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判断が遅い(:白)


View.メアリー



「【浄化魔法】……ふぃー、とりあえずこれで大丈夫ですね」


 とりあえず前世の知識であるブラッ〇ジャックと、自分で自分の病気を治せないかと読み漁った医療本の知識を総動員して“彼”への治療は完了しました。浄化魔法とういう便利な魔法があるからこそ出来る芸当ではありますが、右腕だけでも結構なんとかなるものですね。


「終わった……のか?」

「はい、あくまで応急処置なので、この後キチンと治療は受けて貰いますが、一命はとりとめたかと」


 本当はもう少しどうにかしたかったのですが、カーマインがご丁寧に治りにくいように攻撃をしていたので、道具も無いこの場ではここが限界ですね。

 後は正式なお医者さんに任せるとしましょう。アイボリーさんにはヴァイオレット達が戦っていたという班のメンバーが連絡に行っているので、あの怪我が大好きな彼はもう少しすれば来るでしょう。


「……そうか、良かった」


 私の言葉に安心をしたのか、安らかに眠る(苦しそうに見えるのはきっと気のせいでしょう)“彼”を見て安堵の表情を浮かべるヴァイオレット。この安堵は目の前で人が死ななかった事に対する安堵か、改竄する前の世界の記憶が戻っているが故の安堵なのか……どちらなのでしょう。

 この授業を開始する前の事を考えると、何処か記憶に引っ掛かる部分があるのでしょうが……あくまでも引っ掛かりだけで、確信は得ていないようなんですよね。

 やはり“彼”がクロさんであれば、目が合った一瞬で思い出していたりするのでしょうか。愛の力は魔法を超える、みたいな!

 ……あれ、そうなると目が合っても会話をしても、ヴァーミリオン君達に思い出されない私って……


「どうしたスー、何故か落ち込んでいるようだが」

「なんでもありません。……ヴァイオレット様、愛の力を見せたりしないでくださいね?」

「なんの話だ」


 ま、まぁ思い出すキッカケなんてなにが起因しているか分かりませんからね。愛とか関係無いですし、そもそも私とヴァーミリオン君は愛し合ってもいませんからね!


「どうしたスー、今度は顔を赤くしているようだが」

「なんでもありません。……ヴァイオレット様、愛を経験する、ってなんでしょうね?」

「なんの話だ」


 自爆は置いておくとしましょう、記憶の思い出すキッカケなんて些事です、些事。


「向こうもなんとか終わったみたいですね。……というか、シャル」

「どうしたスカイ?」

「普通に女性を名前呼びしてますが、普段のクールっぽいだけでその実、女性免疫のない男性丸出しの行動はどうしたんです?」

「お前そんな風に思っていたのか。……ま、私も成長したという事だ。成長を思い出した、という方が正しいかもしれないが」

「ふぅん? そういえばアッシュ君もなんかさっきまでと違う感じがしますけど……」

「まぁ色々と思い出し……もとい、経験を得たというだけですよ。まぁ私の場合はちょっと欠けたモノがあるんですがね」

「?」


 向こうに居るシャル君達も、先程私を止めた時には記憶が戻っているようでしたが、そのキッカケはローシェンナ君の【思い出せ】がキッカケのようですからね。愛とか関係無いんです。ええ、関係無いんですとも。

 何処まで思い出したかは分かりませんが、なんであれ思い出す兆しが見えてなによりです。


「時にスー。お前とあの――謎の男との会話だが……」

「はい」

「……いや、疑問は後で聞くとしよう。今はこの場を脱するとしよう」


 今は“彼”の安全を確保し、ここから脱する事が優先です。

 しかし、“彼”はどうしましょうか。よく考えたら誰が敵か分からない以上は、医療の先生に預けるのも危険な気がします。預けている間にカーマインのような輩に襲撃されるかもしれませんし、ここはマゼンタさんやトウメイさんに預ける方が良いのでしょうか。


「怪我人は何処だ、ここか、そこか、あっちかこっちかぁ!!」

「アイボリー、先生、早っ、待っ、ぜぇ……!」


 くっ、判断が遅かったです!

 何故か案内するはずの生徒よりも早く来るという事を成し遂げていますが、この怪我を治すのが大好きなアイボリーさんの前では些事というものです!!

 どうしましょう、任せた方が良いのでしょうか……?


「えっと、アイボリー先生、こちらです。応急処置は済んでいますが、彼を診て――」

「ようし、分かった! む、素晴しい処置だがまだまだ甘いな。フハハハハハ、それにしても良い表情で眠っているではないかハートフィールド! その良い表情を俺の治療でさらに良くしてやろうじゃないか、レッツ治療!」

「ア、アイボリー先生! 流石にこの場での治療はハートフィールドを苦しめる事になりますから、やめてあげてください!!」

「大丈夫だ、痛みは感じない! 感じて苦しむかもしれんが、それは幻想というやつだからな! さぁ、レッツ治療!」

「アイボリー先生ー!?」


 よし、アイボリーさんに任せるとしましょう。今の私には彼を止める術はありません。

 頑張ってくださいね、クロさん(仮称)!


「よし、ハートフィールドにここで出来る処置は終わった」

「早っ」

「そして次はスー、貴様だ」


 え。


「その左腕はなんだ、俺を興奮させるために怪我をしたのかそうなのかそうなんだなそうに決まっている」

「自己解決論法……!?」

「という訳で治療をするぞスー!」

「あ、あのアイボリー先生。治療が必要なのは分かりますが、彼女の治療はせめて麻酔とか……」

「良いですよ、麻酔なしで。この程度なら耐えられますので、可能ならお願いします」

「え」

「よし、言ったなスー。お前に耐えられるのだろうな。少しでも無理だと判断したら止めるからな」

「平気ですよ。そもそも怪我した時も今も全く痛くないレベルですし、出来るのなら荒くても早めに治療お願いします」

「よし、分かったぞ。レッツ治療!」

「ひぃ、なんか骨と皮膚が! 血管と血が!!」

「ふぅ、治っていくのを見るのは楽しいですね」

「喋るな、スー。動きがぶれる」

「はーい」

「なんで平気なんだ……!?」


備考1 麻酔

この世界には薬としての麻酔も有れば、魔法としての麻酔もある。

どちらも高等技術&専門知識なため(魔法も下手すれば感覚が戻らなくなる)、免許と専門の施設が必要。



備考2 この後の治療の様子を見ていた案内した生徒

しばらく肉料理と内臓、骨を見るのが駄目になったようである。


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