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弱くなっている?(:朱)


View.ヴァーミリオン



 娼館街の女王になると言った、先日俺達が娼館街へ直接赴いて(その際にあった事は思い出したくない)まで面倒を見た王城に居るはずの先祖を、近くに居た監視の者達(疲れが隠せずにいた)に預けた。


「ハッ、ワタシのような経験豊富な女の口直しにあの金髪っ子のお清楚系に会おうとしているのかもしれんが、会う時に私の顔を思い浮かべる呪いをかけておいてやる!」

「? ねぇヴァーミリオン。経験豊富の口直しがお清楚系ってどういう意味? 金髪ってメアリーさんの事ではあるだろうけど……」

「分からんな。俺達が会うメアリーは清楚ではあるが人生経験は豊富であるはずだからな……」

「だよね。経験豊富で色々ためになるよね。仕入れ元はよく分からないけど」

「くそっ、アイツら天然ボケかよ!」


 そして預ける際に訳の分からない事を言っていたが……気にするだけ無駄というものであろう。今はそれよりもメアリーの所へ行き、口直しならぬ気分直しを――


「あ、それと子孫ヴァーミリオンと、ある意味子孫のシルバ」


 と、互いに去ろうとする前に自称先祖……もとい、ナデシコはなにか伝え忘れた事があったかのように、俺達に呼びかける。

 口を開けば欲望まみれの言葉ばかり吐く女であるので、面倒くさいから無視しても構わないのだが、無視をするとさらなる面倒くさい事になる事はここ最近の経験で学んでいるので、素直に立ち止まって言葉を聞く事にした。


「アナタ達、ちょっと見ない間になにか修行でもしてたの?」

「修行?」

「いや、してないが。何故そう思った?」

「体内魔力がトラッシュされているというか、揺れ動いているというか……元あった形と代わっている気がしたからそう思っただけ」


 つまりそれは……魔力に不調があるか、なにか身体に変化が訪れている、という事だろうか。生憎と俺にはそのような違和感は……違和感は、ない、と思う。


「えっと……僕はあんまり自覚ないけど、それってマズくない?」

「自覚ないなら平気よ。もし意識して変えているなら、あんまり良くないからやめておきなさいって言おうとしただけ。多分思春期にありがちな魔力のブレのようなものでしょう。そう、あの蠅と怠惰女みたいな思春期にありがちな、ね!」

「そういう風に揶揄っていると、あの二人に子供云々で揶揄われる羽目になるよ?」

「やかましいわ。という訳で魔力のブレを感じたら私の所に来なさいある意味子孫のシルバ。私が貴女の魔力の吐き出しを私が中で受け止めて調整してあげるから!」

「よく分からないけど、さらなる不調になりそうだからやめておくよ」


 全くである。シルバはよく分かっていなさそうであるが、恐らく性的な事であるだろうからな。……というよりもしそんな事を出来るのなら、やはり娼館街に預けるのはマズいのではないだろうかと、今更な疑問を浮かべてしまう。


「そしてヴァーミリオン」

「俺もお断りだが」

「違う。……アンタに手を出すと凄く怖い子が居るから、アンタにはそういう意味では手を出さないから」


 何故かなにかを思い出すかのように震えるナデシコ。多分その震えの元はシルバに手を出しても同じようにお前に恐怖を与えると思うのだが、今言うのはやめておくとしよう。


「では俺に何用だ?」

「うん、アナタ、もしかしてだけど……凄く弱くなってるんじゃない?」

「? それはどういう意味だ?」

「そのままの意味。アナタ――」


 ナデシコは以前一度だけ見たフォーン会長と似た、なにか別次元の物を見据えるような目で俺を見ると、言葉を続ける。


「なんかワタシと似た魔力を身に宿しているみたいだけど……なにか悪い物でも食べたの?」


 そんな、世間話で言うかのような口調で、俺に告げるのであった。


「まぁワタシの子孫だからね。ワタシのようになりたくて変化させているなら止めないし、無理も無いという話! 手を出すんじゃ無くて出されるならワタシはいつでもウェルカムだから!」

