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婚前の作戦?_4(:紺)


View.シアン



「見つけたね」

「見つけましたね」

「……どうしよっか」

「……どうしましょうね」


 服を盗んだであろう相手の足跡を見つけ、アンちゃんに報告した後、服を簡単に乾かして足跡を追い駆けた。途中で足跡は途切れていたのだが、アンちゃんの鼻による追跡などもあり、無事盗んだ相手の居場所を発見できたまでは良かった。


「子供を包ませているし、取り返した所でボロボロになってそうだね」

「ですね」


 しかし発見できた先で私達が見たのは、洞窟に住む、動物に分類される黒と白が混ざった毛並みをした狼であった。夏場とはいえ身体の弱い子供狼を温かくするためなのか、柔らかな寝床のために布などを集めていたのかは分からないが、私達が来ていたシスター服と従者服は子供狼がベッドのように使いながら安らかに眠っている。

 私達であれば狼に勝ち事は容易であるし、取り返した後に先程の滝で服を洗えばシキに帰るまでの応急処置服としては問題無いだろうが……盗んだものとはいえ、服で気持ちよさそうに眠っているあの親子狼の様子を見ると、流石にそこまでは出来ない。


「……誰かに見つからないようしつつ、帰ろっか」

「……はい。今の格好は少々心許ないですが、服は有効活用されたのだと思う事にしましょう」

「そうしよっか」


 これが私達が全裸という状況なら、親子の団欒時間を壊してでも服を奪ったであろうが、一応私達は服を着ている事は着ている。この格好のままシキへと戻り、着替える事にしよう。

 シキに着くまでには少々距離があるので、出来れば早く着替えるためにも来た道をそのまま戻り、最短時間で帰りたいが……


「う、うぅ。下がやや短いのに、下着も無いので色々と不安です……!」


 ただ、アンバーちゃんは普段の格好と比べると露出が多い今の格好に対し、恥ずかしがっているので、少し遠回りでも人気が少ない道を通った方が良いだろう。


「大丈夫だよアンちゃん。私やマーちゃんも下着無しでも大丈夫だし、気にしてた方が恥ずかしくなるってモノだから」

「そ、それはそうかもしれませんが……!」

「でも、普段から下着を見られるような動きをしている訳でも無いでしょ? 結構見えないもんだって。だから大丈夫」


 気休めの部分もあるが、大半は本音でもある。

 例えば普段からそこまで長いスカートでも無いコットちゃんの服装も、日常生活で下着まで見える事は限りなく少ない。私の服装だってそうだし。それなのに下手に意識をしてしまえば、かえって恥ずかしいだけだと私は思うのである。……まぁ昔から教会に所属し、下着を一度しか着用した事の無い私だからこその感覚なのかもしれない。正直下着無しの心許なさとかはピンと来ない。


「普段はあるという事が当たり前の時、ふと無くなると不安になると言いますか、知っているからこそ失う事が怖いと言いますか……シアン様にとっての神父様です」

「どゆこと」

「知らなければ傍に居なくてもなんとも思わないでしょうが、知っている状態で傍に居なければ大いに不安にもなりますし、愛おしくもなるのです」


 なるほど、なんとなく分かった気もする。


「ともかく、私が先行していくから、アンちゃんは後ろに控えてついて来てね?」

「よ、宜しくお願い致します……!」


 心許なさを理解出来た所で、私達は早めにシキに戻る事にした。そして戻った後は身体が冷えているとよくないから、念のため早めにお風呂にでも入る事にしよう。


「大丈夫、大丈夫……恥ずかしがった方が恥ずかしいのです……!」


 ……しかし、今日はアンちゃんの以外な姿を見られるなぁ。年上の大人な女性に言うのは失礼かもしれないが、可愛いと思えてしまう姿である。







「よ、ようやくシキの近くまで来ました……!」

「見つからなくて良かったね」

「はい……危険な時は有りましたが、気付かれなくて良かったです……!」


 男性冒険者などとニアミスする事はあったものの、見つかる事は無く私達はシキの近くまで来ていた。

 アンちゃんはヒトの気配(主に香り)に敏感に察知しては逃げ隠れたので、滝へと向かうまでの倍以上の時間をかかりはしたが、結果的に見つからなかったので良しとしよう。……私だって見られたい訳でも無いしね。


「ここまでは大丈夫でしたが……」

「うん、見つからずに進むのは難しいね……」


 シキは辺境の地とはいえ、人通りはなにかと多く、見つからずに避けていくのは難しい。特に子供はモンスターの結界の内側ならば何処へでも行くし、予想外の行動が多く読みにくい。ここからだとクロの屋敷よりは近い教会だと特に子供は多いだろう。いくら香りに敏感なアンちゃんとはいえ、回避は難しいように思える。子供に見つかる分には良いが、男性に見つかるのは流石に……


「まぁ最悪見つかっても事情を説明すれば良いから、捕まったりはしないだろうけど、男のヒトに見つかれば恥ずかしいのには変わりないし……あれ、どうしたの?」

「……いえ、トウメイ様の格好を平然と受け入れられるシキの皆様ですから、堂々とすれば案外問題無いのでは、という考えが過りまして……」

「……それは最終手段にしよう」

「……ですね」


 クリア神様の敬虔たる信者としては否定をしたいが、否定すると嘘を吐く事になりそうなので、答えを曖昧にしておいた。


備考1 動物とモンスターの違い

動物:言語形態が見受けられず、人々と共生でき、害を為さない生物

モンスター:言語形態が見受けられず、人々と交渉の余地がなく、害を為す生物



備考2  下着を一度しか着用した事の無い

シアンのような生まれついての教会関係者は、例外的状況を除き基本下着を着用禁止だが、「一度も知らずに否定だけするのは良くない」という教えがあるので、必ず一度は着用する。


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