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【受賞しました!】何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する  作者: やきいもほくほく
最終章 終焉

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48.返報


そして、儀式が次の日と迫った朝だった。

サラはいつものように食事を運んでいた。



「アンジェリカ様」


「……ぁ、っ…」


「最期のお食事をお持ちしました」



食事を運ぶ以外では誰も訪れない部屋の中に一人きり。

朝か夜かも分からずに薄暗く狭苦しい場所では気が狂ってしまうことだろう。


アンジェリカから何かブツブツと呟く声が聞こえてくる。

狂ったように叫んだかと思えば、電池が切れたように大人しくなる。


昨日から食事も水も手に付けていない。


数日前までの綺麗に着飾り、輝いていたアンジェリカは今は見る影もない。

壁を叩いたのか手は擦り切れて血が滲んでいた。

髪は掻きむしったのか艶もなく乱れていた。

自慢の純白の聖女の服は今ではボロ布のようだ。


(あぁ………惨め)


笑うのが我慢出来ずに思わずクスリと声を漏らす。

その声にピクリと反応を見せた。



ーーーガチャンッ!!



凄い勢いで此方まで走ってくると、ギロリと睨みつける。

アンジェリカの言葉を発するのを待っていた。


(何を言って、私を楽しませてくれるの…?)


暫くの沈黙の後、瞳に涙を浮かべたアンジェリカが掠れた声で叫び出す。



「ーーーだす、けでぇ!!」


「……」


「わ゛たしを助けなさいよッ!!ザラァ…っ!!」



傷だらけの腕が牢の隙間から伸びた。

アンジェリカに服を掴まれないように後ろに下がる。

涙を流しながら必死に助けを求めている。



「純白の聖女様、明日は儀式の日です」


「……!」


「明日になれば、牢から出られますから」



ピタリとアンジェリカの動きが止まる。

ワナワナと震え出したアンジェリカは頭を抱えて、オリーブ色の髪を振り乱しながら牢を思いきり叩く。



「っ…ぎ、儀式なんてじだぐないッ!!」



力任せに暴れる姿を冷めた瞳で見ながら言った。



「…ライナス王国の為ですから」


「何が国の為よッ!!信じられないッ!この国はわたくしを殺すつもりなのよぉおぉッ!!」


「……」


「こんなところ、もう嫌ッ!!嫌だわッ!!帰りたいっ!家にがえじでぇッ!!!」



涙、涎、鼻水でグチャグチャの顔を見て目を見開いた。

死の恐怖が、迫りくる時がじわじわとアンジェリカを追い詰めていく。


絶望に泣いている姿を見て、その場に似つかわしくない笑みを浮かべる。



「ゔぁあああぁッ!!!」


「フフッ…」



泣き叫ぶ声が地下室に響き渡る。

ここにアンジェリカを助ける者は居ない。


そして嘲笑い見下しているのはアンジェリカじゃない。



ーーーサラの方だった。



大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。

そして……アンジェリカの顔の前でニコリと微笑んだ。



「ねぇ…アンジェリカ様」


「……ッ!!?」


「アンジェリカ様を生贄にして、結界って出来るんですよね?」


「ぇ……?」


「………」


「ど、どうしてそれを…ッ!?」


「異世界人である私が何故知っているのかって意味ですか?」



アンジェリカに笑顔で語り掛ける。



「ぁ、っ……」


「どうしたんですか?驚いた顔をして」


「……き、記憶がッ」


「記憶…?あぁ……その事なんですけど」



アンジェリカは驚き、震えていた。

そしてトドメを刺す為に口を開いた。



「全て、知っていましたよ」


「ッ、……どう、いう事?」



(もっと、もっと…地獄にオチロ)



「アンジェリカ様は、騙されていたんですよ?」


「………ぁ」


「あは……思った通りに動いてくれてありがとうございます!お陰でとても助かりました」


「…ッ、」


「……こんな所に閉じ込められるなんて」



ーーー本当、馬鹿なんじゃない?



「ーーッ」


「ふふ、贅沢出来て楽しかったですか?皆に持て囃されて幸せだった??」


「は……」


「偉そうに命令ばかりしてるから皆に嫌われるんですよ?性格悪いって…」


「ザラアァ!!テメェ、ふざけんなあ゛ぁ゛っ!!」


「アハハ!私の身代わりになってくれて、ありがとうございます…!でも良かったですね……皆がアンジェリカ様を必要としているんですもの!嬉しいでしょう?」


「ッ嫌ア゛アァァ゛!!」


「アンジェリカ様は馬鹿な所為で死ぬの!こんなクソみたいな国の為に……ね」


「ーーーッ!?」


「国のために………頑張って下さいね、アンジェリカ様」



地下牢を去ると、外まで悲鳴が漏れてくる。



「……ブッ、アハハハ!!」



笑うのを止められなかった。

暫く階段で腹を抱えた後に、溢れてくる涙を拭う。


その足で国王へと報告に向かった。


困惑した表情を作りながら、胸を押さえていた。

そして涙を流して、震える唇を開く。



「あぁ、おいたわしい……純白の聖女様は、狂ってしまわれました」


「…そうか」


「アンジェリカ様は、罰を受けたのです」



目元を押さえて皆に聞こえるように言った。

"罰"の言葉に周囲は納得するように頷いた。


アンジェリカの今までの態度の事を指していると思っているのだろうが、此方側にとっては意味合いが違う。


(………次はお前達だ)


唇が歪んだ。



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