街へ突撃
■辺境都市ローゼン東門
(んー 見覚えがない子たちだな。革鎧もここら辺のものとは違うようだし…… ちっちゃいのは従魔か?)
「嬢ちゃんたちは冒険者かい? この街の者じゃないよな?」
≪冒険者?≫
≪冒険を好む者のことかのう。であれば儂らはまさに冒険者であるが≫
「儂らは旅の者じゃ。冒険者というものに見えるのかのう? あ、いや、そなたの申す冒険者が何か、今一つ分かっておらぬのじゃが」
(恰好は冒険者だし、従魔連れてるし、兎狩ってきてるし…… 冒険者にしか見えんのだが。ん? 冒険者を知らない? そんなやついるのか?)
「あー、、、冒険者じゃないのか。どこかのギルドのカードは持ってるかい?」
≪ギルド? カード? 謎……≫
≪通行証、かな?≫
≪そのようなニュアンスじゃの≫
「あいすまぬ。儂ら遠くから参っての。こちらの国でのやり方はよく知らぬでな。そのカードというものも持ち合わせてはおらぬようじゃ」
(貴族っぽい言葉使いだが…… どっかの国の貴族の子か? 護衛もなしでしかも歩いてくる貴族なんかいないよな…… 貴族なら聞く前に貴族って言うだろうしな……)
「旅人ってことでいいかな?」
≪そう言ってるじゃあああん≫
≪落ち着け≫
「それなら1人銀貨1枚だよ」
「なんとっ」
≪お金とるのおおおおおお?≫
≪関所でとる通行税のようなもんであろうか≫
≪騙して払わせて懐に入れたりとか?≫
≪悪巧み気配、ない。あそこの板、なんとか税、銀貨1枚、かな?≫
(入市税を知らないのか? どこの街でもあるはずなんだが…… いいとこの家の娘なら使用人にやらせるんだろうから自分で払ったことないかもな……)
「あー、、、知らなかったかい? 他所の国も大概そうだと思うんだが…… この国の大きな街では領主様が決めた入市税を払って貰う決まりになってるんだよ。この街では1人銀貨1枚なんだ。免税が認められたギルドの登録者カードがあれば払わなくてもいいんだけど」
「そうであったか。いろいろと分らぬことばかりでな。それは承知したが、儂ら金を持っておらんのじゃ」
「大陸共通通貨も持ってないかい?」
「金はまったく持っておらん。この野ウサギを売ろうと思ってこの街にきたのじゃが」
(金がないって…… 変な革鎧だが質はよさそうだし指輪や腕輪も安物じゃないな…… 狩猟用ナイフというよりは短剣か? 装飾はないが作りはよさそうだ。ん? あれで兎狩れるのか? それはいいとして…… もしかすると…… 夜の間に魔物か盗賊に襲われて護衛も馬車も荷物も捨てて逃げてきたのか? だとすると捜索隊組まなきゃな…… これは隊長案件かな……)
「んー、、、免税カードがない者を入市税を払って貰わずに入れるわけにはいかないんだよ。決まりなんでな。何か事情があるならそこの守備兵詰め所で聞くけど?」
≪事情を話しても信じてくれるかなー≫
≪儂らでもよく分っておらぬのに説明せい言われてもな≫
「事情と言われても話すようなことは特にないんじゃが。旅をしてきただけじゃし」
「ここまでくる間に盗賊や魔物に襲われたってことはないかい?」
≪追剥ぎにでもあってスッカンピンになったと思っておるのか≫
≪うちらのこと舐めてない?≫
≪怒るな。心配して言ってくれておるようじゃ≫
≪守備隊で、野ウサギ、買って、頼む?≫
≪1羽2羽もあらば銀貨3枚にならんということはなかろう。頼むだけ頼んでみるか≫
「ご心配いただいとるようじゃがそのようなことはない。単に持ち金がのうなっただけじゃ。それでこの野ウサギ狩ってきたんじゃが。これを税に足りる分買ってくれたりせんかのう?」
「ここでは買い取れないしなー。困ったな。 (隊長呼んでくるか……) ちょっと待っ」
