴らすことができない」だ。「ランドセル」もそう。これはオランダ語の「ランセル」から来ている。元の意味は「背負って使うカバン」だ。


 オランダ商船には多国籍の人が乗っており、オランダ人以外も多く来日したが、その中でも、ケンペル(ドイツ人)、ツェンベリー(スウェーデン人)、シーボルト(ドイツ人)の三人の医師は「出島の三学者」と呼ばれ、日本に西洋の医学、科学等を伝えつつ、日本の動植物や文化を研究し、後の日本近代化やジャポニスム(19世紀後半にヨーロッパで流行した日本ブーム)の礎を築いてくれた。


 最初に日本を西洋に紹介したのはマルコ・ポーロの『東方見聞録』だが、彼はモンゴルなどアジア各地を歴訪したものの、日本には一度も来たことはなく、それゆえ想像を働かせ、日本を黄金の国ジパングとして盛りに盛りまくって記述した。「莫大な金を産出し、宮殿や民家が黄金でできている」とかね。


 これが西洋人の好奇心や欲望をかきたて、大航海に向かわせたんだから、罪作りなものだ。多くの冒険者は黄金を手に入れるため、ジパングを目指したが叶わず、オケラでは出資者にどやされるので、途中、辿り着いた地を植民地にした。あのアメリカ(新大陸発見)ですら、本当はジパングを目指したものだったが、途中経路にあったため植民地となり、現地のインディアンたちは悲惨な目に遭ってしまった。


 それに対し、出島の三学者は、事実に基づき、日本人の伝統や文化を好意的にヨーロッパに紹介しており、当時、世界で自分たちの住む場所だけが文化的・先進的だと考えていたヨーロッパに衝撃を与えるものとなった。なんと世界の東の端に、自分たちと匹敵するレベル(文化水準)の国があったのだ。当時の日本はヨーロッパから影響を受けたが、それは決して一方的なものではなく、実はヨーロッパの方も日本から影響を受けていたのだ。


 と、思考遊戯はここまで。料理長が僕の方に顔を向けてきた。


「陛下、海苔と大根のサラダが出来上がりました」

「先ずは一品だね。思い付きで悪いが、これも入れてくれ」


 収納からシソを出す。和風サラダにはこれだろう。


「これはシソですか?」

「そう、これを薄く小さく切って、上に乗せると、いいアクセントになる」


 料理長が早速作業を始める。今日使っている食材はどれも普段の食事で扱ったことがあるものばかりだから、違和感なくやってくれている。シソも各種栄養が豊富で生活習慣病予防・アンチエイジングにもってこいの食材だ。夏野菜だが、収納すれば季節は関係ないからね。


 さて、僕はかぼちゃのスープを見るか。鍋の蓋を開けよう。


 うん、ぐつぐつ煮込んでトロトロになっている。これを上からこん棒で押し込み、潰していこう。それから味付けに塩と昆布だしを使う。塩は海水を使って天日干しした天然塩でミネラルが豊富。前世の工場で化学的に作った塩化ナトリウムだと、血圧の上昇作用が強いが、天然塩だとそれが緩やかだ。


 天然塩には、ナトリウムだけでなくマグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの必須ミネラルが豊富に含まれており、これらが骨の形成、酵素の働き、水分バランスの調整など、体の様々な機能をサポートしてくれる。


 また、精製塩と比べてミネラルバランスが整っているため、体に負担が少なく、素材の味を引き立てる効果も期待できる。塩化ナトリウムだけだと塩辛いだけだが、天然塩には、まろやかな旨味がある。


 牧場の牛や馬は草さえ食べさせればいい、と思われがちだが、さにあらず、岩塩などのブロックを牧場に置き、なめさせることが必要だ。草にも栄養はあるが、草だけでは必須ミネラルが十分でないからね。これは人も同じこと。日々の料理でミネラルを摂取する必要がある。それには天然塩が最適だ。


 これだけでも美味しいが、さらに旨味を引き立てるにはこれだ。


 ドボドボ


 豆乳を投入する。ふふ、おやじギャグと思わるのは嫌なんで、口に出しては言わないが、これでコクが出て、さらに美味しくなる。ただ、あまり熱し過ぎるとタンパク質が固まってしまうから、ここで最弱火(保温)にする。これでかぼちゃのスープも完成だ。少しかき混ぜて置いておこう。


「いい匂いですね」


 メリッサがくんくんしながら言う。お茶目でいいね。


「もう少し待っててね」


 そんなに匂いの強いメニューじゃないが、

 かき混ぜた時に湯気が広がったかな。


 さて、里芋の煮物はどうだ? 


