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~朱と白の付き合い直後~


~朱と白の付き合い直後~



「ところでヴァーミリオン君。こうして告白を受け、しばらく抱きしめ合い、嬉しさを噛み締め合ってふと思う事があるのですが」

「説明的な台詞でどうした、メアリー」

「付き合いたい。と仰いましたよね」

「言ったな」

「……王族で付き合うだけ、ってあるんですか? 婚約とか無しに付き合うってあまり無いイメージがあるのですが」

「……何事にも例外はある、というやつだ」

「ほほう、つまり付き合うだけで、婚約はしていないからいつでも別れられる、と」

「違う! それは――いきなり結婚してくれは重いのではないか、と思ってな」

「変な所で常識出さないでくださいよ!」

「わ、悪かった! だったらええと、結――」

「常識を出して日和った分は、次の結婚のプロポーズを楽しみにするという事にしておきますね?」

「……今すぐ言っては駄目か?」

「駄目でーす。卒業間近とか、正式に結婚する直前とかに言ってくださーい」

「これは……学園生としての最大の課題が出来てしまったな」

「嫌ですか?」

「これほど楽しみな課題は初めてだと思っているよ」

「それは良かったです」

「では俺からも課題を――」

「お断りします!!」

「メアリー!?」

「課題を出してあたふたするヴァーミリオン君を見るのは良くても、あたふたして喜ばれるヴァーミリオン君を見るのはなんか嫌です!」

「一方的や過ぎないか!?」

「冗談ですよ。課題はなににします? 最高の結婚のプロポーズのために……場所を提供するとか……?」

「場所?」

「ひとまず王城を貸切る程度の資産を稼ぐのを目指す感じで」

「……メアリーだと本気になれば卒業まで出来そうだな」

「王城一日貸し切り券っていくらなんでしょうね。今度概算を出して貰いますか」

「出さなくて良い。というよりも場所も俺が提供するからやめてくれ」

「えー」

「えー、じゃない。可愛くむくれても駄目だ」

「…………」

「どうした?」

「えっと……可愛くむくれたつもりが無かったので、不意打ちを喰らったといいますか……うぅ」

「結婚しよう」

「早っ! 早いですよヴァーミリオン君! 最高の楽しみで課題はどうなったんです!」

「照れて可愛らしいメアリーを見たら我慢できなかった。許さなくて良いからもっとむくれろ」

「そこは許して欲しい、じゃないんですか!? ぜ、絶対むくれませんし、今のプロポーズは無しですからね!」

「くっ、フラれたか……一世一代のプロポーズが……! という訳で結婚しよう」

「一世一代何回あるんですか。あまりそういう事言うと本気の時も言葉が軽くなりますよ」

「つまり俺が日常となるという事か」

「あ、待ってくださいその言い方だと懲りずに何度もする気ですね?」

「学園名物とかすのも良いとは思わないか?」

「思わないか、じゃないですよ。ぜ、絶対ダメですからね!」

「む、知っているぞ。それはエクルから聞いた、“本当はして欲しいというお約束”というやつだな!」

「押すなよ、絶対押すなよ的なフリじゃないですから! 絶対! やめてください!」

「分かった、すまない。だが先程のようについ言ってしまう事はあるかもしれないが許してくれ」

「その程度ならまだ良いですが――待ってください、これドア・イン・ザ・フェイスじゃないですか? 最初に大きな要望を出して後から本命を出すという交渉術……」

「ところでメアリー。お腹は空いていないか?」

「露骨な話題逸らしですね!? ……まぁお腹は少し空いていますが、酒場にでも繰り出す感じですか?」

「少しなら我慢は出来そうか?」

「え? は、はい。出来ますが……」

「では少し二人で歩かないか? ここに夕食後にも探せるようにと携帯食を持っていてな。軽めにはなるが二人分程度なら分けられるから、二人で歩きながら何処かで夜空を見ながら食べたいと思う」

「お、デートのお誘いですか?」

「そうなるな」

「良いですよ。――はっ!?」

「なんだか嫌な予感がする“はっ”だな」

「何故そんな予感が……?」

「今までの事を振り返ればそうもなる。なにに気付いたんだ?」

「これは前世のゲームで見た、告白後のそういうシーンが挟まるような、制限の――アイタッ!」

「メアリー。ここは現実。ゲームの常識。当てはめない」

「な、何故カタコト……そ、そうですよね。まだ早いですよね」

「うむ、納得したようならなによりだ(……そういうシーンとは一体なんだったのだろうか?)」

「という訳でデートに行きますか。……あ、その前に」

「どうした?」

「私の課題はなににしますか?」

「ああ、それか。……む?」

「なんでも良いですよ? 王国最強を目指せとか、王族に相応しい爵位を取っておけとか」

「あー……メアリー」

「なんです? あ、素手でドラゴンを倒しきるとかでも良いですよ!」

「何故野心や力に溢れたものばかりなんだ。ではなく、その……向こうを見てくれ」

「向こう? ……あ、シアンに神父様」


「あ、バレましたね。どうします神父様」

「あー、うん。お二人共、覗き見る形になって申し訳ないと思っている。そして邪魔してすまない。だがな、その……うん、後は頑張ってくれ」


「え、後はって――あ」


「兄です」

「姉です」

「お、弟です」

「い……妹です……」

「そして母! 二人の! 母!! あははは! わーい、息子夫婦の誕生と孫が見られるよやっほう!!!!!!」


「逃げるぞメアリー」

「い、今から逃げるとあらぬ噂をたてられません!?」

「今捕まると母さんの事だから“私が見本を持って教えるからレッツ孫!”とか言いだすぞ」

「逃げましょう」

「あははは! ――逃がすとお思いか!」

「サキュバス化しやがった! くそ、全力で逃げろ!!」

「あ、後で報告しますから、今は逃げさせて頂きますねマゼンタさん!」

「お義母さんと呼んでメアリーちゃん!」

「早いですから!」


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