第1758話 経穴3
続きです。
経穴、ツボの講義は続く。
アンチエイジングと言えば、肉体上のことを主に指すが、
本当のアンチエイジングはそれだけでは不十分。
「ここまでアンチエイジングに効果のあるツボを紹介してきたが、ここからは趣向
を変えて、精神系のツボを紹介しよう。なぜ、精神系なのかと言えば――」
パネルを提示する。
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病は気から、老も気から
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これ。
「老化は精神、気の持ち様の影響を受けるからだ。最初に話した通り、どんなにアンチエイジングに心掛けたとしても、精神状態が悪いと台無しになる。裏を返せば、精神状態が良いと、アンチエイジングをサポートしてくれるから、これをしない手はない。だから、精神系のツボも合わせて覚えよう。これはアンチエイジングに限らず、全般に言える話だが、とにかく精神は大事だ。すべての土台にある」
僕らの本性は魂であり、精神であり、気持ちなんだから、これは当然のこと。
極論すれば、生も気から、死も気から、なんだよな。
気はすべての現象の源となっている。
「気は生気と邪気があり、生気が優勢だと健康に、邪気が優勢だと病気になる。アンチエイジングには生気を強め、邪気を弱めることだ。経穴療法はそれに役立つ」
それでは始めよう。パネルを提示する。
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百会
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「これは頭頂部にあり、両耳を結んだ線と、鼻の中心から後頭部に向かって引いた線が交わる点に位置する。平たく言えば頭のてっぺんだ。百会を刺激するときは、中指の腹を使って、頭の中心に向かって垂直に押す。頭皮を動かすように、ゆっくり、じんわりと圧を加えていくんだ。強く押しすぎると頭痛の原因になることがあるから、気持ちよいと感じる程度の圧力でいい。痛みは要らない。コツは点でグリグリ強く押すのではなく、硬貨ぐらいの面の広さを意識して周辺と一緒にやんわりじんわり押すといい。心身をリラックスさせ、不眠、頭がぼんやりする、集中力が続かない、めまいがする等、自律神経失調症の改善に効果的だ。百会は『百の経絡が会う場所』という意味があり、数あるツボの中でも重要なツボだ。就寝前に刺激すると質の良い睡眠を誘ってくれる」
百会は東洋医学の重要なツボであると同時に、第7チャクラ(サハスラーラチャクラ)の位置と合致する。ここは宇宙や高次元のエネルギーとの繋がりを司るとされ、霊的にも重要な部位だ。お坊さんが剃髪するのは上からのエネルギーを受け取りやすくするためという説がある。実際は髪の有無でさほど変わらないだろうが、剃髪することで頭上を意識することがポイントなんだろう。意識すれば、そこにエネルギーが集まりやすくなる。
また、修行者にとって、剃髪は外見にこだわらないという意思表示でもあろう。お洒落をする際、髪型は大きなウェイトを占めるが、髪が無ければ、それに気を遣う必要がない。髪(外見・俗事)に気を向けるのではなく、神(内面・霊性向上)に気を向ける。
パネルを提示する。
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・自律神経の調整
心身の緊張を和らげ、ストレスや不安を軽減する
・頭痛・めまい
脳の血流を改善し、頭痛やめまいを緩和する
・不眠
睡眠のリズムを整え、スムーズな入眠を助ける
・精神安定・リラックス
イライラや落ち込みを和らげ、リラックス効果を高める
・集中力アップ
脳への血流を促し、仕事や勉強への集中をサポートする
・目の疲れ
デスクワークなどによる眼精疲労の緩和に役立つ
・その他の効果
肩こり、高血圧、消化不良、鼻づまりなど、
様々な症状に効果がある
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「百会は心身の様々な不調に効果があるとされる万能のツボだ。脳への血流を促すことで集中力を高め、精神的な緊張を和らることが期待できる。ここを押して痛い場合は、自律神経の乱れやストレスが原因の可能性がある。その際は優しく押すといい」