「さっさと帰れ」


 あと最近思うのだが、ここ一年は俺の貞操を狙ったり性的な刺激をして来る輩が多い上に、その半分近くが血縁者ってどういう事なのかと問いかけたいものである。







「む、フォーン会長か、丁度よかった。メアリーは――先程学園長室に行った? 情報ありがとうございます」


「あ、スカイ。メアリーさんを探しに学園長室に来たんだけど、中にメアリーさんは――え、スカイと入れ違いに図書室に行った? うん、ありがとうね」


「図書委員のサックスブルー、メアリーは今日図書室に――なに、何冊かの本を、あまり見ない男子生徒と一緒に運んでいった? 資料室に行くと言っていた? 情報ありがとう……だがサックスブルー。俺とシルバが一緒に歩いているだけで興奮してメモを走らせるな。不敬罪で捕まるし、同じ男として色々と不安だ」


「あ、フューシャ殿下。メアリーさんを見て――え、触れて資料が倒壊して、倒壊の際にピンポイントにメアリーさんの制服の留め具という留め具のみを壊して、直すために一旦フューシャ殿下の運動着に着替えて寮に戻った? 着替え終えたら王城に直接行くって? そ、そうなんだ。ありがとね」


「む、コーラル母様。メアリーを――よし落ち着いてくれ母様。急に会いに来て母子の絆を深めようとするのはやめてくれ。それでメアリーは――ほう、母様との用事を既に済ませて、学園に戻った、と。……入れ違いばかりだな。ありがとうございます母様。私はこれで――待て、俺だけを逃がすまいとしようとするな。あの交流をもう一度とか言うな頼むから公務に戻ってくれ母様!! あとシルバは去ろうとするな!」


 と、避けられているのではないかと勘違いするレベルで、なんだか入れ違いに次ぐ入れ違いを起こした俺達とメアリー。最終目撃情報が「今日はもう女子寮に戻ると言っていた」というバーガンティーの発言であったため、今日はもう会うのはやめる事にした。流石に女子寮に入る訳にもいかないからな。……メアリーは何故か侵入はしていたが、あれは例外である。


「なんか疲れたね」

「まったくだ。遅めの夕食となってしまったな」

「だね」


 ともかく、メアリーを追っていたら寮の門限近くになるような時間帯になり、俺とシルバは食堂にて遅めの夕食をとっていた。


「でも僕に合わせてこっちの方の食堂に来なくて良かったんじゃない?」

「合わせてではない。今日はこちらの気分というだけだ」


 なお食べているのは二つある食堂の内の、シルバが偶に働いている方でもある木春菊食堂だ。俺が普段行く碧の薔薇園ではない。


「ふーん。王族があまりこっちを利用して馴染むと、向こうの高級食堂のヒト達が困るんじゃない? そういう世間体を気にするでしょ、向こうはさ」

「基本はあちらを利用するから問題はない」


 ……メアリー達と一緒に利用する事もあるので、俺もここで食事をとるのが初めてという訳ではない。

 そして俺が偶にこちらを利用するという事と、グレイ達が好んでこちら側の食堂を使うため、一緒に食事を摂るバーガンティーやフューシャもこちらを利用する事が多いという事もある。ので、シルバが指摘するようになにかと碧の薔薇園の方はその事を気にしている様子ではあるのは事実だが。


「それよりもシルバ、そちらの肉とこちらの魚を少し交換してくれ。どんな味かを確かめて、今後の注文の参考にしたい」

「めっちゃ馴染んでるじゃん。まぁ良いけど」


 まぁそれは今は気にしないでおこう。今はメアリーに会えなかったという事と、ナデシコに言われたあの言葉について考えながら食事を――おお、この鶏肉は美味しいな。走り回って疲れた時にこのさっぱりとした味付けは胃にとても馴染むな。うむ、美味しい。


「そういやさ、メアリーさんと一緒に居るっていう男子生徒って誰だったんだろうね」


 シルバが交換した魚を食べつつ、ふと思い出したように俺に聞いて来た。答えがあるなら見つけたいが、どうしても見つけたいと言うほどの事ではない、食事中の世間話のようである。


「何回か話題に出たが、全員が同一人物という訳でもない……というのは無理があるか。恐らく転入生ではないか?」

「転入生……ああ、確かメアリーさんが言っていた、明日から入学するっていう?」

「恐らくだがな」


 転入生が来るという話は以前からメアリーには聞いている。詳しい内容は聞いていない(※聞けていない)のだが、メアリーはその転入生に関わりがあるそうなので、もしかしたら今日はそれ関係で色々と動き回っているのかもしれない。

 そんな事を思いつつ、俺は素材の味がそのまま活かされている魚料理を再び食べようとして。


「……シルバに、ヴァーミリオン殿下?」


 そんな、男子生徒の声を聴いた。


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