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第15話 冒険者登録

「ウィンドアロー!」 

「なんの! アースウォール!」


 山の館が完成してから、新しい訓練場で、毎日三人で訓練をしている。先ほどイレーネが風魔法の矢で攻撃したが、それをテネシアが土魔法の壁で防御した。


僕はと言えば、剣の扱いは何とか様になってきたが、魔法がね……


 自分は【転移】【収納】【加工】【複写】の魔法を使えるが、主に移動や生産向けであり、攻撃用ではない。何とか攻撃に応用できないかな……


しかし、二人の魔法がぶつかり合うシーンを見て何か閃いた。


「そうだ!」

「二人とも見てほしい」


ここは外の訓練場なので、いろいろやりやすいだろう。


「【収納】!」


二人の足元に大きな穴ができる。土を収納したのだ。


「これって……」

「相手の真下の土を収納したら、落とし穴で拘束できるんじゃないかな?」


「そして、【取出し】!」


落とし穴が土で埋まる。


「それで相手の頭上に土を落としたら、生き埋めも可能だ」

「……う~ん、これは便利だな」

「これは使えますよ」


「今のは土の出し入れだったけど、いきなり相手の頭上に岩を落としたら、相当な威力になるだろう」

「うわっ、それは怖いな」

「収納内に大岩の塊があるので、頭から落ちたら即死だろうね」

「怖すぎです」

「鉱山に行った時、巨岩落としの練習をしてみるよ」

「それと剣の方だけど……テネシア、僕に攻撃してきて」

「え!いいのか?」

「いいよ」

「よし!……あれ?!」


そう、テネシアが剣で攻撃する間際に【転移】したのだ。


転移先はテネシアの後方。


「テネシア、ここだよ」

「いくぞ!」

「あれ?!」


 こうしてテネシアが攻撃する度に後方に転移することを繰り返した。数度繰り返したが、流石はテネシアだ。今度は転移先を読んで、後方を狙ってきた。


「うわ、あぶない!」


「いや~テネシアの感覚は凄まじいね。後方から不意打ちを狙ったんだけど、逃げるのに精一杯だったよ」

「主は転移先を一瞬見るから、それで読めたんだ。目隠しされたら遅れてたと思う」

「おお、いいこと聞いた。ありがとうテネシア。視線を隠すか……」

「【収納】で岩攻撃、【転移】で不意打ち、使えそうだな」


――――

――――――


<町の冒険者ギルド>


「ここが冒険者ギルドか……」

「結構、人が多いですね」


 今まで馬車で何度も前を通ったが、中に入るのは今日が初めてだ。とりあえず二人の登録をして、気分転換になればいいな。そろそろ受付の順番かな。受付嬢が声をかけてくる。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「こちらの二人の冒険者登録に来ました」

「あれ? あるじはいいのか?」

「いやあ、自分は商人だし、強い二人が入れば十分だよ」

「いやいや、主は十分、強いでしょ」

「アレス様も一緒に魔物を討伐してるじゃありませんか」


 なぜか、二人が積極的に冒険者登録を勧めてくる。確かに素材の収集で一緒に行動することが多いけど、自分は商人だし。生産系スキルだし……すると後方でたむろしていたむさ苦しい男達が難癖をつけてきた。


「おいおい、あの男、強いんだとさ。はははは」

「あれで魔物なんか討伐できるわけないだろ! 冗談は顔だけにしな!」


 う~ん様式美だな。ここはギルド内だし、向こうも流石に手を出さないだろうから、無視を貫こう。と思ったら


「なんだ、てめえら、表に出ろ!」


出たー! テネシアさん、でも、ここはこらえよう。


「まあまあ、テネシア、あんなくだらない奴ら、相手にしちゃダメだよ」


テネシアも調子に乗り「本当にくだらない奴らだ」とにらみつけた。


 一人が立ち上がって詰め寄ろうとしたので、「そんなに相手にしてほしいなら、外で待っていろ」と言い切り上げた。結局そんなことがあった流れで自分も冒険者志願と思われてしまい、僕まで冒険者登録する羽目になった。自分はあくまで素材回収と移動係だけど、人生なるようになれだな。


 冒険者は全員Fランクからのスタートで、三人チームの名称は『消滅の風火』とした。火魔法使いのテネシアと風魔法使いのイレーネの発案によるものだ。手続き後、さっそく、二人があれこれ依頼掲示板で物色している。山と町の拠点を中心に無理のない範囲で依頼を受けてほしい。さて、帰るか。


「おい、さっきはよくも恥をかかせてくれたな!」

「ただで済むと思うなよ!」


冒険者ギルドを出た通りで先ほどの男達に絡まれてしまった。さて、どうするか。


「わかった。そっちも冒険者なら、勝負しようじゃないか。どこでやる?」


ここはさすがに人通りが多すぎるし、派手な魔法は目立つし避けたい。


「うるせえ、てめえ、逃げるつもりだろ!」


 大通りでいきなり、殴りかかってきた。いやいや気が短すぎるでしょ。あまりに大振りなので動きが簡単に読めてしまう。サッと横に避けた。しかし二発、三発としつこい。そして剣に手をかけた。ここで剣はアカンね。剣をなくそうか。あっ、そうだ!


「【収納】!」

「貴様~、俺を怒らしたな、剣で……え! あれ! 俺の剣がない!」

「おい、お前らもやれ!」

「あれ!」

「剣がない!」


 とっさの思い付きだが、相手の武器の収納は効果抜群だな。さっきまでの威勢はどこへやら、雁首揃えてあたふたしだしてる。


「後は二人にまかせるよ」

「わかった、主」「了解です。アレス様」


 丸腰の男達は二人にとっては玩具同然だった。ボコボコにして端に寄せておいた。剣も魔法も使う必要がなかった。今回の件はギルドに報告し、身柄を預けた。どうやら以前から評判の悪いグループのようで罰も科されるようだ。


 それと今回、あらためて感じたのが、【収納】スキルの可能性だ。武器を取り上げたら、実質的に相手を無力化できる。これは大きい。初期から生産のため多用してる【収納】スキルだが、どんどん応用していこう。


 テネシアとイレーネは早速、ギルドの依頼に行ったみたいだ。ほどほどにね。


 ちなみに、テネシアは火魔法以外に、土魔法、イレーネは風魔法以外に水魔法が得意だ。なので、二人で魔法練習する時は、テネシアの火をイレーネの水で防御したり、イレーネの風をテネシアの土で防御したりしている。と言うのも風と火がぶつかると大きな炎のうねりとなって、周りが大変なことになるからだ。二人もそこは注意してくれてる。しかし、冒険者パーティー名『消滅の風火』って、二人に名付けを任せたけどさ、風火は二人のことは明白だけど、消滅って僕のことかな? あまり気にしないでおこうっと。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、評価やブックマークをして頂けると大変有難いです。

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[良い点] テンポが良いです。 [気になる点] テンポの良さと表裏になりますが、登場人物達の心理描写、感情描写が無さすぎて、何だかとても事務的な表現、進行になっているように感じます。やたらと心理描写や…
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