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【受賞しました!】何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する  作者: やきいもほくほく
最終章 終焉

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59.覆滅




ガクガクと震えるライナスに迫る裁きの時。



暴言を吐きながら足を覆う影を外そうとするが、更に地から這い出る真っ黒な手に絡まれて拘束される。

ライナスは狂ったように光を放ち、闇の力を掻き消そうと必死にもがいていた。


しかし抵抗は虚しく、影は徐々にライナスの首元まで伸びて強く締め上げていく。


暴れるライナスから距離を取って、静観していた。

もし力が此方に飛んでくれば、サラを抱えながらでは身を守ることは出来ない。


ニタリと笑い準備が整ったと言わんばかりに足で地面を軽く叩く。



「ーーーッァ゛、」



影を使って、今まで闇の宝玉が溜め込んだ異世界の聖女たちが感じた憎しみ、恐怖、絶望を流し込んでいく。


それはライナスの肌を伝い、神経を嬲り、耐えがたい苦痛を与えていく。

犠牲者の怒りと哀しみの叫びはライナスを内から壊していく。


声も出せぬほどに悶える様は、最高に嗤えるものだった。


泡を吹いて白目を剥きながら苦しむライナスが気を失いそうになれば一旦、力を止める。


そして意識が浮上すれば、また苦痛を与える。


拷問ともいえる行為を何度も何度も繰り返した。

悲鳴をあげる暇もなく、弁解の余地など一切与えはしない。

今更、言い訳など聞く必要は無いのだ。



「ハハッ、良い顔だなぁ……?」


「ーーがッ、……ぁっ!!」


「サラにも見せてやりたかった」



痙攣するライナスを見て、もう一度足で地面を叩いてから影を退ける。


真っ白だった肌は闇の力により焼爛れて酷い有様だった。

支えをなくしてべチャリという痛々しい音と共に地に頭を付けた。

そのまま動かなくなったライナスを見て舌打ちをする。


汚い悲鳴も不細工な顔も、もう飽きてしまった。

早く迎えが来ないかと空を見上げて、溜息を吐いた時だった。



「ゆ……る、さない…!」


「!?」



地を這うような声で呟いたライナスは、ゆっくりと顔を上げた。

そして血走った目でサラを見据える。






「ーーーおまえッ、だけでも、消えろぉお゛ぉッ!!」






ライナスは大声で叫びながら、最後の抵抗とばかりに光の矢を放った。


そして矢は腕の中に居るサラを目掛けて、突き抜けるように飛んでくる。


咄嗟の反撃に腕を伸ばすがーー。


今、闇の力で守ろうとすれば、強すぎる力で弱っているサラが傷つき消えてしまう。


ライナスの甲高い笑い声が響いていた。


(しまった……!間に合わないッ)


サラを庇い、守るように抱きしめた。





ーーーパァアアンッ……!





「……ッぐ!!」


「サラ…!?」


「負け、ないッ!!お前だけ、には……絶対にッ!!」



意識を取り戻したサラが両手を前に出して、ライナスの矢から身を守るように防御壁を張る。



「ーーー私のっ、ワタシの邪魔をするなぁあ゛っ!!」



押し切られそうになりながらもサラは必死に抵抗する。

ボロボロになる腕と枯渇しそうな魔力。

サラは叫びながら、矢の勢いを止めるように力をこめた。


その隙に影を操り、光の矢を闇の力で包み込んでから矢を打ち消した。


グッタリと力が抜けたサラの体。

傷ついた腕がダラリと垂れる。


憎しみの籠った瞳でライナスを睨みつけた。


ライナスは再び矢を放つ為に力を溜めているが、もう何かをする必要はない。


ライナスに背を向けて、急いでライナスとの距離を取る。



「お前だけはッ、お前だけは絶対に許さなッーーーギャアアァァ!!」



ドォォン、と辺りに重たく響き渡る音と体の芯まで痺れるような振動。


無数の雷がライナスに降り注ぐ。

眩い光は空から雨のように降り続いていた。


痛々しい悲鳴と共に一際、大きな雷が落ちる。


振り向くと、そこにライナスの姿は無く、地面には真っ黒に焼け焦げた跡だけが残っていた。


顔を思いきり歪めて言い放つ。



「………地獄に堕ちろ、女神ライナス」



そして痛みに小さく唸るサラを心配そうに見つめていた。



「サラ、すまない」


「っ…!」


「………ありがとう」



光の魔力が凝縮された女神の矢。

何の抵抗もせずに当たっていたら…。


胸元を震える指で掴んだサラは吠えるように叫んだ。



「馬鹿ッ!なんで、何で私をーーッ」


「……」


「なにを、何をっ、考えてるのよッ!!」


「無事で良かった……」


「ーッ、馬鹿じゃないの!?」



矢を防がなければ、間違いなく光の矢はヨムドイトに突き刺さっていた。

力を使えば簡単に身を守れたはずなのに、ヨムドイトは弱った自分がこれ以上闇の力に毒されないようにと身を乗り出したのだ。



「闇の宝玉を取り戻したとしても、ヨムがっ……ヨムが消えたら意味ないじゃないッ!!」


「………そうかもな」


「そんなの……許さないッ」



怖くて堪らなかった。

ヨムドイトが消えてしまう事が、何よりも怖かったのだ。


大粒の涙がボロボロと頬を伝う。

その涙をヨムドイトの指が優しく掬い上げた。



「何故、我が消えたら泣くのだ…サラ」


「……っ」


「素直じゃないな……お前も我も」



そう言って、困ったように笑ったヨムドイトは再び強く優しく体を抱きしめた。



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