第1783話 財政健全化2
続きです。
日本の財政上の問題点を整理しよう。
先ず経常的に収入(一般会計歳入)より支出(一般会計歳出)が多く、
プライマリーバランス(基礎的財政収支)が取れていない。
毎年、赤字(収入<支出)が続いている。
それを誤魔化すため、経常的に収入の不足分を国債で穴埋めし、
国債発行残高(借金)がかなりの額になっている。
それにより、資産より負債が多くなり、
バランスシートが債務超過に陥っている。つまり政府は借金漬け。
これが一般企業ならとっくの昔に倒産してるだろう。また、日本政府を一般家庭に例えるなら、300万円の年収で400万円の年間支払いをし、足りない100万円を借金して凌いでいる状態だ。家には2,710万円の資産と5,010万円の負債があり、負債から資産を引いた純債務は2,300万円となる。
際出すのはやはり5,010万円の負債、年収400万円の約16倍だ。民間の金融機関が年収400万円の人に5,010万円も融資するだろうか? それと同じようなことを政府が堂々とやっている。日本銀行という打ち出の小槌があるから、なせる業だが、いつまで続けることやら。
中には能天気に今のままでいいという人もいるだろうし、何ならもっと国債を発行すべきという尖った人もいるだろうが、僕はそれを良しとしないので、僕なりの改善策を示したい。どう考えても、このままでいい訳がない。このままでいいという人は思考停止ないし思考放棄してるし、もっと国債を発行すべきという人は今だけ良ければいいという無責任な人だ。
それでは具体的に改善策について論じていこう。一つ目は増税だ。
収入より支出が大きいのだから、収入を支出以上の額に合わせる必要があり、それには増税が手っ取り早い。誰でも思いつくものであり、財政健全化の基本中の基本でもある。税務当局が隙あらば、増税を狙うのも、彼ら立場を想像すれば分かる。但し、これをするにはタイミングが悪すぎる。現在、庶民は物価高騰に苦しんでおり、むしろ減税を希望する声があるぐらいだ。
本来はこういう事態に陥らないよう、好景気の時期に少しずつ増税しておけば良かったが、先送りにしてきたツケが大きく、方法論としては合理的だが、現実問題、難しい手法となっている。増税の内容にもよるが、消費税や所得税のように庶民の負担に直結するものなら、今するべきではない。
当初、消費税を導入する際、国は、年金・医療・介護・少子化など社会保障関係の対策に充てると説明し、消費税法上もそのように明記されているが、実際には国庫に入った後、国債の返済や他の一般歳出にも充てられ、国民の負担は増えているのに社会保障関係の給付が貧弱(負担増)になっているという現状がある。
消費税を払えば、社会保障関係が充実するということで票を投じたのに、実際そうでなければ、庶民を騙したことになる。消費税法は法律上「社会保障目的税」として位置付けられており、目的以外にお金を使うなら、問題視されても仕方ないだろう。
さらに問題なのは、消費税を上げるのとセット(のように見える形)で、法人税を下げたことだ。低所得者ほど負担率が重い消費税の導入と増税、一方で大企業が有利となる法人税の減税。何のことはない。消費税の導入と増税は大企業のためのものであり、それを隠すために社会保障関係の対策などと耳触りのいいことを言っただけだった……という議論がある。
実際、消費税導入以降、累計で数百兆円規模の消費税収が、その間に実施された法人税減税額(累計200兆円超)とほぼ同額になっているというデータがある。(例:消費税累計収支約238兆円に対し法人3税減収約223兆円)
法人税を下げれば、企業の国際競争力を高め、利益を上げ、それが従業員に還元されるという話だったが、企業の海外進出は止まらず、国内に残った企業も利益を上げたら内部留保に走ったので、従業員の給料は思ったより上がることは無かった。大企業が儲ければ、中小企業も儲け、上から下にお金が流れるトリクルダウンが期待されたが、実際は大企業が溜め込む一方、中小企業に経費節減を迫り、勝ち組と負け組とに分れる不平等が目立つようになってしまった。
