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心の栄養を摂りに行く一日_4(:透明)


View.クリア



 さて、ヴァイオレットが恋力によってクロ君とクチナシを圧倒するという場面に遭遇し、恋力を補給した所で別の所に行くとしよう。本当はもっと見ていたいけどクロ君は私の存在を常時視認できる。私を見ては朝のような反応をするクロ君に説教中に近付くのは流石に彼のためにやめた方が良いだろう。


――クロ君、結構初心だからねー


 私の身体が美しく見惚れるのは仕様が無いにしても、結婚して愛する妻が居るクロ君が異性の裸で照れるというのがとても可愛らしい。欲求を理性で抑えようとはしても、抑えきれずに興味が湧いてしまう感じが少年感があってなんかこう……心が今までにない弾む感じがする(なおだからといって私は裸を見せつけたい痴女では無い)。

 ああいった年若い男の子が異性に興味を持って照れるというのは、やはり平和であるからこその――


「あ、いや。彼はそれほど若いという訳でも無いのか」


 彼は別の世界で二十五年、この世界で二十年生きている男性だと聞く。彼は肉体はともかく、精神的には年若いとは言えない年数を生きているのである。そんな彼を男の子扱いするのは彼に失礼だろう。キチンと男性として扱わねば。

 ……まぁ、にも関わらず彼をつい年若いとか可愛いとか思ってしまうのは、たぶん彼が今の肉体年齢よりも幼い反応をするからなんだろう。なにせ仕事中は大人な対応でも、気の抜けた彼は少年の心そのままだ。長い年数生きてもあのように振舞えるのは……それこそがクロ君らしさと言えるかもしれない。


――でも、別世界、か。


 別世界、というのは聞いただけでは今一つイメージはつき辛いのだが、私にとっての今の時代のようなものだと認識している。

 私が産まれた時代は子供であろうと戦えるのなら戦いの場に赴き、常に戦いの対応に追われていて、今のヴァイオレットの年齢の時には子供を産んでいるのは当たり前で、我が子が産んだ年齢と同じ年齢になるまでを見届けられないまま永劫の別れをする、なんてのは珍しい事でも無かった。

 それと比べれば今の時代は食事も魔法も勉学も、戦いとは別の国を発展させるために学ぶ余裕がある平和な世界だ。戦いだって先程のクロ君達のように模擬で戦う余裕だってある。まさに別の世界。クロ君風に言えば異世界という他ない世界である。


――私の追い求めた世界、のはずなんだけど。


 空は瘴気に覆われず青く澄んでいて。子供達が遊んで笑い声が聞こえ。モンスターの脅威はあっても常に晒されてはいない。

 ああ、本当にこの世界は……


「私が生きた世界と、違うんだなぁ」


 戦う事で自分を証明するしかなかった私は、この世界でもまた私である事が出来るのだろうか。

 確かに私はこの国の国教で神として崇め奉られているので、それは私の生きた証かもしれないが……


「ピンと来ないなぁ……」


 この世界に生きている私にとっては、過去の存在として扱われるこの現状が未だに今一つしっくりきていない私なのであった。






「過干渉はせずとも、見守るのをやめてはならない、という事かな?」

「あれは一種の恋力!」

「そういう事だと思います。自分で判断するのを互いにやめないようにする感じですね」

「そうか――なんか今誰かの変な言葉が入らなかったかい?」

「気のせいでしょう。入ったとしてもたぶんちくわです」

「何故ちくわ……?」


 まぁ、それはそれとして。

 私にとって異世界なこの時代であるが、やはり恋力という物は良い。それを今改めて認識した!! なんだかクロ君にはちくわ扱いされているけど、この想いは止められない!


「クロ君とシュバルツ、分かるかな。あれこそが恋力なんだよ恋力。確かにヴァイスは未だに恋としてあの感情を理解していないしあの好きと言う発言はあくまでも人間として好きと言う話で友達感覚であり男女間の友情というやつなんだけど私の目には恋力として映るんだよなんで友達感覚なのに恋力かと言うとあれは羽化する前の蛹段階なの今まで蛹にもなれなかった感情の一種がついに蛹となる事で自分の気持ちを固めたという事であり間違いなく成長の一つなの後は羽化するだけでありむしろあの段階を気付いて見守る事で殻を破る時にどのような形状の恋力が羽を生やして生まれて来るかを楽しみに出来る段階なんだよつまり今が恋力の供給を受けるための心構えをするタイミングとして一番美味しい時期でありキチンと心構えをした状態で羽化を見れば最高の恋力として受ける事が出来るの!けどここを周囲が見誤ると蛹のまま殻に籠って死んでしまうから気を付けないといけない時期でもあるのあくまでも自主的な成長を促しつつ見守っていく事が大事であってあれを恋力として発露させるか友情として終わらせるかはまだ分からないしやきもきするけどその分彼の成長をした心を享受できると恋力が――」

「うっさいですわかりましたから早口と圧力やめてください、近いですよ、近い! なんかシルバを思い出すなぁ!」

「それで、君はなにを結論として言いたいんだい?」

「恋バナ……良いよね」

「え、そういう話なんですか?」


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