ローレルが手を挙げる。
「百会は強く押してはダメということですか?」
「そう、ツボには強く押していい場所とそうでない場所がある。
首から上は基本的に強く押すべきではない。やんわりじんわりとだ」
首から上は脳神経系統を含め、重要な器官が集中しており、強く押すとそれらを痛める恐れがある。ツボを押すと効果があるのは間違いないが、弱く優しく押さなければならない。痛みは不要。耳もそうだし、首もそう。目のまわりもソフトタッチに限る。
前世にあった無資格マッサージの店(マッサージの表記をしていないグレーゾーンな店)では、強く押すべきところで力を入れず、力を抑えるべきところで力を入れるような施術者がいたからトラブルがままあった。ツボの位置もずれていたり。あれだと一時的にすっとしても、余計に酷くなり、またすぐぶり返すだろう。
悪徳なところは何度も来てもらいたいから、意図的にそうするところも有るとか無いとか。ただ、これはマッサージ業界に限らず、治療や施術に関する業界全般に言える話だ。一回で治さず、儲けのため何度も来させようとする。特に薬物療法は酷い。薬漬けにして、ずっと通わせようとする。自分の体を護るためにも、そういうところは絶対に避けないとね。
幸いなことに前世ではインターネットやSNS通じて、事前に評価を見ることができるので、地雷を避けることができる。それと、できたてほやほやの新しいところは避けた方が無難だろう。初期投資で多額のお金を使い、借金をしてるケースが多いので、早期の資金回収を迫られ、心を鬼にして儲け主義に走りがちだ。削る必要がない歯までどんどん削り、休めば自然回復しそうな人にリスキーな抗うつ剤を出し、生活改善すれば治りそうな人にリスキーな降圧剤を出す。
自分の体は自分で護らなければならない。
他人は護ってくれず、他人任せにしたらエライことになる。
さて、次のツボにいこう。パネルを提示する。
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合谷
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「これは手のツボだが、場所は甲側で親指と人差し指の間の水かき部分の奥のあたりだ。反対側の手の親指で、人差し指の横を沿っていき、水かき奥手前の骨のくぼみが合谷だ。水かき部分ではなく、人差し指の骨の根本付近をぐっと横から押し込む感じだな。押すと独特な刺激がくる。強く押すとビリっとくるだろう」
合谷は前世で有名なツボだが、親指と人差し指の間の水かき部分の奥と覚え、水かき部分を押してしまっているケースがあるみたいなんだよな。押しに入る位置は水かき部分端でも、力の方向は人差し指の骨の根本だ。というか、水かきは無いものと思い、最初から人差し指の骨の根本を横方向から押すと思えばいい。
「水かきじゃなくて、人差し指の骨の根本だからね。そこを横から
親指の先でぐっと押す。ビリっとくるところが合谷だ」
みんな、分かりやすく反応してくれているので、
ツボが取れたようだな。それでは説明に入ろう。
「合谷は『万能のツボ』であり、自律神経の調整によく使われる。不安や緊張を和らげ、ストレスが溜まった時や人前で話す時などに押すと気持ちが落ち着く。また、頭痛や肩こり、歯痛にも効果がある」
万能のツボと言われるのは自律神経を整える作用があるからだ。体の多くの不調が実にこの自律神経の不調によって引き起こされるからね。精神系のツボだが、実はしっかり肉体にも作用する。
前世ではプレゼンや人前で話す時などに、みぞおち付近で両手を横向きに重ねながら、上の手の親指で、下の手の合谷のツボを押す御仁(中高年)がいた。当時(若い時分)は「何してるんだろう?」と思ったものだが、後から合谷を押していたのだと知った。仕事中でも人目を気にせずに刺激できるため、実践しやすいツボだ。
「とにかく精神的に疲れた時、ストレスやプレッシャーを感じた時に刺激
するといい、百会は人前では押しづらいが、合谷は押しやすいからね」
一説によると、合谷は全身のツボの中で、最も脳に刺激が伝わりやすいと言われている。額面通りに受け取れば、百会以上ということだ。百会は脳に近いが、間に頑強な頭蓋骨があるから、直接的な脳への刺激はそこまででもないのかもしれない。逆に合谷付近は神経が通っているから、脳に刺激が届きやすいと。人類の脳の発展は手の動きと密接に関係しているし、そうかもしれないな。
