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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不思議不可思議短編集

悪魔と孤独


 愛を失った。成長とは自立。自立とは孤立。

 僕は海辺を漂流する氷塊に変じたのだ。家族に亀裂が入るのは、まるで氷山が崩れるように一瞬で落下には気づかない。


 孤独は砂。砂は不毛。砂からは何も生まれない。

 一度目の耕作は失敗。

 二度目は畑を切り刻んで耕した。

 死体を入れなくては。腐敗した土へと変わらないといけない。

 カリウムとリンが作物を育てるように、他人の心をコンポストにぶち込んで、僕の中に撒く必要がある。


 必要なのは安全な人間。沈黙する人間。僕の砂を入れ替えるためには彼らを切り分け、菌糸株の苗床にしないと。


 彼らの前頭葉と接続するために彼らから生える植物を受け入れる。彼らは僕と接続する。菌糸の株がぶくぶくと膨れ上がり合体しキノコになるように更に大きな生命体の臓器になることが必要なんだ。


 悪魔の一部になる。最初は5人。


 一人ずつ。殺すようにやるんじゃない。赤子を眠らすように、夢遊病患者を治療するように。ゆっくり毒を回し、後は分解されやすくなるように糖分を注入する。糖分は菌糸類の好物だから。


 5人は肥料になった。キノコが膨れる。ポコポコ生えて大きく育つ。悪魔のように、死体から冬虫夏草を想起させる。


 次は40人。合体して、接続して、一つの個体へ変わってく。一体の悪魔になっていく。後は頭脳体になれば良い。声は大きく、邪魔者は鹿の角で貫いて。何事にも敬意を。愚者はすぐに廃棄を。


 大きく、大きく、悪魔は育つ。

 マッシュルームデビルは土から生えた。もう僕は砂じゃない。大きな悪魔を抱えた豊穣たる大地だ。


 何千もの鋤が入れられる。


 

 

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