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第1784話 財政健全化3

 続きです。

 財政健全化の手法として、ここまで増税とインフレについて考察したが、通常考えられるのはこの二つであり、特に近年は増税よりインフレを選ぶ国が多い。隠れ政策としてね。日本はここ数年インフレ基調だが、G7はじめ他の多くの先進国はもうずっと前から、それこそ日本の「失われた30年」の頃から、インフレ政策を長らくしており、既にそれが当たり前のようになっている。


 マスコミなどが、欧米諸国と比較し、経済成長しなかった日本の30年を「失われた30年」と呼ぶが、ここで言う経済成長とは主にGDPを指しており、GDP=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)という計算式だから、インフレが進めば、消費・投資・政府支出の数字が大きくなり、数字上、経済成長することになる。だから、借金して無駄な物を買っても、無駄な分野に投資しても、人が住まない建物を建てても、山奥で人が利用しない道路を敷いてもGDPは上がることになり、その無意味さに気付いている人もいることだろう。


 日本もこうすれば、「失われた30年」は無かったかもしれないが、要はこれ、借金して無駄遣いする面が多分にあり、しかも、安価な労働力として、大量移民を受け入れたからできたことだ。高齢化すれば、日本に限らず、どの国だって経済成長(GDPの伸び)は鈍化するのが当たり前。だが、欧米諸国は若い労働力として移民を受け入れて人口ボーナスを作り出し、不自然な経済成長を果たした。実は移民を受け入れず、自力で何とかしようとしてきた日本の方が自然だったのだ。


 借金して無駄使いして移民を大量に受け入れて、物価まで上げて、無理に経済成長するぐらいなら、しない方がいい。維持(成長率0~1%)で十分。日本経済は成長期から成熟期に入った。


 日本はこの30年で構造転換に成功し、貿易大国から投資大国へ変貌を遂げた。貿易による収入より、海外の投資先(共同開発など)からの収入の方が増え、今後もさらに伸びるだろう。また貿易も量より質に転換し、BtoCからBtoBへ転換したのは注目に値する。エンドユーザーは移り気で、新商品を出し続ける商売は不安定だが、企業相手の商売なら長期契約であり安定性が高くなる。


 日本はスマホも飛行機も、輸出用にほとんど作っていないが、その部品を大量に作り、海外メーカーに販売して稼いでいる。BtoBはBtoCと違い、派手な宣伝を必要としないため、事情を知らないと、もうメイド・イン・ジャパンの時代は終わったと勘違いしがちだが、まったくさにあらず、表に出るのを控え、裏で重要部品を支える方にシフトしたのだ。こうすれば商売が安定するだけでなく、貿易不均衡などの風当たりも避けることができる。サプライチェーンを構築し、日本企業も相手国の企業もウィン・ウィンを目指すことができるのだ。


 また、アニメや漫画をはじめとする文化コンテンツの発信力を高め、文化大国になりつつある。元々、日本はこの分野が強かったが、日本人が考えた文化コンテンツを無断流用して金儲けする外国人が後を断たず、この点は早急に対策を強化すべきだろう。アメリカのハリウッドやディズニーに比べたら、日本は甘すぎであり、現状やられまくっているからな。このあたりは政府もサポートできるだろう。文化コンテンツは作るだけでなく、それを守り、適正な形で提供することが肝心だ。


 今年公開された日本のアニメ映画は世界中で大ヒットを記録しており、日本映画史上初めて全世界興行収入1000億円を突破した。これはハリウッド大作に匹敵するほどの成功と評されている。この流れを継続してもらいたい。日本の文化コンテンツに触れた人は、日本に親近感(善想念)を抱くようになり、それこそが無形の資産となる。これは下手な外交より何万倍も効果的だ。日本語に興味を持ち、日本語を学ぶ外国人も増えているが、彼らの多くが親日だ。


 また、日本は観光大国にもなりつつある。政府のインバウンド目標は、2030年に訪日外国人旅行者数6000万人を目指しているが、2024年に3687万人に達し、2025年も11月までで、3906万人に達し、右肩上がりで伸びている。このペースなら、年内4000万人達成も視野に入るだろう。くだんの国が訪日自粛を自国民に呼びかけているが、それ以外の国から訪日は旺盛であり、全体で見たら、ほとんど影響はないようだ。