 こちらは最初から調味料を入れてるから煮込むだけだが、蓋を上げると、もわっと良い匂いが漂う。うん、見るからに出汁が染みて、いい色になっている。


「そっちもいい匂いだね」


 今度はテネシアが声を上げる。

 メリッサを真似して、くんくんするが、

 こちらは豪快に鼻で吸い込む感じだ。ふふ、らしいね。


 四人ともお腹を空かせているから、匂いに敏感になっているな。

 まぁ僕もそうだけど。


「もう少しだからね」


 何かこれ、夕飯時に、お母さんが子供に言うセリフみたいだよな。

 皆を子ども扱いしたら悪いが、何だか微笑ましい感じがする。


 僕は前世でそういう体験をしたことがなかったもので、

 ホームドラマで憧れていたが、補完体験してるような感じだ。


 人がこの世に生まれるのは、前世で出来なかったことをするため、という面が

 あり、これまでかなりしてきたつもりだが、どうやらまだ残っていたようだ。


 料理長が口を開く。


「陛下、かぼちゃのスープに使われたのは、昆布だしですか?」

「うん、昆布だし、これは美味しいし、体にいいからね」


 この昆布だしは原材料100%昆布で、昆布を粉末状にしたもの。

 お湯を注げば、そのまま昆布茶として飲める。


 昆布も各種栄養が豊富だが、グルタミン酸という、うま味成分が含まれ、これを使うことにより、塩を使う量を減らせるので、高血圧対策になる。出汁がない頃は主に塩で味を出していたので、塩分を摂り過ぎるケースが多かった。それを避けるため、肉の出汁を求め、肉食が流行ったんだよな。菜食のカギは出汁にある。


 料理長は自分の作業をしながら、ちゃんと僕の作業も確認してるのが偉い。後からちゃんとレシピを渡すつもりだが、この世界の料理界でも、「技は盗んで覚えろ」というのがあり、それをしてきたんだろう。師が「技は盗んで覚えろ」と強弁して弟子に教えないのは、いかがなものかと思うが、弟子が自発的にその姿勢を持つのは悪いことではない。というか、それぐらいの姿勢が無ければ技をマスターすることはできないだろう。上げ膳据え膳のごとく丁寧にお膳立てして教えてくれる師ばかりじゃないからな。


 現実問題、技は凄いけど、精神性が低く、嫌がらせのように弟子に技を伝授しない師はいるものだ。そういう人物に師の資格があるかどうかはさておき、そういう場合は盗んで覚えるしかない。師自らが「盗んで覚えろ」と言うなら悪行にはならないだろう。最悪なのは盗んで覚えることさえも許さない師だ。作業現場をまったく見せず、残ったスープも味見させないよう全部捨てるようなね。こういう人物に付いたら、こき使われてポイ捨てされるだけ。師はちゃんと選ばないといけない。


『人間観察眼』はすべての人が身に付けるべきコモンスキルだ。これがないと、どんなに性格が良く、どんなに努力して、どんなに能力が高くても、狡賢い奴にコマのように利用され、悪党の養分になりかねない。


 本来、性格が良く、努力して、能力を高めた人が、いい目を見るべきだが、実際は、性格が悪く、努力せず、能力のない人が、前者の人を利用して、いい目を見ている現実がある。どうしてこうなるかと言えば、それは『人間観察眼』の差によるものだ。どんなに優れた人であっても、これがないと、『人間観察眼』により、カモを見つける連中にやられてしまう。


『人間観察眼』をそういうことに使うのは、とんでもないことだが、どんな道具も使う人次第で、いいものにも悪いものにもなる。だから、対抗手段として、騙そうとする連中を見抜く『人間観察眼』を持たねばならない。