バブルの時期、最高益を更新する企業が続出したが、法人税が高かったため、利益を減らす必要が生じ、従業員に多くの給料を支払い、それで経済が回ったが、今は法人税が低いため、従業員に多くの給料を支払う必要が減っている。仮に多くの利益を出しても、従業員の給料ではなく、株主への配当や馬鹿高い役員報酬となっている状況だ。
現在、数字上、大企業は業績を改善させているが、それはリストラやコストカットをして、従業員に負担を強いているからであり、バブルの時の内容とまるで違う。あの時はまだ従業員や下請けなどの関連企業にも恩恵があったが、今はそれが少ない。
話を戻すと、増税は効果的なタイミングで効果的な方法で実施しなければ意味がない。それと、法人税の減税そのものは反対ではない。消費税の導入・増税と時期的に重なるため、悪目立ちする。どうしたって、そこに矛先が向かう。
日本は法人税を下げたが、それでも法定実効税率で約30.62%(法人税+地方税含む)であり、G7内では、これでもまた高め。アメリカの約21%を見たら、経営者はもっと下げてほしいと思うだろう。対して消費税(付加価値税)の10%はG7内では平均ないし、やや低めであり、世界平均(17.6%)では低い方で、数字だけ見ると、まだ上げる余力があるということになる。
いずれにしても、税が何に使われているか、本当に正しく使われているのか、という税の不透明性により、国に対する信用が揺らいでいる。増税するにしても、昔のように黙って払え、は通用しないだろう。先ずは透明性を高めないと。とにかくひとつ言えるのは今すぐ大きな増税は難しいということ。大きな動きが取りづらい状況ということだ。
法人税の減税で大企業は恩恵を受けたが、それを従業員に十分還元していない。これは税制の問題以前に企業マインドの問題だ。既に年功序列型賃金と終身雇用制が崩れているが、それにしても、ここ30年ぐらいで企業は従業員に対し急速に冷たくなった。欧米化の影響だろうが、欧米なら実力があれば相応の評価を受ける。だが、日本企業はそれがない。ここに大きな問題がある。
実力の低い人には低評価という欧米式を取り、リストラ対象にするくせに、実力の高い人には年功序列という日本式を取り、給料は上がらない。要は企業にとっての良いとこ取りだ。これにより企業から見て、うだつの上がらない社員(特に中高年)はどんどん肩を叩き、バリバリ稼ぐ社員(特に20、30代)はどんなに優秀でも、年齢を理由に低い給料で固定する。そして年を取り、稼げなくなったら、容赦なく切り捨てる。
これは労働者派遣法、労働基準法の改悪の影響だろうが、財界寄りの政府の姿勢がこのような事態を招いてしまった。こういうのを見るにつけ、企業献金は廃止すべきだとつくづく思う。但し、廃止するなら、企業以外の団体、宗教法人など含めて、すべてを対象にしてもらいたい。公のために働くべき議員が特定の団体からお金をもらうこと自体がおかしい。
お金がなければ政治ができない?
だったら議員になるな。お金と言っても、政治(皆のため)ではなく、選挙(自分のため)に使うためだろう。彼らの多くは選挙に勝つことがほとんどすべてであり、選挙に勝てば、あとはろくな仕事をせず、次の選挙までぬくぬく過ごすだけ。当選して何かするのではない。当選がゴールなのだ。かつて首相になるのがゴールのような首相がいたが、これは多くの議員も同じこと。
時間はかかるだろうが、国民一人一人がもっと政治に関心を持ち、政治を良くするために自分ができることを考え、行動するしかない。自ら立候補しなくても、やれることはいろいろあるはずだ。政治は政治家だけのものではなく、国民全体のものだ。
この国でもっとも偉い人は誰か?
