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一度やると怖くなくなる(:菫)


View.ヴァイオレット



「もういっそ全裸で迫れば良いんじゃないかなと思うの」

「落ち着くんだ」


 クロ殿が殿下達を連れ街へ向かった日の午後。シアンのフォローのために屋敷内に招き色々と話を聞いていると、シアンが開き直り始めた。

 突然の発言に私は止め、同じように話を聞いているアプリコットとエメラルドは「ついにここまで来たか……」といった表情をしている。


「私は神父様を服の中に入れて神父様の顔面を胸の谷間に押し付けるという事をやってのけた。私にはもう怖いものはない。行ける」

「行かないで欲しい」


 シアンは今正常な判断が出来ないでいる。恐らく放っておけば本当に仕出かしそうである。友に何処かの美を誇示する変態と同じような行動をし、お縄については欲しくない。そのため私はどうにかしてシアンの想いを修正する方向に話を進めなければならない。


「直だよ直。イオちゃんだってやった事なさそうな服の中に入れるという行為だよ? これで私が一番進んでいると言っても過言ではない」

「過言だ」

「胸という母性の象徴で甘えさせたのなら、次は……うん。やっぱり迫るべきなのではないかな。伸るか反るか的な感じだよ」

「大事な事をそんな博打にするべきでは無いと思うぞ? もっとそこは雰囲気を作ってだな」

「恋愛は博打! 強気で行かなくちゃ手に入れられるモノも入れられないんだよ!」

「……アプリコット、エメラルド。黙って居ないで止めてくれ」


 駄目だ。私だけではどうにもならない方向に進んでいる。

 ここは恋愛に関して悩んでいる者同士の会話という事で呼んだアプリコットと、グレイが「女性同士の会話ならば!」という事で流されるがままにここに居るエメラルドに助けを求めた。ちなみにグレイは女性同士ならば自分は邪魔であると言って、今頃ブラウンと遊んでいて屋敷には居ない。


「……ま、良いんじゃないか。コイツも前に進もうとしているということだろう。据え膳状態ならば、神父も昨日あったというエロを思い出して上手くいくかもしれんぞ。神父とて男だからな」

「本音は?」

「面倒だ。悩むよりまず行動しろ」


 駄目だ。エメラルドは止める気が無い。

 行動しろという事に関しては私も賛成だが、いきなり裸で迫ったら別のなにかを心配するだろう。

 私はエメラルドではなく、帽子を脱いでグレイから貰った山茶水仙花を愛おしそうに触っているアプリコットの方を見る。私の視線に気付いたアプリコットは「ふむ」と頷きシアンへと話しかける。


「効果は薄いと思うぞシアンさん。身近にいる存在の肌を見た所で、興味を持たれないか気まずくなるのがオチだ」

「む、でも私の女らしい……かはともかく、私の女性としての身体をアピールすれば女として意識するもんじゃない?」

「否定はせぬが……我、普通に弟子には裸は見られているからな……特にお互いになんの反応も無かったわけではあるが……近すぎると意識すらされないと言うべきか……」


 グレイとアプリコットは意識し会う前は温泉とかにも一緒に入っていたわけだからな。エメラルドとも入っていたようであるし、お互いに身体を洗い合ったともいう。

 だがその場合は……


「それはレイちゃんが子供で性関連がよく分かっていないだけで、神父様は成人した男性だし」


 グレイの場合は子供であるという事と、前領主の奴隷であった頃に他の奴隷が性的虐待を受けているのを見て無意識に避けている(クロ殿談)だけであるので、グレイと神父様では話が違うと思う。


「だが、クロさんとカナリアさんを思い出して見ると良い。あの二人は仲は良いが、恋愛的感情は無いだろうし、互いの裸の場面に遭遇しても“あ、すまん”か“成長したね!”程度のリアクションで終わりそうではないか?」

「……む」


 ……確かにそうだな。

 クロ殿とカナリアは近いので、特に気にしなさそうな感がある。……まぁ興奮されるのも寂しくは思うが。

 ん、待て……そうなると私達も――


「――はっ! まさか私達もそうなって互いの身体に興味が無くなる時期が来てしまうのか……!?」

『無用な心配だ(よ)』


 不安がよぎったが、全員に否定された。

 これは喜ぶべき所なのだろうか。ともかく、そうならない様に身体を磨くべきだろうか。私はクロ殿にはならないと思うが、私が飽きられても困るからな……


「……なんかイオちゃんが贅沢な悩みをしている感があるけど。でも確かに……妹としてしか見られていない現状では、成長したんだな、的な感想しかもらえない気がする」

「そもそも昨日、襲って貰おうとしているのが間違いだと言ったはずなんだがな」

「う……そうだけど、興味は持って貰いたいし」

「否定はせんが、性欲がイコール異性への興味の全てじゃないだろうが。お前は神父の○○だけを望むような淫乱な女なのか?」

「淫っ……! そうだね、ごめん。変に吹っ切れていたよ……」


 エメラルドが窘めてくれたお陰で、シアンはとりあえず全裸で迫るという事はやめてくれたようだ。良かった。

 ……もしかしてだが、エメラルドは初めからこうなる事を予測していたのだろうか。まずは興味は無いという、止めようとする反発を判じさせない第三者的スタンスをとってから、話を修正する。という感じに……


「まぁ性欲は恋愛で切り離せない存在だから、性欲を制せば恋愛を制せるが」

「どっち!?」

「男なんて襲わせて責任取らせれば一発だということだ」

「いや、流石にそういうのは……私がしようとしてはいたけど、初めは神父様から同意を得て……」

「だが、現に私の母はそうしたらしいぞ。腹に居た私を指さして“責任とってね(はぁと)”的な感じだったらしい」

「本当に!?」


 ……いや、どっちだろうか。単純に言いたい事を言っているだけな気もして来た。というかエメラルドの母君は良いか悪いは置いといて強いな。シキに来る前には亡くなっていたそうなのでどういう方かはエメラルド以外誰も知らないそうだが。


「エメラルドの母君はともかく、まぁ状況によるという事だろうな。攻めるのも大切だが、大暴投していては良くないぞ」

「大暴投……つまり正道で行くとなると……そうだ」


 シアンはどうすれば良いかと頭を抱え、必死に考える仕草を取っていると……ふとある事を思いついたかのように顔をあげた。


「ちょっと神父様の唇奪ってくる」

「落ち着くんだ」


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