 元々、日本はオーバーツーリズムだったので、伸びが鈍化しても、渡りに船だった。日本好きな外国人が日本に来てくれるのは、基本的に良いことだが、中には日本の文化やマナーを軽視し、好き勝手に振舞う外国人もいるので、多少、入り口を絞ってもいいだろう。具体的には「入国税」の導入だ。政府はインバウンド目標達成のため消極的だが、別に無理して数字を達成する必要はないし、本当に日本が好きなら、それでも払うはずだ。踏み絵にもなる。


 現在、出国する旅行者(日本人・外国人問わず)から、「国際観光旅客税」という名目で一律1000円を徴収しているが、これは事実上の出国税だ。出国で取っているんだから、入国で取っても何の問題もない。とりあえず1000円(外国人だけ)でも入国税を導入したらどうだろうか。それで訪日する気が失せたというなら、きっと、そこまで日本が好きではないのだろう。そういう人は日本に来なくていい。


 中国・韓国・香港・アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリス・フランス・ドイツなど、入国税を取っている国は多い。国によって名目や料金は違うが、十分許容範囲だ。変に遠慮する必要はない。駅の構内だって、美術館だって、文化的な施設だって入るのにお金を取る。国に入るのにお金を取ってもいいだろう。日本という国自体が巨大な文化施設のようなもの。


 外国人は日本の綺麗な街並み、豊かな自然、美味しい料理、おもてなしのサービスを堪能するが、それらを維持するのは無料ではない。外国人が放置したごみを片付ける労力、山で遭難した外国人を助ける労力なども人件費としてかかっている。その分の手当をしないと。外国人が文化遺産を傷つけ、修復するのにだってお金はかかる。


 あと、あれだね。どこの国の人もホイホイ入れるのではなく、犯罪歴があったり、日本で工作活動しそうな人物は排除してもらいたい。あと、国内情勢が不安定で他国に大量に移民を送っている国もね。そういう国の人は観光目的で訪日して、その足で難民申請しかねない。現に各地で起きている。こんなの偽装難民だろう。門前払いにしてもらいたい。


 とと、話を戻そう。財政健全化だったな。


 政府から見て増税はかなり大変。国会の予算承認が必要だし、それ以前に国民の承認が必要だ。どの国でもそうだが、増税は国民の反対が多く、強行でもしようものなら次の選挙で落とされる可能性がある。


 だが、インフレなら、まるで市場原理であるかのように装い、しれっとステルスでやることができる。国民が文句を言おうにも「じゃあ増税してもいいんですか?」と返された反論しづらいしな。


 図らずとも、議員は目先の選挙に勝ちたい。国民は目先の生活で楽をしたい。という思惑(目先の利益)で一致しており、それゆえ、増税よりインフレを(消極的に)選ぶ。ただ、大きな問題点はインフレ政策を取っているにもかかわらず、国がインフレ政策していることを隠している点だ。


 まぁ彼らの立場からすれば当然だろう。馬鹿正直に「インフレ政策をします」なんて言った日には、国民の反感を買い、次の選挙で落ちてしまう。だからあくまでステルスにやる。もうステルスじゃなくなってるけどね。こと、ここに至って、未だに国が意図的にインフレ誘導してることに気付いていないとしたら、少々おめでたい。


 日本は現在、物価高騰の最中だが、それは偶然発生したものでも、

 突発的に発生したものでもない。そうなるよう政府が誘導したものだ。

 現に日銀はインフレ率2%を目標(インフレターゲット)に掲げている。


 ただ、これがいつまで続くかだ。国債発行も通貨発行も信用創造によるものであり、信用を肥大化させることにより、信用を棄損させる作用がある。これはそのまま国そのもの、国民そのものの信用棄損につながる。これが好ましい状況だと思う人はいないはずだ。


 信用創造の反対は信用破壊である。このまま、この道を突き進めば、いつか来た道をめぐりそうな気がしてならない。とういうことで、さらに対策について思考したが、ここから先は荒業となるので、一気に現実味が薄くなる。薄くなるが、シュミレーションの一つとして考えるのは意義があるので、進めていこう。現実味は薄いが、100%ないかと言えば、そうとも言い切れない。


