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追放された悪役令嬢と転生男爵のスローで不思議な結婚生活   作者: ヒーター
25章:ちょっと違うメンバーのシキでの小話
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黒のとある仕事_番外


「母上母上、次上がる花火をご覧ください!」

「急にどうしたグレイ――おお、綺麗で大きいな」

「私めとアプリコット様が作った花火です!」

「そうなのか? しかし、いつの間に……」

「ふ、我が花火の話を聞き、グレイと共にこっそり作ったのである!」

「のである、です!」

「……とはいっても、オーキッドさんが基礎を作った物に魔力を込めただけであるが。一からは流石にクロさんに止められた」

「そうなのか、クロ殿?」

「流石に花火の基礎を知らずに作って暴発とかしたら危険ですからね。とはいえ、色とか種類とかは二人が決めてデザインしましたよ」

「こうしてサプライズするためにな!」

「私としてはアプリコットがグレイを恥ずかしがらずに普通に名前を呼んでいる時点でサプライズだが……」

「ごふっ。……そ、それは今関係無いであろう!」

「ふふ、冗談だ。一際綺麗で驚いた――だが、クロ殿」

「え、俺? なんでしょう」

「私に内緒で、グレイ達と作るなど楽しそうな事をしていたようだな?」

「うぐ。た、確かに楽しく画策しましたが……」

「花火関連の仕事を任せたが、まさかそれを利用して私を仲間外れにするとは。職権乱用だな、愛しの旦那様?」

「そ、それはですね」

「母上。この件は私め達が――何故止められるのです、アプリコット様」

「気にしないで良いぞ。ヴァイオレットさんは防御力が脆弱が故に、ああやって攻撃する事でイチャイチャしようとしているだけだ」

「なるほど、ここから攻めていって最終的には“今度は私と一緒に作ろう”“代わりに○○して欲しい”などと約束を取り付けるのですね!」

「うむ、私情でイタズラ心があった手前否定が出来ないクロさんであるから、言い訳をしようと慌てる姿を見て揶揄ってから約束を取り付けるのである!」

「どんな時でもイチャイチャを忘れない、妻としてあり方なのですね!」

「グレイ、アプリコット。私の行動を分析しないでくれ」

「グレイー、なにやらヴァイオレットさんが言っている気がするが、花火の音で聞こえぬなー」

「そうですねー。大きな音でかき消されますー」

「くっ、この息子達め……!」

「ヴァイオレットさん、別に攻めてなくても俺はいつでもイチャイチャしますよ!」

「そういう事ではないぞ、クロ殿。……すまなかった。楽しそうな事を私抜きでやった、という事に嫉妬したのは事実だからな。ついやってしまった」

「すみません。どうしても驚かせたかったんです。喜んで貰いたくて……」

「ふふ、それも理解しているから大丈夫だ。喜びの感情の方が上回っているが、揶揄いたくもなった、というだけだ」

「イジワルしたくなった、ですか」

「そういう事だな」

「では、イジワルしたくなる感情を引き出せた俺の仕事ぶりが良かった、と思う事にします」

「そういう事だ。……しかし」

「どうされました?」

「こうして花火を見る事が出来て喜ばしい、と思ってな。これもクロ殿の仕事ぶりのお陰だ」

「俺というよりは、オーキッドを始めとした皆が頑張ってくれたお陰ですよ。教会の皆が花火の打ち上げを引き受けてくれた、というのもありますし」

「だが、それらを調整したのはクロ殿だからな。それに花火を提案したのはアンバーだが、元々“お見合いの思い出作りをしたい”と提案したのはクロ殿だからな」

「まぁ折角なら良い思い出を作って欲しかったですから。……シキに来て、お見合いより変態の記憶が強く残るとか嫌ですし」

「後者に関しては……うむ、それは置いておこう」

「置くんですね」

「うむ、置く。ともかく、クロ殿が最初で、皆が頑張ったお陰で花火の時間にこうして家族で見る時間を作る事が出来た。……今こうして見る事が出来るのは、他でもないクロ殿が頑張ってくれたお陰だ」

「ええっと……そこまで言われると照れくさいですね」

「もっと照れてくれて良いぞ」

「どういう要求ですか。……ふふ」

「……フフ。変な会話だな」

「ですね。さぁ、では俺が仕事を頑張った事による花火を見ましょう。こんな綺麗な花火、見ないと損ですよ!」

「そうだな。……こんな風に無邪気に花火を見る可愛いクロ殿を見ていたいが、それは贅沢な話か」

「なにか仰いましたか?」

「いや、なにも。花火の音でそう思っただけだろう」

「おかしいですね、俺の顔が可愛いので見ていたいと言った気がしたのですが!」

「聞こえているだろう、クロ殿」

「花火の音で聞こえません、もっと大きな声で仰って下さらないと分かりません!」

「くっ、クロ殿まで……ええい、綺麗な花火も見ていたいが、可愛いクロ殿も見ていたい!」

「もっと大きな声で!」

「可愛いクロ殿を見ていたい!」

「もう一声!」

「愛しのクロ殿の可愛い無邪気な笑顔を見ていたい!」

「よし、ありがとうございます愛しのヴァイオレットさん! 何度も言って頂き嬉しいです!」

「――って、待て、全部聞こえた上で言わせていないかクロ殿!」

「わぁ、花火綺麗ですねーヴァイオレットさん」

「ぐぅ、確かに綺麗だがそんなクロ殿は嫌いだ……!」 

「嫌わないでくれると嬉しいですが、どうすれば良いでしょうか。肩車でもしてよく見えるようにしましょうか?」

「魅力的な提案だが、やめておこう」

「では手を繋いで見ましょうか」

「……そうしよう。だが、」

「それ以上は、またこの後に、という事で」

「……私が許すような事を期待しているぞ。花火以上の素晴らしいものを、な」

「厳しいですが、嫌われたく無いので頑張りますね」

「うむ、過去の自分の仕事をぶりを超えるんだぞ、クロ殿」

「はーい」




「アプリコット様、アプリコット様。本当にイチャイチャし始めました。私め達などそっちのけです」

「であるな。まぁ、我らは大人しく花火を楽しもうでは――」

「ここは私め達もイチャつきましょう!」

「何故であるか!?」

「父上達に負けてられません!」

「ああはなりたくないから負けで良い!」

「良くないです――はっ、確かに負けなくて良いのです」

「分かってくれたか。我には我達の関係が――」

「家族で来たのですから、家族全員でイチャつくのですね!」

「違うぞグレイよ!」


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