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モテ技(:朱)


View.ヴァーミリオン



 俺はその後に夢魔族の女を連行しつつ(他の者に任せようとしたら、自分が先祖だと大声で叫ぶと脅された)、メアリーとエクルと合流をした。他の班の状況を簡潔に報告しつつ、このままショクの代表に夢魔族の女を含めた襲撃メンバーの報告と連絡、今後の方針について話し合おうとした。

 しかし代表の所に向かう途中で、夢魔族の女が発動させた欲望を解放させる魔法にかかったまま、


「肌はなぁ、隠されているからこそ意味があるんだよ、服をキチンと着ろぉ!!」


 という、大いに同意したい事を叫ぶショクの民に遭遇した。叫ぶ内容には同意はするし、出来れば急ぎたいが放っておくわけにもいかない。少々手間がかかったが解呪をした後に後輩の生徒に預けて安静に出来る場所に移動して貰った。


「時にヴァーミリオン君は露出過多と清楚系、どっちが良いですか?」


 改めてショクの代表の所に行こうとすると、何故かメアリーにそのような事を聞かれた。答えずに話を濁したかったが、答えずにいるとグイグイ来た挙句に変なレッテルを貼られそうであったので「清楚」とだけ簡潔に答えておいた。好きな女性(メアリー)の露出は嬉しいが、あまり誰かに見られて欲しくないというのも事実だからである。

 ……そもそも何故清楚に“系”がつくのだろう。メアリーの前世の言い回しかなにかだろうか。


「分かってないわねー、貴女。こういう男は脱がせやすいけどガードの固い服が有効なのよ」

「え、そうなんですか?」

「そうそう。それで他の男に愛想を振りまくの。すると嫉妬して手とかの数少ない露出部分に触れつつ二人きりになろうとしてくるの。この子はそういう類の男よ!」

「なるほど!」


 なるほど、ではないぞメアリー。なにを普通に仲良く話しているんだ。

 やはりこの女は悪魔だ。言葉で俺の愛する女性を惑わせようとしてくる悪魔に違いない。


「まぁ、確かにワタシは悪魔だけどさー。そういう風な目で見なくても良いんじゃない、子孫クン?」

「ああ、確か貴女は性衝動を司る悪魔として扱われたんでしたっけ。このショクでの魔法も神霊魔術の操心同一化を応用したものなんですよね」

「そうそう――え、なんで知ってるの」

「ちょっとした卑怯(ちしき)があるだけですよ」


 メアリーはそう言うという事は、やはり前世絡みの件が関わっているという事か。

 しかし今の情報を俺が聞いた事が無い辺りは、ショクに関わりは無かった情報としてメアリーが判断したのか、単純に忘れていただけかもしれない。


「他の一緒に襲撃をしたお二人も多少ですが知っています。しかし、私の知っている知識だと貴女達は外部からの強固な封印されたまま終わるはずですしね。全てを知っている訳では無いのですが」

「封印されたまま“終わる”……?」

「ええ。例え封印されたままの貴女達の力を利用する人、力を得るモンスターは居るのですが」

「? ……まるで過去にそういう事があったみたいね」

「さぁ、どうでしょう。頭のおかしい女の戯言程度に思っておけば良いですよ」

「頭がおかしいはモテないわよ。緩いなら男女問わず一定の界隈に需要が高いけど、モテモテを目指すなら自分がおかしいという事を自覚した上で、そういう風に振舞えば一段と――」

「そういう事ではありません」

「そうなの? まぁ、もしモテたかったらワタシにドンドン相談しなさいね?」

「ありがとうございます!」


 ……メアリーとこの女、実は相性が良かったりするのだろうか。メアリーは大抵の相手とは仲良くなる事が出来るが、どうもそれとは違った相性の良さを感じる。

 あまり交友関係にとやかく言いたくはないが、出来ればこの女相手に仲良くなるのは遠慮願いたい。……なにせこの二人が合わさると、マゼンタ母さんのような「世界中に範囲を広げて欲望を解放させる!」みたいな事をしそうだからな。


――エクルが止めそうではあるが……


 こういった類だとそろそろエクルが止めそうだが……今のエクルは注意力散漫状態だ。警戒をしていない訳では無いが、今は自分とメアリーの事で一杯一杯、といった様子である。今のエクルになにかを求めるのは難しいだろう。


「コホン、それで話は戻しますが、私の知っている貴女は厳重な封印がされていたはずです。封印は容易ではなく、優秀な専門家が数日掛かりでやっと“力を少し使える”状態にしか出来ない封印を解いたのは誰ですか?」

「んー、そこは交渉の切り札にしたい所ね」

「切り札、ですか」

「お前が話さずとも、他の者が話す可能性がある。それならば早く話そうとは思わんのか?」

「ワタシ以外の大食い爺さんと勤勉で怠ける若造は解いた相手は知らないわ。それこそワタシだけが知っている情報と言っても良い」

「そうですか。……どう思います、ヴァーミリオン君?」

「嘘を言っているようには思えないな。……まぁ良い。その辺りはショクの代表に言って、キチンとした部屋で話を――」


 聞かせて貰おう、と言葉を続けようとした。だが続く言葉は言えずにいた。

 何故なら、話している内に代表がいる建物の前に着き、解放されている敷地内に俺達が一歩足を踏み入れようとしたと事で、


「――え?」


 俺達は、信じられない物を見た。


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