「はいはーい、困った時のエルさん登場!」
≪うお、なんじゃコイツ≫
≪種族、エルフ≫
≪エルフ! 精霊の子分で森に住んでるんじゃなかった?≫
≪ドラから、聞いた、種族。人の大陸に、いた≫
「あ、エルミアさん、おはようございます。お帰りなさいですか?」
「おはようです! 閉門までに戻れなくて1泊余計に野宿ですよお。あ、ちょっと待って」
「レティ、シルヴィ、先に行ってて。あたしのカード渡しとく。すぐ行くけど」
「「おっけー」」
≪あの2人、種族、ノーム≫
≪ノーム! 土の精霊の子分でしょ? いるんだねー≫
≪いろいろと華やかじゃの≫
「お待たせしました。お困りのように見えましたが」
「こちらのお嬢さんたちは旅人ということで、免税カード類を持っていないので入市税をいただかなきゃいけないんですが現金がないそうで。あ、途中で盗賊や魔物に襲われたということではないそうです。で、その兎を売りたいそうですがここでは買い取りは……」
「なるほどー」
◇
「この街で冒険者やってるエルミアといいます。えーと、その兎、あたしが買い取りましょうか?」
「おお。そうしていただくと大変助かる。儂はジルと申す。これらは儂の連れでルールーとリコじゃ」
「ジルさんに、妖精ちゃんがルールーさんで、リコさんね。よろしくー あっ」
「ん?」
「あたしが買い取らない方がいいな……」
≪よく分らないんだけど……≫
≪なんか考えてるようじゃ≫
「あたしが買い取るとジルさんたちが損しちゃうからさ。買い取るならあたしも損しないようにだから」
「助けて貰う分なんぼか収めてもらうのは一向に構わぬ。当然のことじゃ」
「いえ、お貸しします。売れるとこに案内するから後で返してくれれば。あたしもこれからそこに行くとこだし。売り方考えなきゃだけど歩きながら話すね」
「よろしいのであるか。なんか申し訳ないのお」
「いーのいーの。はい、銀貨3枚」
≪悪巧み気配、ない≫
≪親切だねー≫
≪んじゃ有難くお受けするか≫
「それではお言葉に甘えて銀貨3枚お借りいたす。有難うじゃ。売れたらすぐお返しいたすで」
ヒュンヒュン
「ありがと」
「はーい」
「守衛殿、銀貨3枚じゃ」
「はい。確かに。あ、えっと、その小さい子、従魔なら入市税は要らないんだけど。その代わりこの従魔の証、」
「守衛さん! 妖精ちゃんは魔物じゃないから!」
「あ、そうなんですか」
「妖精はテイムも召喚もできないから!」
「はあ。そうですか。初めて見ましたので…… では銀貨3枚で」
≪ルールーを使役しておる魔物と思ったようじゃの≫
≪人は、知らない? エルフ、精霊の子分、妖精のこと、知ってる、かな?≫
ペシ、ペシ、ペシ
「ちょ、えっ」
≪これ、ルールー、守衛叩くな≫
「守衛殿、今エルミア殿が申された通りじゃ。ほれ、ルールーも魔物に間違えられて怒っておる。こちらでは妖精はあまり知られてないようであるが、今後も門を通る度に間違われたくないで周知いただけると助かるのじゃが」
「はあ。なんかすいません。申し送りはしておきますので。失礼しました」
「よろしくお願い申す」
「守衛さん、お願いしますよ! かなーり失礼なんですからねっ。 じゃあジルさんたち、行きましょー」
■ローゼン市内
「感謝いたす。エルミア殿」
「たいしたことしてないよー あと、あたしのことはあたしの友達たちと同じようにエルと呼び捨てでお願いー」
「承知した。儂らのことも名を呼び捨てて下され」
「了解。では遠慮なく。ジル達は冒険者になりにきたの?」
≪うちら冒険者ってのに見えるんだね≫
≪エルは冒険者って言っておったの≫
≪狩人のこと冒険者って言うんじゃ? うちらも狩人に見えるんでしょ≫
≪そうじゃの。革鎧だし野ウサギ下げてるしの≫