それは内閣総理大臣でも、両院議長でも、最高裁判所長官でもない。ましてや、どこかの大企業のCEOや社長でもない。国民一人一人だ。国民に主権がある。だが、この主権は国民が自覚し、その通り行動しないと絵に描いた餅になる。王政の国だって、王にその自覚がなく、王らしい行動をしなければ、王たりえない。
増税から話を展開したが、結局、政治改革に行き着いた。でも、これはそうだよな。政治不信の状態では、本当に増税が必要であっても、何に使われるか分かったものではないので、賛意を得られない。賛意を得たいなら、広く国民の声にもっと耳を傾け、すべきことをしてもらいたい。お仲間の声だけ聞くんじゃなくてね。
お仲間だけの声を聞き、異なる意見や視点を排除することは、エコーチェンバー現象を引き起こす。これは、ソーシャルメディアを利用する際に、自分の興味関心に従ってユーザーをフォローする結果、自分と似た意見ばかり集まってしまう状況のことで、SNSを閲覧する場合には自分と類似した考え方や価値観を目にする機会が増え、自ら発信した場合には、その意見を肯定する返信が返ってきたり「いいね」や「リツイート」をされやすく、この現象を閉じた小部屋で音が反響する物理現象に例え、この名が付いた。
だが、これはSNSだけに限らず、通常の人間関係にも当てはまる話だ。議員は常に自分をヨイショしてくれる支持者に囲まれ、自分の尖った意見でも支持してくれるので、いい気になり、その感覚で、公の場でも話してしまうのだ。要は形を変えた井の中の蛙、一見すると多くの人とつながり、多くの人に囲まれているので、そうは見えないが、実際は自分の支持者ばかりという狭い人間関係であり、それが強まれば強まるほど、一般の感覚と乖離してしまう。
議員は公務員であり、全体の奉仕者である。一部の奉仕者ではない。そんな基本的なことも知らない議員がいるのだから呆れる。憲法第15条で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と明記されている。特定の人や集団のためだけに働くなら憲法違反だ。
さて、そろそろ次にいこう。二つ目はインフレだ。
これは既にしれっとやっているが、国債を発行し、通貨を発行することにより、経済を回すスタイルだ。但し、この方法だと日本の国債と通貨の信用を下げ、インフレが発生する。実際、今の日本では、個人向け国債、10年変動初期利子が過去最高の1.23%に上昇し、円も1ドル155円ぐらいまで下がっている。そして、2024年のインフレ率は年度平均で2.7%前後(前年比)であり、3年連続で日銀目標の2%を超えている。
バブル期以来の長期的な物価上昇となったが、特に食料品価格の高騰が全体のインフレを牽引し、円安も背景にG7諸国の中でも高い水準で推移している。多くの日本人が「日本の物価上昇率は欧米よりも低いはず」と固定観念を持っていそうだが、近年は必ずしもそうでなく、むしろ欧米より高いぐらいだ。欧米は元が高いから、この事実が隠れているが、この間、日本人の主食である米の値段は倍に跳ね上がり、高止まりしたことは各家庭に大きな影響を与えている。
しかし、主食が倍の値上がりって何なんだ? 戦争か大災害でも起きたのか? そうでなければ人災だろう。日本人は我慢強いが、フランスあたりだったら、暴動が起きるんじゃないだろうか。フランス革命の時、パリの主婦たちが「パンをよこせ!」と連呼しながらヴェルサイユ宮殿に向かったぐらいだからな。フランス革命期のパン価格は、凶作で小麦が不足し、パンの値段が急騰したことが暴動や革命の直接的な引き金となった。
今のフランスでも、パンの価格が10カ月で2倍になったら、暴動が起こるだろうし、政府は必ず価格を抑えるだろう。いずれの国も、主食に対して政府は全力を上げて価格安定策を講じるものだが、日本では大臣が「米は買ったことがない」と失言するぐらいだから、当事者意識が希薄で、対応が後手後手に回ってしまった。結局、米は高いまま。
インフレを続ければ、国の借金(債権)は目減りするが、同時に庶民の預金も目減りする。あと当然、国債の資産価値も落ちるから、それを所有する国民の資産も目減りする。
つまるところ、インフレも国民の負担増であり、実質、増税と変わらない。違うのは、増税は取られることが判るが、インフレはいつの間にか取られているという点だ。そういう意味では国によるインフレはステルス税と言えるだろう。
しかし、税に限らず、ステルスって本当に悪質だ。言ったことをやらないのは問題だが、言ってないことをやるのはもっと問題だ。これを避けるため、国が何か政策をしようとする場合、公開の場で議論する必要がある。国会でも委員会でもテレビ討論でもいいが、とにかく皆が見ているところで議論する。それを見て国民は次の投票行動を決めればいい。
