第1759話 経穴4
続きです。
いつものように講義しながら、関連する事柄を思考しているが、添加物まみれの食生活を送る前世の人たちが気の毒でならない。本来であれば、もっとマスコミが取り上げ、国民に注意喚起し、政治家が規制強化に動くべきなんだろうが、食品メーカーは大口のスポンサーであり、マスコミも政治家も及び腰。こういう状況を見るにつけ、つくづく民主主義が機能していないと感じざるを得ない。日本の民主主義は形だけであり、実態は大企業など一部のエリートが牛耳るエリート主義だ。
ただ、それで諦めてはいけない。マスコミや政治家が頼りなければ、民が結束し、民が声をあげ、民が直接、世の中を動かせばいい。誰かに頼らず、自分で動く。具体的には、世のため人のためにならない行動をしているエリートを失墜させることだ。マスコミに対してはテレビを観ず、新聞を買わない。政治家に対しては次の選挙で票を入れない。大企業に対しては苦情を入れ、商品を買い控える。逆に民の意向を尊重するマスコミ、政治家、大企業は応援するのだ。善いものは善い、悪いものは悪い、という意思表示をはっきりする。これが大きな力となる。
実際、これで良くなった例はある。例えばマーガリンに入っていたトランス脂肪酸は民の健康意識の高まりを受け、企業が削減し、今やチーズよりも含有量が少ないという。これについては国内だけでなく、アメリカの影響が大きいだろう。アメリカの消費者は日本の消費者のように大人しくないので、バンバン企業にクレームを入れ、政治家に圧力をかけ、目的を達成しようとするからね。この点は日本の消費者も大いに見習った方がいいだろう。既にアメリカではトランス脂肪酸を多く含む「部分水素添加油脂」の食品への使用が原則禁止された。相変わらずマスコミはだんまりだが、それが彼らの存在意義を失わせていることに気付いていない。民が必要とする情報を報道しない報道機関など必要ないのだ。
トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすことで、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞などの心臓病リスクを高める可能性があり、マーガリンの他、ケーキ、ドーナツ、クッキー、菓子パン、パイなどの洋菓子、ポテトチップスなどの揚げ菓子、マヨネーズやドレッシング類にも含まれる。原材料表示に「ショートニング」「マーガリン」などの記載がされているものはトランス脂肪酸が入っているとみていい。
WHOは健康のためトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギーの1%未満に抑えるよう推奨しているが、こんなの、菓子パンやケーキをひとつ、ポテトチップスを一袋食べたら簡単に超えるだろう。つまり、WHOの推奨に素直に従えば、実質、食べるな、ということだ。
エリートが我が物顔で好き勝手しだしたら、民は誰が本当の主人なのか、彼らにわからせる必要がある。エリートだろうが何だろうが、民にそっぽを向かれたら、その地位にいられない。誤解がないようにしたいが、別にエリートのすべてが悪いと言っている訳ではない。実際、エリートの導きや活動によって、世の中が良くなった部分もある。問題は民が主人であることを忘れ、自らを主人と考える傲慢不遜なエリートだ。それでも、行っていることが民の意向に沿うものなら、100歩譲ってまだいい。だが、それに反するものなら、その地位から引きずり降ろさなければならない。民を不幸にするエリートは要らない。
民よ、賢くなれ
民よ、不正に寛容になるな
民よ、世の中を善くすることを諦めるな
そのために自ら思考し行動せよ
この世は低級霊界出身者が多く、放っておけば悪事がのさばる。性善説では通用しない。どうも日本人は簡単に人を信じ「そんな悪いことする人はいない」と安易に思う癖がある。だが思考放棄してはいけない。思考することも現世の大切なお勤めのひとつだ。思考しなければ行動もしなくなる。善なる思考をし、善なる行動をするのだ。無思考、無行動、我関せずではダメ。
とと、横道はこれぐらいでいいな。
ちょっと熱くなってしまった。クール、クール、講義に集中しよう。
アンチエイジング系のツボの補強のため、
精神系のツボを教えているところだった。
精神系と言えば、このツボも外せない。
パネルを提示する。
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膻中
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「このツボは胸の中央、左右の乳頭の間で骨ばっている部分だ。心臓の前面にあたる。位置取りしやすく、押しやすい場所だが、押すとどうだい? 痛くないかい? まったく痛くない人もいるだろうが、物凄く痛い人もいるのがこの部位だ。押し方は人差し指と中指と薬指の三本で円を描くように押すといい」
ウルトラマンでいうならカラータイマーがある辺り。ウルトラマンは三分近くなると、ピコンピコン点滅しだすが、僕らも不安やストレスにさらされると、ここに影響が出る。音はしないが、ピコンピコン鳴っているのだ。