 人を見る眼を養うことは人生修行のひとつである。


 なぜか、この大切な教えを説かない師が多い。なぜか? それは自分が弟子から、そういう眼で見られることを嫌がるからだろう。でも、それでは情けないし、器が小さすぎる。どの道、皆、天から見られているのだから、誰から見られても恥ずかしくない生き方をするべきだ。


 よし、里芋に箸が通った。

 里芋の煮っころがしも完成だ。これも最弱火(保温)にしておこう。


 あとは……。


「料理長、大根、にんじん、ごぼうを炒めてくれるか」

「調味料はいかがしましょう?」

「醤油、みりん、ごま油だな。盛り付けしたら、ごまを振りかけてくれ」


 あく抜きするなら、ごぼうと人参を水に漬けておくといいが、それをしても左程味は変わらないし、栄養分が水に流れるので、ここではそれはしない。油を引いて加熱すれば十分美味しくなる。


 ジュ――!


 料理長がフライパンできんぴらを炒めると、あたり一面に音とごま油の匂いが広がる。じゃあ、僕はメインディッシュをつくるかな。うん、こんにゃくに出汁が十分染み込んでいる。これならいいだろう。では、僕も――


 ジュ――!


 料理長の隣でこんにゃくをステーキ風に炒める。こちらはニンニク醤油を使っているから、ニンニクの匂いが広がる。ふふ、表面が焼けてきて見た目が肉っぽくなってきた。醤油がいい仕事をしている。


 僕は肉(獣肉)を食べたいと思わないが、後からペスコベジタリアン(魚介類OKの菜食主義)になった妃たちには、少々しんどいだろうと思い、肉(獣肉)の代替となるものを出すようにしている。今回のメニューにはないが、大豆ミートのステーキはよく晩餐に出る定番だ。


「陛下、それ、こんにゃくですか?」


 ミアが声をかけてきた。


「うん、こんにゃくだよ。肉じゃない」

「今回のお料理も肉を使ってないんですね」

「そう、調味料も含めて、一切、肉を使っていないよ」


 僕を含め、家族みんな、ペスコベジタリアンだが、無理のない範囲でヴィーガン食(完全菜食)を取り入れている。こういうのは急にやるより、少しずつやって体を慣らすことが肝心だからな。


 菜食は無理して我慢しながら、やるものではない。体の変化を楽しみながら徐々にやっていく。昔は獣肉を食べたいと思ったが、今はまったくその気がない。魚肉も食べたいという気が減っている。それに反比例して野菜の旨味を感じられるようになった。野菜だけでおかずになる。


 今回の料理は和風ヴィーガン食だが、やはり味付けがポイントだな。肉を使えば簡単に味付けできるがそれはしない。肉食から離れるには肉の味を忘れる必要があるからな。それには、天然塩、味噌、醤油、みりん、ポン酢、酒、昆布だし等が有効だ。これらは素材本来の味を引き立ててくれる。


 和風ヴィーガン食と言えば、ヴィーガンという言葉が生まれる、はるか以前から、日本には完全菜食の料理たる精進料理があった。精進料理とは、殺生や煩悩への刺激を避けた料理のことで、修行僧の心身の鍛錬に欠かせないもの。動物性の食材と、五葷ごくんと呼ばれるネギ属は使わず、豆類、穀物、野菜を工夫して調理する。


 精進料理は三厭五葷さんえんごぐんを避けるのが最大の特徴。三厭は、獣・鳥・魚介のことで、動物性のものすべてを指し、五葷は、長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラの五つを指し、これを避ける。つまり、植物性でも食べられないものがあり、西洋ヴィーガンより制限が多いということになる。


 殺生につながる三厭はともかく、五葷はなぜ食べてはいけないか? それは、臭いの強い野菜は「気」を傷つけると考えられたからだ。気とは自然に存在する根源的なエネルギーで、僕たちの体の中にも流れているとされている。気を傷つけないとは、体に優しいものだけを食べようという考え方であり、そのため精進料理では、トウガラシ、コショウ、ショウガといった香辛料も一切使わない。実は結構厳しいのだ。


 西洋ヴィーガン  三厭を忌避

 東洋ヴィーガン  三厭五葷を忌避

 日本の精進料理  三厭五葷・刺激の強い香辛料を忌避


 インドや東南アジアの仏教徒やヒンズー教徒などは、東洋ヴィーガンを実践しているが、南国ということもあり、刺激の強い香辛料は摂っている。日本の精進料理はそれも避けているので、世界一戒律の厳しい料理かもしれない。


