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帰る間際の一騒動_6


 何故しているのか。は周囲のメンバーも分からないだろうが、なにをしているのかは、行動しているシアンが一番理解していないだろう。むしろ理解していたらまずやらない行動だ。

 そのような行動をした理由は俺が煽った事の内容と、メアリーさんが何故か神父様との距離が近かったという事が起因しているのだろう。

 そして今の状況で自分はどうにもできないと思いつつ、フォロー出来る時にしないといけないと見守る事にした。


「シ、シアン!? な、なにを……!?」

「神父様! 私の鼓動が聞こえますか! そりゃもうドックンドックンといっているでしょう、これが言いたい事を言うために緊張している私の鼓動の早さです!」


 多分違うと思う。


「き、聞こえる、聞こえるから落ち着いてくれ! 何故急にこんな事を!?」

「神父様が女性とイチャイチャしてデレデレしていたからです!」

「誤解にも程がある――ぬぷっ!」


 シアンは慌てふためく神父様を無視してさらに強く抱きしめる。……大丈夫だろうか。シアンは力強いし、あれ以上強く抱きしめると痛いという方が大きくなるんじゃないだろうか。

 あと、神父様は別にデレデレはしていなかったと思う。思い返すとメアリーさんが近付いていた時の神父様は少し不思議そうな表情で、メアリーさんは……妙に真剣な表情だったような気がする。なんというか、なにかに反応して確認をしているような……


「どうですか、イオちゃんやメアリーちゃんほど大きくは有りませんが私だって大きい部類なんですよ、多分! ですから私だって――」

「…………」

「私だって、こうやって顔を埋める事は出来るんですよ! ほら、どうですか! 男の方はこういうの好きなんでしょ! 柔らかさの圧迫ですよ嬉しいんでしょ!? あの大司教相手だと嫌ですけど神父様なら自由にして良いんですよ!!」


 ……まぁメアリーさんは気になるが、そろそろ手助けしないとまずい。神父様が死んでしまう。


「シアン」

「なに、クロ! 今は神父様を誘惑(あはーん)しているんだから邪魔しないで!」

「そんな力強いあはーん、があってたまるか。ともかく、そろそろ離さないと神父様が天に召されるぞ」

「は、天に召される? 召されるって……神父様!?」


 そう、神父様は正面はシアンの胸で圧迫され息がし辛く、逃げようにも顔はシアンの力によって固定されているので動けずにいて少し危うい状態になっている。多分途中からシアンの言葉も聞こえていなかっただろう。


「けほっ、けほっ、シ、シアン、落ち着いたかな……?」


 俺の言葉に神父様の状況を把握したシアンが慌てて手というか腕を開放して、神父様の顔を自らの胸から離す。ようやく息が出来るようになった神父様は咳き込んだ後息を整えながらシアンの心配をしていた。


「ごごご、ごめんさい神父様! 私気が動転して、その、変な事を……!」

「い、いや、落ち着いたのなら良いんだ。だけどあまりこういう事をしてはいけないぞ?」

「こういう事……あ、う……」


 そして自分がなにをしたのか自覚したシアンが、顔を赤くして身悶え始め、


「抱き着かれたら皆勘違いしてしまうぞ? シアンは綺麗で魅力的な子なんだから」


 神父様の言葉に止めをさされ、


「ご、ごめんなさい神父様! 私、外で頭を冷やしてきます!」

「シアン!? 外吹雪だぞ!?」


 羞恥心のあまりそのままの格好でダイニングルームを飛び出していった。

 神父様はシアンの行動に驚愕しつつ、慌てて追いかけていった。

 その様子を見送ったあと、少しの間を置いてヴァイオレットさんが心配そうに一連の事を見ての発言を言った。


「……私達も追い駆けた方が良いだろうか。吹雪で制服下着なしは凍えると思うが」

「いえ、大丈夫ですよ。下手に追いかけると俺達まで被害が及びますから」

「そうだな。あと、神父様は結構天然な所があるな」

「ですね。でも本音だから言える事ですから、脈無しという訳でも無いんですよね」

「確かにな……」


 神父様はシアン事を好きか嫌いかと問われれば、間違いなく好きな部類には入るだろう。

 ただそれは俺とカナリアみたいな家族としての好意であり、恋愛的な好意になるかは微妙な所ではあるのだが。


「なにをしたかったのだろうな、シアンさんは……」

「アプリコット様。私め達も以前しましたし、シアン様も感情の実験したかったのでは?」

『え』

「いや、確かに以前はしたが……弟子よ、あれはだな」

「その際はアプリコット様は上半身は、は――」

「弟子! それ以上は言わなくて良いぞ!」


 え、あいつらいつの間に。間違いなくグレイは無意識だろうけど、いつそんな事をしたんだ。


「吹雪……寒い……外――はっ! つまりあれは肌で温め合う事で暖を取るという行為! シアンは脂肪が多い比較的温まりやすい胸を使う事で効果を確かめ合ったという事ですね!」

「カナリアちゃん、一応言っておくと脂肪は冷えるからね。確かに胸は温まりやすいだろうけど。だよねシルバ君」

「僕にふらないでよ。胸に膨らみは無いから分からないし……」


 そしてカナリアは見当はずれの所感を抱いて、クリームヒルトさんに少し論点が違うようなツッコミを入れられていた。

 シルバは一瞬メアリーさんの方を見ようとして、見てはいけないと思ったのかすぐ視線を逸らしていた。……男の子だな、シルバは。


「……クロ殿」


 シルバの様子を見たヴァイオレットさんが、少し疑問の表情で俺に尋ねてくる。


「クロ殿も今のように胸で顔を埋められたら嬉しいのか?」

「多分嬉しさよりも動揺が勝つと思います」


 あと、その問いは嬉しいと答え辛いと思うんです。


「そうか。……そうか」


 そして自身の胸を見て「むぅ……」みたいな表情をしないでください。やって貰えたら嬉しいのは確かだろうけれど、今言ったように動揺が勝ってしまうと思うんです。

 俺はそれでも視線がヴァイオレットさんの胸部に行きそうであったので、邪心を振り払うために目を逸らした。

 ……シルバの事、とやかく言えないな、俺。

 シルバがメアリーさんの方を見て邪な気持ちにならないようにしていたのと同じでは無いか。なんというか、情けない。


――そういえば、さっきのメアリーさん……


 ふと、シルバが見ようとしていたメアリーさんの事が先程気になっていたのを思い出した。その疑問を晴らす為にメアリーさんの様子を確認したいが……今の状況でメアリーさんをジッと見たら有らぬ誤解を受けそうである。

 なのでほんの少し、ヴァイオレットさんが自身の胸に軽く手を当てこちらを見ていない、そして周囲もこちらを見ていないタイミングでメアリーさんの方をチラッと見る。


「あ、シルバ君。では錬金魔法でつくった一時的に胸を膨らませる薬を試してみますか?」

「問題はそこじゃ――そんなものあるの!?」

「そういえばこの間見つけた錬金魔法の本にあったねー。確か男性専用で、一時的に脂肪を胸に発生させるとか、だっけ」

「それ服用後に胸が大変になるような気がするね……」


 今は普段の表情になり、クリームヒルトさん達と話しているが、やはりメアリーさんの挙動だけが少し気になった。

 学園やシキでのようでの振る舞いではなく、なんとなく素に近い感じがしたのは気の所為だっただろうか?


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