~式中の会話_夫婦と夫婦~
~式中の会話_夫婦と夫婦~
「で、スノー君とクロはなんで疲れてるの?」
「結婚式の主役だからな。挨拶とか対応とかで疲れるのもおかしくは無いだろう。なぁスノー?」
「そ、そうだな。会話で疲れたというかなんと言うか……うん、そんな感じだ!」
「? イオちゃん、どう思う?」
「神父様の方は分からないが、クロ殿の方はいつも通りで微笑ましく思えるな!」
「相変わらずだねー。仲が良くて良き哉良き哉」
「そのように言うシアンも相変わらず神父様の内心は読みにくいのか? 今までは好きが先行し過ぎて読みにくかったようだが……」
「うん、結局は好きが溢れてるから全く以て読めないね!」
「潔く!」
「まぁでも前よりは読みやすくなったかな? なんか一歩前進した事で、行動が読みやすくなったというか……イオちゃんもそんな感じだったりする?」
「確かに読みやすくはなった部分もある。が、未だに攻めの言葉に対応できない辺りは私の読みも甘いと思う事が多いな。そしてそれがとても楽しい!」
「潔いね!」
「だが気持ちは分かるだろう?」
「まぁね!」
「なぁクロ、これは反論とかした方が良いのか?」
「俺達の妻は今日も可愛いし、夢中になってくれているという証拠だから素直に受けとけ」
「そ、そうか」
「あと完全に読まれると、反撃の余地なく一方的に攻撃を受けひたすら揶揄われる羽目にはるぞ。ある意味では手玉に取られ続けられるがこちらはずっと夢中という感じだが……」
「……反撃はしたいな。そうでなければなんか、こう……具体的な言葉にはし辛いが、複雑な気持ちになる」
「それはな、スノーが生粋のマゾヒストでないという事の証明だ」
「なんか違わないか!? …………」
「どうした複雑そうな目で俺を見て」
「子供は親に似ると言うが、その通りだなの思っただけだ。【守るべきモノがある男児は強し】であり夜は野獣となるクロ」
「ど、どうしたスノー!?」
「そうですよスノー君、どうしたんです急に?」
「すまない、先程クロの娘と息子にそちら方面の言葉で翻弄され、クロにもされたから一矢報いたくなったんだ」
「なるほど。――ハッ!? つまりクロがスノー君を狙ってる!?」
「なんの気付きだシアン」
「クロ殿、もしや先程する予定だったサーカス団の演劇は事実を元にしたものだったのか……?」
「違いますよ!? 俺はヴァイオレットさん一筋です!」
「うむ、知ってる。互いにな」
「うぐ。……分かって揶揄いましたね?」
「もちろんだ。そういう反応になると分かっていたからな。満足だ」
「くっ、その満足顔を見せられると許したくなるとかそういう以前に、満足して貰って嬉しいという感情が湧きあがる……! これも計算ですか!」
「い、いや、そこは、計算外というか、そのような事を言われるのは、ええと……照れる」
「そのテレ顔も計算ですか!? くそっ、反則級だ、可愛いが過ぎる!」
「違う、計算じゃ――あ、私にさらに照れさせるために言っているなクロ殿!?」
「バレましたか。仕返しです。読みの甘さは楽しかったですか?」
「くっ、ドレスでなければ一発だけ叩きたい……!」
「なぁシアン」
「なんですスノー君」
「俺達もこんな感じの夫婦を目指すべきだと思うか?」
「スノー君がクロ、あるいはイオちゃんみたいな感じになるのが想像出来ませんからね。目指すのは難しいかと」
「なるほど、つまり未来は誰にも分からないから、想像出来ない俺達のイチャイチャでラブラブで甘々な夫婦を目指せという事か!」
「はい?」
「手始めに色んな事を試すためクロのように攻めてみよう!」
「ちょっとなにかが違いますよ!?」
「手始めに――ああ、シアンと一緒に居ると癒されるなぁ」
「スノー君、もしかしてですけどクロの印象が“普段領主として精神的にまいる事が多いから妻で癒されている”ってなってません?」
「おお、読まれた! これが夫婦の以心伝心――イチャイチャか!」
「違いますからね!」
「あのヴァイオレットさん」
「なんだクロ殿」
「もしかしてこれが俺達イチャつきに利用されましたかね?」
「されたな。普段から利用されているからとやかくは言えないがな」
「互いに無意識ですけどね。……というか俺の印象ってそんな感じなんですか?」
「ところでクロ殿、お腹は空いていないか? 対応ばかりで食事に手を付けていないだろう?」
「分かり易い話題逸らし! 別に良いですもの、実際ヴァイオレットさんは癒しですからね!」
「私にとってのクロ殿も癒しだ!」
「よし、お互い様ですね!」
「ああ、お互い様だ!」
「シアン」
「やめてください、私達にはあのなんでもかんでもイチャイチャに繋げるのは早いです!」
「クロ、覚えておいてくれ。シアンにも許可を得たから来年にはクロ達のようになるからな!」
「スノーくぅーんー!!!?」
「馬鹿言うなスノー! 来年に今の俺達レベルで満足しようとしてんじゃねぇ! 俺達はその間も上に行くんだから、永遠に追い付かんぞ!」
「追いつく追い付かないじゃない、目指して自分らしさのイチャイチャに繋げたいという意味だ!」
「なるほどな! じゃあ俺達は!」
「ああ、俺達は!」
「「イチャつきの最高を目指すぞ!」」
「イオちゃん」
「シアン、先に結婚した者としてアドバイスをしよう。――夫の暴走を諫めるのは妻の役目だ」
「じゃあ早速実行しようか」
「だがシアンは止めたくないのではないか? 顔が赤いが表情がニヤついているぞ?」
「イオちゃんも止めたいでしょ?」
「ところでクシアン、お腹は空いていないか? 対応ばかりで食事に手を付けていないだろう?」
「分かり易い話題逸らし! 良いの!?」
「夫の暴走を温かく見守るのも妻の役目だからな」
「さっきと言っている事が違わない!?」
「時と場合によるというやつだ。ところでシアン」
「なに?」
「神父様がイチャつきの神髄を究めようとベージュ夫妻に聞き行ったが」
「マズい、私達の愛が殺し愛になる!! というか止めてよ!」
「ドレスで動きにくくてなー」
「嘘だー!!!」




