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【受賞しました!】何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する  作者: やきいもほくほく
2章 侵食

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32.怒号


周囲の目も気にせずに声を上げた。



「サラ様には是非、記憶を取り戻して欲しいわ…ッ!!」



その声は謁見の間によく響いた。



「サラ様…!辺境の村に帰るなんて言わないでッ!貴女が必要なの!!」


「………純白の、聖女様?」


「っ、辺境の村に帰るのを延ばして、少しの間だけ此処にいて欲しいのよ!!」


「……」


「大結界を張れるのは異世界から来た聖女も同じですわよね?それにもう一人聖女が居た方が貴方達も安心ではないのかしら?それに女神様の導きって事は、サラ様は此処にいるべきだって言っているのよ!」


「ふむ…」



焦った様子で周囲を説得して必死にサラを引き止めようとしている。

そんな様子を観察するようにじっと見ているとも気付かずに…。


"女神様の導き"という言葉が決め手になったのか、国王も静かに頷いた。



「……どうかな、聖女サラ。暫くの間ここに留まらないか?」



国王の言葉にホッと胸を撫で下ろした時だった。



「申し訳ございません。純白の聖女様、陛下……」


「…ッ!?」


「辺境の教会には子供達を沢山残しております…!それに怪我や病気の方々を放ってはおけません」


「……どういう事だ?」


「私は皆の症状を和らげる、または癒すことができるのです」


「なんと…!?誰にも何も教わっておらぬのに聖女の力が使えるというのか!?」


「聖女の力…?治癒の方法や祈り方などは女神様に教わりましたので問題なく使用できます」


「おお!これは本当に素晴らしい事だ!!」



周囲は騒めき立つ。


普通、聖女としての作法や治癒の方法は王城に勤めている神官達に習うものだ。

それは秘匿されており、辺境の村に情報が漏れる事は絶対にない。


けれど城の神官達しか知り得ない情報を知っている。


そして女神に教えてもらい聖女の力を習得したと言った。

この事で、女神の声を聞いたというサラの発言は真実となる。

多少疑いの目があった者達にとっても、状況をひっくり返すには十分な証拠だった。


「本物の聖女だ…」「女神様の遣いだ」という声が聞こえてくる。


それにここ最近、アンジェリカの態度は皆が呆れ返るほどに傲慢であった。

本来ならば治癒や聖女の力を使いこなす事が出来るはずなのだが、真面目に教わらなかったせいで未だに上手く力をコントロール出来ないでいる。


一方、サラは教会で子供達と過ごしながら治癒の力で人々を救い、女神に言われて此処までやってきた。



「……私は子供達や村の皆の為に、辺境の村に帰らねばなりません」



サラは静かに、けれど淡々と言った。

慈愛に満ちた行動に周囲は感心していた。


国王が嬉しそうに口を開こうとした時だった。



ーーーバンッ!!!



「わたくしがッ、このわたくしが此処にいなさいって言っているのよ!!」



壁を思い切り叩く音と怒号が謁見の間に響き渡る。

その音に驚いた周囲の視線がアンジェリカへと集まる。

余りの形相に驚いているようだった。


(ここまで言ってんのに、まだ村に帰ろうとするなんて!!生意気なのよッ!!!)


唇を噛み締めた。

まるでサラが優れた力を持った聖女のように見えてしまう。

そして期待に満ちた周囲の視線は全てサラに奪われてしまった。


常に上に立っていたいというプライドと、生き残りたい気持ちが心の中で鬩ぎ合う。


そんなアンジェリカの言葉に、下心があるカーティスも同意するように国王に耳打ちする。



「……父上、ここはアンジェリカの言葉に従った方がいいかと。これ以上騒ぎが大きくなれば厄介です」


「カーティス…」


「聖女であるサラが拐われて辺境の村に居たというのがバレれば、国民は我々を責めるでしょう。女神の意思に反したと…」


「……」


「それに異世界の聖女としてではなく、辺境の村のシスターが実は聖女だったという流れを作ればいいのです」



"異世界人の聖女"が戻ってきたという発表をしなくても、取り敢えずは"辺境の村のシスター"としてサラを迎え入れればいい。

そうすれば民にサラが消えたことがバレる事もない為、自分たちの失敗は露見することはないと。



「それもそうだな…」


「それに女神の声を聞くサラを此処に留まらせた方が得策かと……後々役に立つかもしれません」


「分かった」



改めて此方に向き直った国王は口を開いた。



「サラ……純白の聖女もこう言っている事だ。暫く此処に滞在してもらえないか。儂からも頼む」


「国王陛下、私は…」


「少しの間だけでいいのだ。大結界を張り終えるまでで良い」


「……かしこまりました。純白の聖女様と国王陛下の御心のままに」


「…っ」



サラはどの言葉にも動揺する事もなく、国王にも物おじせずに真っ直ぐに此方を見据えている。

召喚された時とは全く違うサラの姿に戸惑っていた。


そして、そっと目を伏せながら神官達から説明を受けるサラの姿はもう別人のように思えた。


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[一言] 上手いねサラ。
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