ところが実際は、議論せずに、もしくは大した議論をせずに、実施されている政策は多い。LGBT理解増進法案は国民的議論もないまま、というか、させないまま、実施的な委員会審議わずか一日で可決してしまった。今の日本は急ぐべき課題をいくつも抱えており、こんなろくでもない法案を通す暇があったら、やるべきことがあるだろう。新政権になって改善しつつあるが、以前の政権は入国管理局の外国人取り締まりが緩く、不法移民が増えてしまった。元々、日本の入国管理局は取り締まりが厳しかったはずだが、これも時の政権がステルスで勝手に取り締まりを緩めたのだ。
本当に外国人の移民が必要なら、それを政策として掲げ、正々堂々と議論すればいい。だが、それは多くの国民の反発を招くことを知っているから、表看板に掲げず、議論もせず、国民の合意もないまま、ステルスでなし崩し的に移民を受け入れてしまった。選挙で言ってもないことをやるな。
これまでの政府は移民政策を公言せず、議論もないまま、ステルスで行ってきた。この結果、在留外国人の数は2024年末時点で約377万人(前年比10.5%増)に達し、総人口の3%を占めるまでになった。数もそうだが、増加率が大きすぎる。至急制限するべきだ。
日本は先進国の中で唯一、どの就労ビザを持っていても「永住」が可能な国となっている。技能実習生として入国し、後に在留資格を特定技能に変更し、さらに特定技能2号になれば永住できてしまう。通常、他国では技能実習生として入国し、そのまま永住するのは非常に難しいが、日本はビザの取得が容易で更新の条件も緩いため、実質的に永住が可能な状態になっているのだ。
日本政府は「移民を受け入れていない」と言ってきたが、その実、ステルスで受け入れている。もうこういう誤魔化しはやめてもらいたいし、これ以上、移民を受け入れるのは反対だ。どうしても労働力が欲しいなら、先ずは日本人を雇えばいい。日本の失業者は180万人前後で推移しているが、潜在的失業者(就業希望者)も含めると約440万人に達するというデータがある。補助金を払って外国人を雇うより、ずっと国のためになる。
日本人が働き控えしてるのは、仕事内容に対し給料が安いから。だから、もう数万円上げれば、労働意欲が湧くだろう。中小企業でその負担が負えないなら、雇用推奨金として国が補助すればいい。外国人を呼び寄せ、技能実習生として育てる費用より、ずっと安く済むはずだ。
外国人を入れるのは簡単だが、後々問題が深刻化するだろう。日本がお金を払って技術を教えても、数年で母国に帰ってしまうので、日本人の後継者が育たず、ますます依存を高めるし、日本に残れば残ったで、家族を次々と呼び寄せ、さらに日本の負担が増える。そして将来、外国人が高齢者になったら、その負担も日本が負わなければならなくなる。こう言っては何だが、移民受け入れは国内に何万発も時限爆弾を設置するようなものだ。必ず爆発する。現に欧州で次々と爆発し、悲惨なことになっている。
僕が不言実行より有言実行を重視する理由がここにある。性善説なら不言実行はいいだろうが、性悪説ならそうはいかない。悪人は黙って悪いことをする。だから、現世では、何をするか公に明らかにし、その上で、その通りに行動することが大切だ。たとえ悪いことでなくても、何も言わずに、いきなり行動したら、周囲に迷惑がかかる場合がある。また、事前通告により、行動内容が適正かチェックすることができる。
これまでの政権は、反対されそうなことを黙ってやり、ノーチェックのまま、ステルスで密かに進行し、既成事実化してきた過去がある。言ったことをやり、言わないことをやらないのが、あるべき姿だが、実際は、言ったことをやらず、言ってないことをやる事例が後を断たない。これじゃ国民から信頼されないって。
でも、今の選挙システムでは、
1.政治の不透明化
2.多くの国民から信頼されない
3 投票率が下がる
4.支持団体のある候補者が当選する
5.議員が支持団体のためだけに政治をする
6.多くの国民のための政治が為されない
7.それを隠すため、1に戻る
という、とんでもない悪しき循環があるからな。これは日本に限らないだろうが、選挙システムそのものが、既存の大政党に有利にできている。だから、多くの国民から信頼されていなくても、支持団体から応援してもらえれば、投票率の低さで当選してしまう。
これを正すには、真に国民のために行動する人に立候補してもらい、投票率を上げるしかない。また情報リテラシーの向上も必要だ。オールドメディアの切り取りや印象操作は酷いからな。町の声のインタビューだって平気で仕込みを使う。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。
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