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めでおた(:紺)


View.シアン



「俺が学園の学生服か……」

「そういえば神父様って、学園に通った事は……」

「神父になるための学校には通った事はあるが、あんなハイカラな服は着た事無いな」

「ハイカラて。まぁ記念に着てみるのも良いんじゃないか? 学園生気分味わおうぜ!」

「あのな、クロ。俺はもう二十五歳なんだ。シアンはともかく、俺の年齢で着るのは厳しくないか?」

「大丈夫大丈夫。神父様結構童顔だし、背の高い学園生扱いでいけるって!」

「そういう事じゃ無くないか!?」


 確かに神父様は背の高さの仕草のお陰で勘違いしやすいが、やや童顔気味ではある(そしてその童顔から来る真剣な表情が素晴らしいと言えるのである!)。ので、贔屓目もあるかもしれないが学生服を着ていても充分学園生で通じるだろう。

 …………うん、想像しただけでも昂って来た。先程は変な事を言ったと思ったが、学園制服デート、良いかもしれない。


「イオちゃん」

「言っておくが学生服にスリットは入れさせん」


 くっ、読まれてる。

 折角なら学生服にスリットを入れ、可愛くアレンジして着こなしたかったが、持ち主であるイオちゃんが駄目だと言うのなら仕様が無い。


「クロ」

「お前は男子制服の何処にスリットを入れるつもりだ」

「ズボンと胸元に決まっているでしょう!」

「断定で言うなや! させん!」


 くっ、こっちも無理か。

 スリット男子制服を着る神父様とか、セクシーでさらに興奮する事やむなしであるが、無理と言うならば仕様が無い。神父様が「え、胸元にスリットを……?」と自身の胸を覗き見る仕草が見られただけでも良しとしよう。


「まぁすぐには用意できないけど、神父様も検討しておいてくれ。犯罪という訳でも無いんだし、一つの経験になるぞ?」

「……前向きに考えておくよ」


 良し!!

 私は嬉しさのあまり、心の中で握りこぶしを作り喜んだ。


「というかそれなら、お前達も学生服デートをしたらどうだ? あ、それとも夢世界……とやらでやったりしたのか?」

「生憎と思い出した後は脱出のためにてんやわんやだったからな……時間があればしていたのだろうが。惜しい」

「まったくだ。クロ殿と学生服でのデート……くっ、惜しい」

「……そんなに良いのだろうか、学生服デートとやらは……」


 その事を語ると軽く一時間はかかりそうだけど……うん、その良さについては実際にデートをした時にでも語るとしよう。出来れば語らずとも知ってくれるほど魅力を感じてくれるのが理想的だけどね。


「まぁ学生服デートは一旦置いておくとして、教会に来たんだし仕事の話をして良いか?」

「ん、構わないぞ。俺とシアンだけで大丈夫か?」

「大丈夫だ。まず教会の――」


 と、クロが別に後回しでも良いような、けれどついでなので言った方が効率的な内容の仕事の話を椅子に座りながらし始めた。私に呼ばれたのは偶然だろうに、こういう所でクロは抜け目ないんだよね。


「――と、そんな感じだな。なにか質問とかあるか?」

「俺は大丈夫だ。シアンは?」

「問題ありません」

「そうか。なら俺達はこれで――あ」


 と、二十分程度の仕事の話を終え、立ち上がろうとしたクロであったが、なにかを思い出したかのように動きを止める。その事に私達だけでなくイオちゃんも不思議そうな表情でクロを見た。


「そういえばもう一つ用事があったんだ。ああいや、用事というより報告……かな」

「報告?」

「ああ。俺達ハートフィールド家に関わる事だな」


 そこまで言うとイオちゃんはなんの事かに気付いた表情になり、クロと同じように立ち上がろうとしていたイオちゃんも座り直す。

 しかしハートフィールド家絡みか……こんなにあっさりしているのだから重い話では無いんだろうけど、あの家の話って結構面倒そうなんだよね。

 出来れば幸せな報告来い! などと思いつつ、クロの続きの言葉を待った。


「家族が増えるかもしれないから、その関係で教会の力を借りるかもしれない。よろしくな」


 …………。ほう。

 つまりそれは、クロとイオちゃんの血の繋がった子供が生まれる的な話な訳ですな。


「そっか……ついに増えるのか。おめでとう」

「え、ついに……?」

「長かったですね、神父様。あの私達はなにを見せられているんだ、と思わずにはいられない恋人絡みを見せられ続けてはいましたが、ついにこの時が来たようです」

「ああ、ついに来たな。鈍感な俺でも分かるほどに“なにを見せられているんだろう”と思わずにいられなかったクロ達が……ついに、か」

「お前ら俺達をなんだと思っている」


 なんでもイチャつきにつなげる様な、見ていると苦いものを食べたくなる事をして居るバカ夫婦。けれどそれを言うと「その通りだ!」と返されるので言いはしない。


「というか、なんの話だ。俺達は――」

「皆まで言うな、クロ。……今までもそうだっただろうが、クロはハートフィールド家の大黒柱だ。慣れない環境で戸惑うかもだが、教会一同は大いに協力するぞ!」

「? …………あ、待て、そういう事ではなく――」

「言わないでクロ! ええ、先を越されたのは時期的に仕様が無いとしても、私達は貴方達のおめでたい話を祝福する!」

「いや待てだから!」

「言うな言うなクロ」

「そうそう言わないで言わないでクロ」

「俺達は分かっている。そういう報告するのは、恥ずかしいよな」

「私達は分かっている。むしろ遅いくらいだったから、改めて報告するのに勇気が必要だったのは分かるから!」

「いや、分かって無いだろうお前ら! というかワザとやってないか!」

「まぁまぁ落ち着くんだクロ。……声を荒げてばかりいると、教育に悪影響だぞ?」

「そうそう落ち着きなさいクロ。……中に居る時でも意外と覚えているものとも聞くからね」

「違うと言うとろうに!」


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