早速、スタッフたちがツボ押しを試す。
「ぐっ」「痛っ」「痛たた」
やはり痛い人はいるか。
「ここは、イライラして気持ちが落ち着かない時に落ち着かせ、憎しみや怒りがこみ上げてきた時に覚ます効果がある。精神的に不安的な時や悪しき想念が出た時に効くツボだから、よく覚えておくといい」
膻中は第4チャクラ(ハートチャクラ)に合致しており、
心や感情や精神に深く関わる部位だ。
「不安、緊張、神経の疲れ、情緒の乱れ、心労、落胆など、精神的な不調全般に
効くので、メンタル改善プログラムに打ってつけのツボだ」
膻中に限らず、ツボについては既にかなりのスタッフに教えているが、この機にもっと広げてもらいたい。不安を感じると、無意識に手を胸に当てる人は多いが、これは、胸に手を当てると落ち着く、ということを身体が本能的に理解しているからだろう。
「精神が安定すると、睡眠の質が高くなる。寝る前に膻中を押すと、いい睡眠を誘ってくれるだろう。ツボ押しした後に両手を膻中の上に重ねると、気のパワーを感じやすくなり、実際、気のパワーが強くなるから、やってみるといい。膻中の上に労宮を重ねると、さらにいいね」
この世界はそこまででもないが、日本はストレス社会だったから、あちらでも癒しのツボとして、この膻中は心強い味方になるだろう。このツボ押しと胸の手当は簡単だし、効果があるのでお勧めだ。辛いこと、嫌なこと、しんどいこと、があった時、深呼吸しながら、これをすれば落ち着く。
次のツボにいこう。パネルを提示する。
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太衝
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「このツボは足の甲にあり、足の親指と人差し指の骨が交差するところの前の凹んだ場所だ。足の親指と人差し指の間に人差し指を引っかけて、足の甲の方に上がっていくと、骨と骨が交差するところで止まるが、そこになる。押すとビリっと来る。ここは骨と骨の隙間になるから、指の腹より先で押した方が中に入るので効く」
早速、スタッフたちが試す。
「痛たた」「痛っ」
「痛いかい? ここはほとんどの人が痛いと思う。足裏は普段の歩きや足つぼ台で刺激することが多いだろうが、足の甲は滅多に刺激することはないからね。ただ、それでも、滅茶苦茶に痛い人はストレスが溜まっている可能性があるから、押して改善を図るといい」
ローレルが口を開く。
「ツボは痛ければ押した方がいい、ということですね」
「痛いから押さないのではなく、痛いからこそ逆に押す必要がある。まぁ、これは人生にも言える。苦しいから避けるのではなく、苦しいからこそ行う。但し、何でもかんでもというわけではない。ツボ同様、適正な苦でないとね」
「適正な苦ですか?」
「そう、適正な苦、実はツボに限らず、人体は強く押せば、どこを押しても痛い。でも、痛ければいいというわけではないよね。人生も苦がたくさんあるが、ツボのように、この苦は自分の人生に効く。つまり、成長に役立つ苦というのがあるから、そこを意識することだ」
パネルを提示する。
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苦のための苦は選ばない
成長のための苦を選ぶ
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「と言っても、そこまで神経質になる必要もない。ツボを外しても、適度に押せばマッサージ効果があるように、どの苦も大なり小なり成長に役立つからね。あと、過度な苦を選ばないこと。理想は痛気持ちいいだな。人生に苦は付きものだがマイナスと捉えず、自分を高めるものとしてプラスに捉えよう」
人体におけるツボ、人生における苦、この二つは似たようなものだ。
「この太衝も自律神経を調整して緊張をほぐす作用がある。ストレス解消にもってこいのツボだ。ストレスは万病の元だから、それに対処する精神系のツボは万病に効くということになる」
ストレスや疲れなどで気の巡りが悪くなると、バランスをとることが難しくなり、過剰なエネルギーが頭のほうに詰まりやすくなるというのが東洋医学の考えにある。太衝のツボは、頭のほうに詰まっているエネルギーを下に流れるように調整し全身の気の巡りをよくしてくれる。
さて、最後のツボにいこう。パネルを提示する。
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湧泉
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「最後はこのツボだ。足つぼで有名なツボだが、土踏まず部分の指側寄りの中央。足の指を曲げた時にへこむ部分。足のひらの中央から指三本分ぐらい上の場所だな。ここは肉厚だから、両手の親指を重ねて上からギュッと押すか、ゴルフボールを踏んで刺激するといいだろう。まぁゴルフボールの方がツボに入りやすいからお勧めだ。但し転ばないよう注意すること。両足いっぺんにやらないように」
スタッフが立ち上がり、ゴルフボールを踏み出した。ほとんどのスタッフが、