「単なる旅の者なんじゃが。先ほど守衛殿にも冒険者かと聞かれたが、その冒険者とはいったいなんであろうかの?」
「あー 知らないのかー えーと、冒険者ってのは職業の名前で、冒険者ギルドに登録している人のこと。ギルドっていうのは同じ職業の人たちの組合みたいなもので、他には商人ギルド、鍛冶師ギルド、薬師ギルドなんかがあるよ」
≪ほほお。職業か。やはり狩人のことを冒険者というようじゃの≫
≪ギルドは組合かー なるー≫
「ほほお。職業であったか。ギルドも分からなかったのじゃ。謎が解けた。そういえばエルは冒険者と言っておったが、冒険者という職業は何をしておられるのかの?」
「頼まれたことをなんでもやるんだけど、あ、犯罪はナシね、で、商人の護衛とかお使いとかお掃除とか.子守とかもたまにあるけど、この街では主に魔物を狩るのが仕事かな」
「ほほう」
≪魔物狩ってるのかー≫
≪エル、ちょっぴり、強い、オガ、狩れる≫
≪まあまあじゃん≫
≪身のこなしもそれなりであるな≫
≪魔物、売れる、かも?≫
≪期待できるの≫
「冒険者は魔物を狩るついでに兎でもなんでも狩るし、ジル達は冒険者っぽい装備でしょ? この街は魔物を狩る冒険者や冒険者になりたい人が集まるとこなんで、守衛さんもあたしも冒険者になりにきたのかなって思ったわけ」
「なるほどなるほど。よう分った。して、この街では狩った魔物も買い取ってくれるのかの?」
「ですです。この街の冒険者はそれで稼いでますから。あたしもそうですけど!」
≪やりー≫
≪ご飯、弁当、宿、だいじょぶ、ね?≫
≪街に入るに金が必要というのは面食らったが、これで心配なさそうじゃ≫
「で、売り方のことなんだけど…… あたしが代行で売ることも出来ないではないけど、ジル達が冒険者登録をして自分で売る方がいいと思うんだよね。冒険者になりにきたのではなくても、お金ないってことなんでまた狩りするでしょ? ギルドに登録しないと買い取ってくれないんだ。あと、街に戻る時に税を払わなくていいし」
≪冒険者にならんと売れんという訳じゃな≫
≪街にもっかい入るのにお金払わなくてよくなるー 登録しよー≫
≪リコ、冒険者に、なる!≫
「是非そうしたいと思う。いろいろと助けていただいとるのに更にで恐縮じゃが、冒険者登録の仕方を教えていただけんかのう?」
「もちろん。もう少しいくと冒険者ギルドの建物があって、今そこに向かってるんだけど、そこで登録ができるよ。狩りの獲物を買い取ってくれるのもそこでーす」
「おお。なるほど。同じところであったか」
「あたしもそこに仲間を待たせているのでー ついでー」
≪親切じゃし感じのよい御仁であるの≫
≪お金返すだけじゃなくてなんかお礼しよー≫
≪リコ、お礼、する≫
「で、冒険者登録なんだけど、お金が必要なんだよね。登録手数料ってやつ。1人大銀貨1枚、銀貨10枚ってことなんだけど」
「なんとっ」
「登録作業代とかカード発行代もあるんだろうけど、冷やかしで登録するのを防ぐためにある程度はお金とるってことみたい」
≪うわー またお金かー≫
≪心配のうなったと思ったが...≫
≪ピンチ!≫
「確かにいくばくかの金をとって当たり前であるが……」
「まかせて! あたしが登録手数料貸すから! これでも稼いでるんだから。大銀貨3枚くらい貸せるよー」
≪多分、銀貨30枚って、初めて会った人に貸す額じゃないよね≫
≪悪巧み、ない。最初から、ずっと≫
≪つくづく親切な御仁であるな≫
「重ねて有難いお申し出で恐縮じゃが、この野ウサギ5羽でいくら位になりそうかの? 大体でええんじゃが」
「状態もいいから…… 5羽で銀貨20枚にはなると思う。30枚はむりー」
≪3枚返すと2人分にもならないかー≫