さて、次のツボにいこう。パネルを提示する。
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労宮
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「このツボは手のひらの中央付近にある。場所は、拳を握った際、中指と薬指の指先がふれる場所の間になる。このツボも自律神経を整え、ストレス、イライラ、不安感、不眠、動悸、手の疲れなどを和らげる効果がある」
人は緊張すると、手もみしたり、拳を握ったりするが、無意識で労宮を刺激してるのかもしれない。一説によると労宮は「心苦労の集まる中心」とされ、心労が重なると、このツボに症状があらわれるという。このツボは心とつながっており、高ぶった神経を抑えてくれるツボ。自律神経を整えて緊張を緩めてくれるのだ。
「ここは反対の手の親指で、ぐりぐり円を描くように押すが、テーブルや床にゴルフボールを置き、そこに労宮を当てて、上から押すと、ツボに入りやすいのでお勧めだ」
そういうや否や、皆、床にゴルフボールを置き、上から手を当て労宮を刺激する。ゴルフボールは最初に配っておいた。この部屋にもたくさん置いてある。
「じ~んときますね」
「気持ちいいです」
スタッフたちの評判がいい。ここは気持ちいいツボだからな。
さて、次のツボにいこう。パネルを提示する。
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神門
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「このツボは手のひら側の手首の横じわで、小指側の端にある骨の出っ張りのすぐ内側にある。神門を見つけるには、手首を軽く曲げて横じわを作り、小指側の腱の内側を探すといい。軽く押すとへこんだ感じがする場所が神門で、親指の腹で、手首に向かって垂直に押す」
神門は「神経の入り口」「心を整える門」と解釈され、
心身の調和を図るための特別な意味を持つツボだ。
「このツボは精神的な不調に特に効果があり、不安感、イライラ、不眠、動悸などの症状に有効。ストレスによる食欲不振や消化不良にも効果があるとされている。
パネルを提示する。
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・ イライラ・うつうつ感
・ めまい
・ 頭痛・肩こり
・ 疲労感・倦怠感
・ 吐き気
・ 腹痛
・ 動悸
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「これらは自律神経が乱れると起こる症状だが、精神系のツボはこれらに効く。日中、活動中でも、手のひらのツボはやりやすい。ちょっとした合間で、合谷、労宮、神門は刺激できる。対して、百会は休息中、寝る前だな。日常の中でうまく使い分けるといい」
しかし、人間の体は不思議だ。調子が悪くなっても、ここを押せば調子が良くなるというボタンがあらかじめ組み込まれている。自分もヒーラーだし、療養所の存在を否定しないが、多くの症状は療養所に行かずとも、生活習慣を改善し、このボタンを押せば改善されるんだよな。
セルフヒーリングにより予防し、
ヒーラーの世話にならなくて済むようになってもらいたい。
助けの要らない状態こそが真に救済された状態だ。
助けの要る状態、助けてもらっている状態は救済された状態ではない。
前世では患者増大により医者不足が叫ばれており、その対策として医者を増やす案ばかり検討されているが、そうじゃないだろう。患者を減少させることこそが問題解決の処方箋だ。医者をいくら増やしても、それ以上に患者が増えたら、問題は解決しない。
実際、病気が増えると医者が増え、医者が増えると病気が増え、
という相関関係が出ているからね。医者が増えても病気はまったく減らない。
病気や患者の数を減らすには健康になってもらうしかない。答えはその一点に集約される。医者を増やすことでも、薬を増やすことでもない。そして健康になるには、健康にいい生活習慣をすることだ。そのポイントは何といっても食。健康にいいものを食べることだ。