 三つ目はご破算だ。


 ご破算とは、政府の借金を強制的に無くすこと。借りたお金を返さないことだ。現在、日本の政府債務残高はGDP比約260%に達し、終戦時と同等の水準に達している。この状況に対し「家計の金融資産が2000兆円あるから大丈夫」「国債の大半は国内で消化されているから問題ない」との楽観論も根強いが、似た状況にあった79年前の日本では、国民に乱暴な方法で甚大な負担を強いる形で財政の均衡を強制的に回復させた、という歴史的事実がある。だから、まったく有り得ない話ではない。「突然、預金が下ろせなくなった!!」という事態がこの日本で現に発生したのだ。


 戦後間もない混沌の最中、1946年にそれは起きた。

 国民にとって寝耳に水の出来事だっただろう。


・旧円(10円以上の紙幣)の無効化と新円への切り替え

・預金、貯金の一般引き出しの禁止(封鎖)

・生活費などに限り、月額300円(世帯主)などの制限付きで

 新円払い出しを許可

・封鎖した資金に対し、財産税を課税(最大90%)


 終戦直後のハイパーインフレを抑制し、財政を立て直すためという錦の旗の下、国民のお金が国に強制的に徴収されたのだ。一部の積極財政派は「バランスシート上、政府の負債は国民の資産だから関係ない」と甘くみているが、にっちもさっちもいかなくなったら、政府は国民の資産に手を付ける可能性があり、まったくの絵空事ではない。繰り返すが、政府による個人資産簒奪が79年前に現に起きている。国が堂々と泥棒と同じことをやってのけたのだ。


「そんな馬鹿な……」


 と思う人が多いだろうが、既にその布石と思われかねない出来事が、

 今の日本でも着々と起きている。


・ペイオフ(預金保険制度)

 1金融機関あたり1名義1000万円までが保護対象。

 1000万円超の預金は保護されない。


・休眠預金活用法

 10年以上取引のない預金は「休眠預金」となり、

 最終的に国庫に帰属する。


・引き出し制限

 ATMでの引き出し限度額が1日50万円までとなり、

 窓口で一定額以上、引き出す際、本人確認が必要となった。


 特にこの中で問題なのは休眠預金活用法だ。これは個人のお金を合法的に国が徴収できる法律であり、一線を越えている。一応、休眠預金となった後でも、預金者本人や相続人は、取引金融機関で手続きすればいつでも払い戻し可能(通帳・印鑑・本人確認書類等が必要)となっているが、知らなければそのままであり、出不精で認知が進んだ高齢者の預金を狙っているように思えてならない。国からすれば、高齢者が預金を忘れたまま亡くなってくれれば、労せず自分のものにできる状態に既になっている。


「10年以上の取引」の「取引」とは、入金、出金、振込、口座振替などで、一部銀行では、通帳記帳やATMでの残高照会は「取引」としてカウントしないので要注意。銀行の利息入金は「取引」にカウントされない。だから休眠口座にされたくなければ、10年に1回以上、「取引」する必要がある。


 財産権の侵害っぽい香りが漂うが、実は財産権はどんな状態でも維持されるものではなく、例外がある。そのひとつが時効だ。ある物を「自分のもの」と思い、平穏・公然と一定期間(10年または20年)占有し続けると、その物の所有権を取得できる。要件は、善意無過失(占有開始時に自分の物と信じ、そう信じるに過失がなかった場合)なら10年、それ以外(悪意または過失がある場合)なら20年で、占有開始時点に遡って所有権を取得する。休眠預金活用法に定める10年は善意無過失の場合の所得時効に合わせたものだろう。実際は善意ではないが。


 先ずは当たり障りの少ないところから資金を回収し、様子見といったところか。いずれにしても国が個人の財布を狙っているのは明らかであり、各人が資産防衛の意識を高めることが重要だ。高齢者の中にはこの制度があること自体知らない人も結構いるだろう。散々あれだけ振り込め詐欺に騙されないよう注意してるのに、未だに騙される人が後を断たないぐらいなんだから。ここまで来たら騙される方が悪い。無知は罪なのだ。知らなかった、では済まされない。


