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追放された悪役令嬢と転生男爵のスローで不思議な結婚生活   作者: ヒーター
25章:ちょっと違うメンバーのシキでの小話
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お見合い後の戦闘_3


「さぁ、という訳で戦うよクロ」

「なにがという訳でだシアン。いや、シアンと戦うのは構わないんだが……」

「構わないのだな、クロ殿」

「ええ、構わないのです。……だけど理由を聞かせて貰おうか」


 シアンと戦うのは素直に楽しい。

 手数は多いし同じ攻撃は二度目には対応してくるし、対応した上で反撃を繰り出してくる。腕力などは俺より弱いのだが、その分技術で重い一撃を放ってくる。場合によっては真正面から力で勝負しては来るが……ともかく楽しい。前世だと楽しい戦いなどほとんどなかったので貴重とも言える。

 なので戦う事自体は構わないのだが、教会組が突然現れて戦いを挑んでくる理由を問いたい。


「理由はさっき言ったように、ルート君に戦いというのを見せるためだよ」

「ルート君……? あ、僕ですか。……僕ですか?」


 さっき言ったとなると……要するに戦い方など多岐に渡るモノであり、自分の適性を見つけて最善を尽くす事が大切、的な奴か。俺が言った事を詳細に別の言い方で言った感じではあるが、急に現れて戦う理由となると――ああ、つまりそういう事か。


「了解した。という訳でスマルト卿」

「え、はい、なんでしょう」

「俺達は今から模擬戦をします。その模擬戦を見て、どうするかを決めて頂けないでしょうか」

「決める、とはなにを?」

「それは内容も含めて課題としましょうか」

「は、はぁ……?」


 スマルト君はよく分かっていないようだが、そこは模擬戦をしていない教会組か、スカイさんにアドバイスとかをして貰うとしよう。俺は俺らしく、楽しく模擬戦を楽しむとしよう。そして疲れたら誰かと代わって、その時の模擬戦を見ながらスマルト君に問いかけをする感じで――


「と、いう訳でクロ。私達四名相手の四対一か、タイマン四連戦のどっちがいい?」

「前者は確実に俺が死ぬからやめろ」


 一対一ですらキツイのに、この四人が協力したら勝ち目なんて一切ないぞ。まだ首都で戦った騎士団のクレールさんを除く全員と戦った方が勝ち目があると思う。

 なにせ面子が面子だ。


 肉弾戦を好むが魔法も一級品な戦闘系シスター。

 魔法で武器を作って突進してくる戦闘系神父様。

 補助が得意で、入れ替わると身体能力が凄まじい戦闘系ブラザー見習い。

 もうなんかよく分からんほどに万能な戦闘系シスター。


――……コイツら本当に教会関係者なのか。


 なんでどいつもこいつも戦闘を楽しむ様に突撃してくるんだ。しかも全員強いし。……いや、この世界の教会は浄化とかもするから戦闘が強いのは珍しくないのかもしれないが……しかし浄化を主とするだけで戦闘系は多くないはずなんだがな。


「じゃあ、一対一で勝ち抜き戦、という事で良いか?」


 いや、教会組が戦闘強者なんて今更だ。むしろ心強い仲間なのだから良しとしよう。


「オッケー、じゃあ早速戦闘を……」

「あ、あの!」

「へ? なにかな、ルート君?」


 模擬戦を開始する前にスマルト君がシアンを呼び止めた。

 何事かと思いつつ注目が集まると一瞬たじろいたスマルト君だが、「少々お待ちを」と言い、近くに居て静かに佇んでいたオースティン家執事(爺やと呼ばれていた人)の所へ駆け寄ってなにか言ってから袋のような物を受け取り、すぐに戻ってくる。

 どうしたのか、と思っていると、スマルト君は袋の中に入っていた物を取り出した。アレは……男物のズボンだろうか。爺やさんが汚れた時用に持っていたのかもしれないが、何故今それを?


「あ、あの。そのシスター服では模擬戦は難しいと思います。差し出がましいかもしれませんが、こちらをどうぞ……! サイズは裾はともかく着れるとは思いますので……!」


 と、皆が疑問に思っていると、スマルト君は何処か恥ずかしそうにしつつも紳士的にシアンにズボンを差し出した。

 ……ああ、うん、つまり。シアンのスリットシスター服(教義的に下着無し)を見て、あまり良くないと思ったから差し出した感じなのか。こういった事は堂々とはせずに陰でやったりさり気無くするものかもしれないが、それでも無視出来ないと思って羞恥しつつも女性の大切な場所を守ろうとした訳か。

 ……うん。


「スカイ、スマルト卿のこの優しさと純情さは貴重ですから、大事にしてあげてくださいね……」

「ええ。ですがそれだとシキには来れなくなると思うんです」


 その言い方は酷いとは思うが、否定は出来ないのが辛い所である。


「ああ、大丈夫大丈夫。これが一番動きやすいし、気を使ってくれてありがとねルート君!」

「え。……ええ!? ス、スノーホワイト神父様、良いのですか、神父様としてなにか――」

「言ってはいるし、正直言うなら着て欲しい。だがどうしようもないし、下手に服を弄ると動きが鈍って衣装が乱れてより危うくなったりする。だからどうしようもない」

「ないんですか!? え、ええと、ヴァイス!」

「どうにか出来ていたらとっくにやってるんだ。はは、なんで出来てないんだろうね」

「何故遠い目を……ええと、そちらの同じような服装のシスターさんは……?」

「戦闘にも可愛いを求める。強さと可愛さの両立は素晴らしく、幸福になれるんだよ!」

「……どういう……事なんです……!?」


 ……いや、もう手遅れだろうか。


「クロ殿、クロ殿」

「なんですヴァイオレットさん?」

「シアンとマゼンタさんを相手して、変態(アブノーマル)変質者(カリオストロ)にならぬようにな?」

「どういう意味かと問いたい所ですが、意味が分かってしまうので気をつけます」

「……スマルトが見出す答えがそれにならないようにな?」

「……気をつけます」


備考 騎士団の戦闘能力順

1.騎士団長クレール

2.騎士団精鋭(首都での戦闘時には不在)

3.副団長

4.騎士団中堅

5.副団長派騎士団員(クロ達が戦った八割近くはこの団員)

6.騎士団諜報部、新人など


なお、クレールは3~6を全員相手しても勝つ模様。


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