足つぼ台に乗ったり、足つぼマッサージを経験してるので、飲み込みが早い。
「気持ちいい」「これは効く」
足裏全体が割とそうだが、マッサージすると気持ちいいからな。特に土踏まず
部分は痛がる人はほとんどおらず、気持ちいいという人が多い。
「このツボは、全身の体調を整え、体力や気力を生み出すツボだ。リラクゼーション効果があり、疲労回復の効果も期待できる。腎臓の反射区だから腎臓にもいい。アンチエイジングに腎臓の健康は欠かせないから、アンチエイジングのツボも兼ねる」
足つぼマッサージで最初に押すのが、この湧泉であり、
もっとも重要視されるのも、この湧泉だ。
「湧泉を押して痛い場合は、リンパや血流が悪く、老廃物が溜まっている可能性があるが、ここを刺激することにより、腎臓を活性化し、老廃物の排出作用を高めることができる。ここは大地からエネルギーを吸収するツボだ」
湧泉は大地とつながるアンカーポイントとして、大地のエネルギーと直接結び付ける役割がある。体内の気のエネルギーの流れの始点であり、全身の活力を生み出す源泉であり、心身のバランスを整え、魂の安定をもたらす精神的なグラウンディングの中心点でもある。湧泉は文字通り「泉が湧き出る場所」を意味し、ここを通して大地のエネルギーが体内に流れ込んでくる。
日本のような社会では、デジタル機器に囲まれ、自然から遠ざかる傾向にあるため、グラウンディングは欠かせない。地に足をつけるという表現があるが、泉湧はまさにその言葉通り、人と大地をしっかりとつなぎ止める役割を果たす。心が不安定になったとき、思考が散漫になったとき、湧泉を通して大地とつながることで、心の平穏を取り戻すことができる。
泉湧とグラウンディングを強化するには、中国武術や気功の基礎訓練のひとつである站椿功がお勧めだ。日本式なら立禅だな。これはその場に立ち、膝を少し緩め、背筋を伸ばし、ゆっくり腹式呼吸をしながら行うもので難しくない。杭のように立ち、心身をリラックスさせて行うことで、自然治癒力の向上やストレス軽減、安定した心身の獲得を目指す。丹田の前に置くか、大きなボール(気の球)を抱えるイメージをしながら、前方に掲げるといい。
座禅も立禅(站椿功)も全身の力を抜き、リラックスすることがポイントだが、頭頂から尾骨のラインを中心軸とし、そこを意識することも欠かせない。体はだらけても、軸だけはぶれない。パスタの茹で加減にアルデンテというのがあるが、あれと同じく、芯だけは固いまま、というのがいい。芯まで火が通ったベンコッティではリラックスし過ぎて、寝てしまいかねない。リラックスの中にも一定の緊張を保つこと。それが瞑想と睡眠の大きな違いだ。
瞑想と睡眠は似てるようで、決定的な大きな違いがある。瞑想は現世に意識を維持するので、現世における修行となるが、睡眠は現世での意識を手放し、幽界に移ってしまうため、現世の修行とならないのだ。実はこれ、寝ている間だけでなく、起きている間にも起こりうること。
目の前で起きている事柄から目を背け、知らぬ存ぜぬ、我関せず、思考放棄を決め込めば、修行放棄と同じだ。現実世界で対処すべき課題が目の前に来てるのに、意識をお花畑に飛ばし、自分事として捉えないこともそう。霊界ならそれでやり過ごせるかもしれないが、ここは現世であり、そうはいかない。
現世では芯のあるアルデンテでないとね。
芯のないベンコッティでは霊的成長は覚束なく、
まわりの害になりかねない。
僕が小乗(自己救済)を避ける理由がここにある。自分だけ平穏な境地に達し、他者を助けることも寄り添うこともせず、安全なポジションから好き勝手言うのはまったく善いことではない。ポジショントークともいうが、いくら頭が良くても、弁が立っても、「高みに来た俺様凄い。他の奴らは愚かだ」という傲慢な態度では未熟者もいいところだ。
昔、とある映画で、エリートビジネスマンが高層ビルの窓から下を見下ろし、アリのよう見える人たちを見て馬鹿にするシーンがあったが、自分のしてることこそが馬鹿な行為だと気付いていないのが痛かった。
自分が幸せになれば、他人も幸せになってもらいたいと思うのが正常な感覚であり、自然の道理であり、人の道でもあるが、小乗を是とする人は自分が幸せになったら、そこでお終いであり、それをもってして自分を完成者、悟った者のように捉え、幸せになっていない人たちを見下し、馬鹿にする傾向がある。
百効(果)は一幸にしかず、の段階まで行けても、
百幸は一皇にしかず、の段階まで行けてないのだろう。
そこはまだ道の途中だ。
戦場で五十歩逃げた兵が、百歩逃げた兵を「臆病者だ」と笑えば、
笑った者こそが笑い者となるだろう。
だが、高所的視野を持たず、自己客観視できない者はこれを平気でやる。
※補足※
百効(果)は一幸にしかず
百回結果や成果を出すよりも、一度自分の幸せにつながることの方が大切
百幸は一皇にしかず
百回自分の幸せにつながるよりも、一度皆の幸せにつながることの方が大切
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、ブックマーク、評価をして頂けると大変有難いです。
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