≪1人、登録、魔物、売る?≫
≪そうじゃの。更に30枚もお借りするのは甘えすぎじゃの≫
「甘えてばかりでは申し訳ないでの、手間がさほどなくばこの野ウサギを売るのを代行していただくのだけお願いできんかの? そこから先ほどお借りした銀貨3枚をお返しした残りをいただければよいと思うんじゃが。1人分の銀貨10枚にさえなれば、まずは1人登録すればなんとかできるで」
「無理しないでー。ご飯や宿もあるし、3人登録しないとまた税とられるし。登録も3人まとめての方が手間ないし。あたしの方はご心配なく。エルフが困ってる妖精連れの人をお世話しないなんてありえませんから!」
≪エルフ、精霊の子分、妖精、友達、ね?≫
≪そこかー≫
≪精霊繋がりってことは分かったが、この御仁自体がよい方のようじゃな≫
「それに、その兎、今朝狩ったように見えるけど、朝方だけで5羽、それも傷なしでってことは腕もいいよね? 次に狩りに出る資金があればすぐに稼いで返してくれるでしょ? どーんと甘えちゃってください!」
≪どうせ魔物売るとき収納見せるんだから、教えちゃえば?≫
≪うむ。なんか隠し事してる気分で居心地が悪くなってきたな≫
≪剥ぎ取りも、聞く、ね?≫
「一つお聞きしたいんじゃが、この野ウサギを冒険者ギルドで買い取ってもらう時は剥ぎ取りはどうなるのであろうか? 血抜きはしっかりしてあるがこのままで買い取って貰えるのかの?」
「そのままでも買い取ってくれるし、冒険者なら利用できる剥ぎ取り場がギルドの建物の横にあって、自分で剥ぎ取りをしてもオッケー。そのまま買い取って貰う場合は剥ぎ取り代取られちゃうから冒険者は自分でやるのが多いかな。剥ぎ取りに慣れてなくて皮を傷つけちゃったり肉をうまく剥げない場合は査定が低くなるんで任せちゃうのもあり」
「なるほどなるほど。魔物でも同じかの?」
「同じだよー」
≪丸ごとおおおおお やりいいいいい≫
≪リコ、神の啓示、聞いた!≫
「儂らここにくる前に魔物も狩っておってな、この街で魔物を買い取ってくれるか分からんかったので念の為この野ウサギも狩ってきたのじゃ。隠していたわけではないのじゃが言い出すタイミングがなくての。狩った魔物は収納という魔法で見えない鞄に持っておるで、一人分の登録代さえ助けていただければ」
「えっ 収納持ちなのっ?!」
「おお ご存知であるか」
≪収納ってこっちにもあるんだー≫
≪驚いてた、から、使い手、少ない、かな?≫
≪エルは剣下げとるし鞄背負っとるし。収納は使えんようじゃな≫
≪魔力も、魔力制御も、強いのに?≫
≪魔法の覚え方が儂らと違うのかのお≫
「魔物も狩れる腕があるようには見えたけどー おみそれしましたっ さすが妖精ちゃん連れっ」
「あ、いや、まあ、それほどでもないんじゃが」
≪姫って謙遜することあるんだ……≫
≪うるさいわい≫
「じゃあやっぱり大銀貨3枚貸すよ。すぐ返して貰うの決定だし。ジル達もあたしもその方が手間がないよー」
「左様であるか。エルの手間もあらば有難くお借りしようと思う。助けて貰ってばかりで恐
縮じゃ」
「うん。3人一緒に登録がいい。絶対いい。じゃあ大銀貨3枚、はい」
「合わせて大銀貨3枚、銀貨3枚じゃな。買い取って貰い次第すぐお返しいたす」
「はいはーい」
◇
「もう少しで着くからー」
「承知した。世話になってばかりじゃ。何かお返しをしたいんじゃがの」
「気にしないでー、あ、1つお願いできるかな?」
「おお。なんでも言って下され」
「登録する時、カウンターの誰でもやってくれるけど、ステラって名前の受付さんにやって貰って欲しいんだけどいいかな? 一応言っておくと、ステラは受付で一番下で、それでも3年になるから仕事はちゃんとできる。ただ、先輩の受付さんの方がいい仕事を扱う『力』っていうのがあるんだけど…… その分と言っていいか一生懸命なのは保証します。他の受付さんが不真面目ってわけじゃないんだけど」