だが、現実的には添加物まみれの食が当たり前のように広く流通し、健康を日常的に脅かしている。日本における腎臓病の患者数は1300万~2000万人と推定されており、透析患者は約35万人にのぼるのだ。この現実は極めて重い。腎臓を患う人は今後も増えるだろう。いつまでも目を逸らすことはできない。これは他人事ではなく自分事なのだ。
ハム、ソーセージ、練り物、インスタント麺、缶詰、ファーストフード、漬物、菓子、パンなどの加工食品には、食品添加物(無機リン等)が使用されているが、これが体に良くない。リンそのものは体に必要な成分だが、過剰に摂取した場合、体外に排出する必要が生じ、それが腎臓に過度な負担を強いる。
腎臓はフィルターであり、体に不必要なもの、過剰なものを濾してくれるが、汚れが詰まると機能不全に陥る。浄水器であればカートリッジ交換により、フィルターを新しくすればいいが、腎臓はそうはいかない。一回だけの使い切りだ。そして使い切った時に腎臓は役目を終え、体全体の寿命も終える。日々、食品添加物(無機リン等)を摂取することは腎臓に負担をかけ、寿命を縮めることにつながる。
毒性学の父と呼ばれた中世の医師パラケルススは『すべての物質は毒であり、毒でないものはない。用量だけが毒でないことを決める』という言葉を残しているが、人体に必要な水や塩も多量に摂れば毒になる。添加物も同様だが、裏を返せば、摂取量が少量なら毒にならないという理屈で出回っているのだろう。
確かに添加物の入った一食品を一回食べたぐらいなら、毒にはならないだろう。だが、これを毎日毎回、常食したら、添加物が体内に過度に入り、毒になるのではないだろうか。現代日本で無添加の食生活を送ることは難しいが、それでも減らすことはできる。
とりあえず、これらは避けた方がいい。多くの種類の添加物を使っている。
・冷凍食品
・ウインナー、ベーコン、ハムなどの加工肉
・コンビニのおにぎり、お弁当
・漬物
・スーパーの惣菜
・カップ麺
・ファーストフード
・お菓子
・菓子パン
・ジュース
カップ麺はひとつの食品に20種類もの添加物が入っているが、
こんなものを毎日食べていたら、そりゃ健康を害してもおかしくない。
日本では1500種類もの添加物が食品に使用されており、すべてを覚え、すべてを避けるのは現実的ではないが、その中でも特に避けた方がいいのがこれだ。
・亜硝酸ナトリウム
ソーセージやハムなどの食肉加工品や魚肉ソーセージ、いくらやたらこ等の魚卵加工品、パック野菜などの発光剤・発色剤として使用されている。毒性が強いとされ、考えられる危険性として、発がん性・うつ症状・頭痛・記憶障害などが挙げられる。アメリカではすでにベビー用食品への使用を禁止している。
・人工甘味料(アステルパーム・アセスルファムk)
缶ジュース、ゼロカロリー飲料、ガム、アイスなどに多く使用されているが、どちらも動物実験で発がん性の危険性が報告されており、アスパルテームについてはWHOが発がん性の可能性がある指摘している。缶コーヒーの微糖の甘さは人口甘味料によるものだ。
・合成着色料
赤色2号、黄色4号、青色1号などと表示され、菓子・アイス・清涼飲料水・漬物・医薬品などに使用されている。石油製品を原料としており、発がん性・アレルギーの発症・蕁麻疹を引き起こすなどの危険性がある。すでにアメリカでは赤色2号の使用が禁止されており、北欧でも多くの合成着色料が禁止されている。梅干し、たくあん、柴漬けの色も合成着色料によるものだ。
・合成保存材
食品の劣化を防ぐ合成保存料である「安息香酸ナトリウム」や「ソルビン酸カリウム」は白血病や発がん性の危険性があると言われている。「安息香酸ナトリウム」は清涼飲料水、ワイン、ジャムなどに、「ソルビン酸カリウム」はお弁当全般、漬物、加工食品全般に使用されている。
まさか店で普通に売っているものが、健康を害する可能性があるとは思ってもいないかもしれないが、パラケルススの言う通り、少量では毒でなくても、多量に摂れば毒になる。いくら体に良いものを食べても、それに合わせて体に悪いものを食べれば台無しだ。健康で長生きしたければ、減添加生活を心がけないとね。
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