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除草剤

作者: 黒実 音子

穏やかな日差しが暖める

秋の小道で、

教会の男達が坂を登っていく。


この道には

先日まで青々とした

(ファバッシ)のツタが繁っていたが、

今日は両端に

殺害された死体(シャル)(ニエ)

積み上げられている。


おお、我らが人類の友、

最高の相棒、除草剤よ!!


我々は日々、

()(バッチ)ちのめし、

殺し、

その躯を土壌に積み上げる。


ああ、殺害された屍に囲まれ、

死者の中で

私達はかろうじて(ていこう)をする。


腐葉土に死んだ血を流し、

その血で蚯蚓(ランビチナ)

フランス語を喋る土壌細菌は育つのだ。


レジスタンスの男達が駆けていく。

思想は病気の様に蔓延する。

除草剤は(あがき)を次々に殺す!!


そうした小道で我々は言語を育て、

涙を流す事もなく、

この世の本質が喪失と殺害だと知る。


フランス語は

喪失を語るのに相応しい言葉だ。


それは墓石に添えられ、

死んだ抵抗者の熱情に捧げられるが、

道に打ち捨てられた枯草(したい)は、

今日も静かに死んだ気高さと、

永遠の調和との

和解の歌を歌っている。

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