「承知した。お安い御用じゃ。じゃが、それでエルへのお返しになるのかの?」
「えっと、ステラとあたしはまあ同期というか。あたしがここで登録した時にステラが新人さんで。仲良しだしあたしの担当でもあるんだけど。担当の受付さんが休みや不在の時は別として、仕事の受注や報告は担当さんに頼むっていうお約束みたいなのがあって」
「登録を扱ってくれた受付さんが担当になるってことかの?」
「ご明察。ステラはまだ3年だから担当の冒険者も少なめだし新人冒険者が多いんだ。他の街からここに稼ぎにくる腕のいい冒険者は、やっぱいい仕事欲しいから『力』がある受付さんにいくし」
「担当の冒険者を増やしてあげたい、かの?」
「またまたご明察。受付さんは、担当の冒険者の成績が自分の成績として評価される面があってさ。ジル達は腕がよさそうだし、冒険者になる前から魔物狩ってるってことだし。ステラの成績になればと思って」
≪ちゃんと理由を言うんだね。悪い面も≫
≪この子、いい子≫
≪そのようであるな≫
「あい分かった。なんのことはない。ステラという方じゃな。承知した」
◇
「兎はどの魔法で仕留めたの?」
「弓、だよ」
「えっ?」
「???」
「弓は収納の中だったりする、とか?」
「うん」
「えっ?」
「???」
≪なんかおかしいのかの……≫
≪んー 噛み合ってないのは分かるんだけど、何が噛み合ってないかが……≫
「魔物も遠距離だけ? えっと、弓と魔法だけで倒してるのってことだけど」
「剣が、多い。あるじも。ルー、は、魔法、だけ」
「(あるじはジルだよね。リコは従者さんかな)リコもジルもその短剣で??」
「違う、長い剣」
「えっ?」
「???」
「剣も収納の中だったりする?」
「うん」
「あー、、、街に入る前にしまったのかな?」
「魔物、倒す度、しまう、けど?」
「えっ?」
「???」
≪あー 分かったー こっちの収納ってズタ袋なんだー≫
≪ああ。なるほど≫
≪リコ、わかた≫
「エル、多分じゃが、こちらで使われる収納魔法というのは、中に入れたのを出す時は全部出すしかない、かの?」
「うん。収納魔法ってそれ以外あるのっていうかあるんだよね…… ジル達のは」
「うむ。中に入ってるのを個別に出せるの」
「うわー 便利すぎー」
「確かに便利じゃ。儂らこれ使えんこと想像したら脳ミソ固まるからの」
≪お礼、教えて、あげる?≫
≪教えてあげよー≫
≪うむ。良いお礼になるの。儂から移せるかが心配じゃが≫
≪エル、魔力、強い≫
≪エルのお仲間の2人はどうじゃった?≫
≪あの2人も、魔力、強い≫
「エル、もしかしたら、儂らの魔法を教えてあげれるかも知らん。試してみないと分からんので確約はできんのだが。ステラの件は承知したが、その程度ではお返しできた気がせんからの。お金を返す時でも何時でも少し時間をとってくれるかの?」
「えー いいの??? 試してくれるだけでも!」
「何ほどのことではないよ。門で別れた2人はお仲間であろう? もしよかったら一緒に」
「うわー 大変! レティもシルヴィも喜ぶー」
「儂らも3人まとめて助けて頂いとるでな。一応お仲間には、教えられるかは試してみないと分らぬことは伝えて頂けるか? あと、今のところは他の方には内密に願いたい」
「了解です!」
◇
「ここが冒険者ギルドだよ。えっと、あたし達は自分の用事を済ませてからこの中にある食堂で待ってるね。今日はこの後予定ないし。じゃあ、ステラのとこまで案内するね」
「よろしくお願いじゃ」