 精進料理の出汁として使われるのは、昆布・椎茸・干瓢・大豆など。すべて植物性の食材からとった出汁で、これらをまとめて精進出汁という。昆布や干し椎茸でとった出汁は一般的だが、干瓢や大豆の出汁はあまり知られていないよな。


 また精進料理は食材だけでなく、五味五色五法を意識して調理することで、飽きることなく食べられて、栄養もバランスよく摂れるよう工夫されている。精進料理を食べる際は、舌だけでなく目でも味わう。「日本料理は目で食べる」はここから来ている。


 ※補足※

 フランス料理は鼻(香り)で味わう。

 中国料理は舌(味)で味わう。

 日本料理は目(盛り付け)で味わう。

 と言われたりします。


 五味とは「甘い・酸っぱい・辛い・苦い・塩辛い」という五つの味覚。五色は「白・黄・赤・青・黒」の五つの色。五法は「生・煮る・焼く・揚げる・蒸す」という五つの調理法を指す。


 ただ、ここまでこだわると大変なので、あくまで参考程度にしている。五葷にしたって、長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラは栄養価が高いので、ここでは普通に食べている。


 五葷を避けるヴィーガンはヒンズー教徒や仏教徒の多いアジアに多いため、オリエンタルヴィーガンと呼ばれているが、彼らが五葷を避けるのは刺激が強いからだ。それにより心が乱されやすくなり、怒りや欲望が高まり、肉が食べたくなると考えた。確かにニンニクやニラは肉料理と相性がいいので、それを食べることによって肉を思い出し、肉を食べたくなるということはあるかもしれない。まぁ個人差が大きいだろう。僕はならないけど。


 また、中国の五行説や、インドのアーユルヴェーダでは、五葷が人の気や内臓を害すると考えられてきた。東洋医学の考え方では、にんにくは心臓を、ニラは肝臓を、らっきょうは脾臓を、ねぎは腎臓を、あさつきは肺臓をそれぞれ刺激し、痛めるとさている。う~ん、本当かな?


※補足※

五葷は、長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラに限定されるものではなく、地域や文献により、ノビル、アサツキ、エシャロット、行者ニンニク、アサフェティダ、アギ、ショウガなどが加わる場合があります。これらの内、アギ(セリ科)、ショウガ(ショウガ科)以外は全てネギ科ネギ属の植物です。


 ネギ科ネギ属の植物は、硫化アリルを成分として多く含み、これが臭いの元となっているが、昔の人はこの臭いに強く反応したんだろう。ひょっとしたら今より昔の方がもっと臭いが強烈だったのかもしれない。古代からエジプトやヨーロッパでニンニクは魔除けに使われたが、その臭いが関係したのだろう。


 五葷の香りの元であるアリシン(硫化アリルの代表成分)は、動物性タンパク質の中のビタミンB1と反応し、体内への吸収率を高めるが、動物性タンパク質を食べない場合は、アリシンが反応せず体内に多く残り、体臭や口臭の原因となる。これが「心身のバランスを崩す」という言い伝えになったと考えられる。


 だが、ネギ科ネギ属の植物は疲労回復効果、血液サラサラ効果、抗がん作用、強力な殺菌・抗菌作用があり、適度に食べるなら体にいいものだ。生活習慣病の予防にもなる。僕は先人の教えや考えに敬意を表するものだが、五葷は、科学的かつ栄養学的に見て、体にいいものであり、忌避することはしていない。この点は科学を重んじる西洋ヴィーガン寄りかな。また香辛料については抑えるべきだと考えているので、この点は精進料理寄りだ。


 但し、ショウガは体にいいので、ネギ同様、普通に食べている。ショウガは体を温め血行を促進し、殺菌作用や免疫力向上、消化促進、吐き気止め、冷え性・風邪予防、アレルギー緩和など、様々な健康効果が期待できるからね。特に冬は欠かせない。ショウガ入りのスープは体を温めてくれる。毎年、冬になると風邪をひく人はぜひ試してもらいたい。ショウガは天然の風邪予防薬だ。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。

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