 話を戻そう。戦後の預金封鎖のような事態は今の日本では起こり得ないだろうが、それでも、絶対に起きないと決めつけるのは危ない。それと、そこまでいかなくても、あの手この手で個人の財布からお金をかすめ取ろうという動きは出てくるだろう。


 もう気付いている人は多いと思うが、サラリーマンの源泉徴収がそうであるように、国は取るべきところからより、取りやすいところから取る傾向がある。税の公平負担はあくまで建前に過ぎない。


 一昔前、誰が言ったか忘れたが、税務署は力のある、国会議員、暴力団、宗教法人にガサ入れ(現地税務調査)しないと聞いたことがある。理由は、力のある国会議員にガサ入れしたら、左遷されたり職を追われるから、力のある暴力団にガサ入れしたら、脅されたり殺されたりするから、力のある宗教法人にガサ入れしたら、嫌がらせを受けたり呪われたりするから。税務署の職員も人間であり、報復が怖い。だから建前はともかく本音では、報復の心配をしないで済むところから取りたい。経済合理性から外れる行為だが、現実の世の中はこういうことがある。


 僕自身はもちろん、ご破算による財政健全化には反対だ。ここで示したのは、そういう悪しき事例があることを知り、警戒してもらうため。騙されないようにするには、騙す側の手口を知っておく必要があるからね。借りたものを返さないのも大概だが、人様のものを奪うのは絶対にしてはいけないこと。


 仏教徒ではなくても、五戒は人生の指針となる。


 不殺生戒ふせっしょうかい 生き物をむやみに殺したり傷つけたりしない。

 不偸盗戒ふちゅうとうかい 他人のものを盗んだり、だまし取ったりしない。

 不邪淫戒ふじゃいんかい 不道徳な性行為(不倫など)をしない。

 不妄語戒ふもうごかい 嘘をついたり、人を欺くような言葉を使わない。

 不飲酒戒ふおんじゅかい 酒や麻薬など、精神を乱すものを摂取しない。


 僕個人は既に酒もやめたので、五戒ができているが、現役世代、特に若い頃はストレスが多いので、その発散に酒の力を借りることは、やむを得ないかな、と思う面はある。僕もそうだったしな。だが、中年に入ったら量を減らし、引退したらやめるべきだ。高齢期の飲酒は命を削る。


 前の世界では、多額の借金をかかえ、返済不能になった際、裁判所に自己破産を申し立て、それが認められると、さらに免責を申し立て、それも認められると、借りた借金を返さなくて良くなる制度があった。変な話、借金が多ければ多いほど、破産も免責も認められやすくなり、貸した人が泣き寝入り、借りた人だけが喜ぶ、という奇妙な状況を作り出していた。だが――


 借りたものは返さなければならない。


 これが、霊的なルールだ。現世では時として、これが軽んじられ、それがこの破産制度にも表れている。だが、この制度で、たとえ現世的(物質的)な借りがなくなったとしても、霊的な借りは残ったままなので、いずれ返すことを余儀なくされるだろう。今世が無理なら来世、さ来世と、返すまでずっと。だから、ご破算なんて意味がない。人が勝手にそう決めても、霊的なルールは破られない。


 信用創造もそう。無いものを勝手に有る、としても「そうはならんやろ」とツッコミが入る。お金とは物やサービスや労働などの対価であり成果、つまり付録である。本体の物やサービスや労働などの確たる裏付けなしに、ポンと付録だけ出しても、それは虚構に過ぎない。実体のないお化けのようなものだ。


 物もサービスも労働も何もない国で、お金だけ刷ってばらまけば、お金持ちにはなるかもしれないが、文字通りお金を持っているだけであり、それは単に紙切れが山のようにあるだけだ。豊かでも何でもない。信用創造で国債や通貨を大量に発行するということはその状態に近くなるということだ。それはまったく健全な状態ではない。


 子供が肩叩き券をつくり、父親にあげたとしても、それで肩叩きしたことにならないのと同じように、国がお金を刷って民にばらまいても、それだけで民が豊かになることはない。大切なのはあくまで実体だ。虚構が力を持てば持つほど、実体が力を失い、実体が手に入りづらくなる。子供が肩叩き券を作れば作るほど、その分、肩叩きというサービスは価値を失うのだ。そうなれば、結局、肩叩きしようとしなくなってしまう。国の経済もこれと変わらない。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。

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