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姫様が行く!  作者: キース爺
登場編
1/23

ここ何処?

■某国某城 宝物庫


≪施錠の方法、変えられてなかったね≫

「甘々じゃな。ふぉふぉふぉ」


≪もう1年近くだっけ? やっぱ宝物庫に入る用事なんかないんだね≫

「普段はそうなんじゃろうけど、近々騎士団の再編があるらしくての。下賜やら貸し出しやらの武防具選びがあると思うんじゃよな」

≪バレるかー≫

「うむ。次が最後くらいに思っといた方がええの」


≪姫、指輪なんかの大きさ変えられたよね?≫

「まかせろ。楽勝じゃ」

≪じゃあ ルーはアクセの箱開けるのがんばるー≫


「あるじ、この弓、よい?」

「お、それ伝説級じゃな。確か矢が勝手に出てくるやつじゃ」

「ほしい」

「弾けそうか? かなりの強張りだったはずじゃが」

「リコ、できる子、かも?」

「んじゃもってけ。ギリなら剛力の指輪だか腕輪だかがあったはずじゃが。要るか?」

「ほしい」

「ルールーが箱開けたら探してみ」

「おー」


「それまで革装備用の籠手だか脛当てだか靴だかを適当に拾おう。組み合わせは後で考えればええじゃろ」

「おー」


「儂はこの素材の箪笥が目当てじゃ。ええ革だの布だの髭だのいっぱいあるんじゃ」

「あるじ、箪笥ごと、入れた?」

「空の引き出しばっかの箪笥残すよりええじゃろ? 下手したら無くなってること自体気付かれん」

「あるじ、できる子」

「ふぉふぉふぉ」


≪ひーめー、アクセの箱あけるの時間かかりそー≫

「箱ごと適当に持ってけ。要らんものは次で返せばええ」

≪りょー≫


「あるじ、このオブ、なに? 魔力高い」

「んー それ前からあったけど何か分からんのじゃよな」

「ここに、魔力、通す、かも?」

「ここか。んーんー。結界かなんかで遮断されてるのかの?」


≪姫の魔力ならショボイ結界くらいブチ抜けるんじゃないのー≫

「んーんー、おりゃああ」

「あるじ、ひび、入ってきた、ひび」

「うおっ」


≪ヒビ広がってきてるー 割れるー 割れるー≫

「魔力、いぱい、出てくる? 出てくる!」

「おおおおおおおおお」



■どこかの森


「2人とも無事か?」

≪だいじょぶー≫

「おー」


「無事なのはよかったが…… 転移のオーブだったってことか?」

≪だろうね≫

「宝物庫、調べられるじゃろうな」

「魔力発動、すごかった、調べられる、ね?」

≪バレ確定かー 怒られるね≫


「父さまはチョロいんじゃが」

「陛下、怒ったら、怖い、かも?」

「ちとばかり涙を浮かべて唇噛んで上目使いの技を炸裂させればチョロイわい。ふぉふぉふぉ」

≪似合わなさそー≫

「技っちゅうもんはな、似合うか似合わぬかではない。効くか効かぬかじゃ」

≪なるー≫

「あるじ、できる子」


≪奥方さまと爺?≫

「爺、怖いけど、ぶ飛ばせる、かも?」

「爺は相手したらいかん。儂ら3人でも下手したら相討ちじゃ。逃げ続ければなんとかなる」


「奥方さまは、あるじ、がんばって」

「母さまからは逃げ続ける自信ないんじゃが……」

≪がんばって逃げ続けよう!≫



「とゆうかじゃな、ここ何処じゃ?」

≪林というよりは森だよね≫

「どこの森じゃろな?」

「あるじ、南あっち、こっちが北、北の山脈、見覚え、ある?」


「んー、東西に連なるあのような峰々で…… 山頂には雪…… 南の麓からは森…… 覚えがないのお」

≪ルーも見覚えないなー≫


「リコ、周りを調べよう」

「おー」


「ルールー、城の状況こっそり聞けそうなやつに連絡とれ」

≪りょ≫



「あるじ、こことか、こことか、崩れた壁?」

「天井も壁も崩れ落ちた古代遺跡のようじゃの。誰も管理してない遺跡なら何百年か経てばこうなろうな」


「地面の下、転移魔方陣、あったり?」

「あるじゃろうな。転移先となる魔法陣があっても戻る役には立たんが」


≪ひめー 遠隔念話 繋がらないというかー 呼びかける以前に誰も見つけられないんだよねー 遠すぎ?≫

「そんなこと今まであったっけか?」


≪世界樹のとこ行った時くらいかなー≫

「あー、ありゃ遠かったな」


「ここ、かなり遠い、かも?」

「遠すぎてすぐには帰れないって方が良かったりするが。つうか暫く帰りたくない」

≪ルー も≫

「リコ、も」



「あるじ、魔物、ちょっと強い、なんとかかんとかベア」

「ほほお。熊か。ん? グレーターってことは上位種かのお?」

「狩ろう」

≪狩ろう 狩ろう≫


「熊は肉も取れようが内臓の胆と言うたか? あれと皮じゃ。皮傷付けずに狩るぞ」

≪りょ≫

「おー」


「ルールーと儂はこちらから、リコ奥側上空隠蔽待機、ルールーは儂前方の障壁維持、3人準備良しから初撃儂の絡め手から入る。ルールーは余裕あらば電撃を焦がさんように当てろ。儂は麻痺と拘束に専念する。麻痺拘束後首断ち切るのはリコ頼む」


≪りょ≫

「おー」


「喉元から刃先入れて首の後ろ半分皮繋げたまま断ち切れるか?」

「リコ、がんばる」


「位置取り開始」


≪儂準備良し≫

≪ルー準備良し≫

≪リコ、準備良し≫

≪儂突撃≫


・・・・・・・・・


「でかい熊じゃの」

≪らくしょー≫

「皮傷は喉元だけか。ええ腕じゃ」

「リコ、できる子」


「収納はリコ頼む。上空に上がって地形を確認じゃ」



「西、遠く、川。北から、南に、流れてる、かも?」

≪川に出て南に向かう?≫

「常套手段はそれじゃが。森の南の端見えるまでもう少し上がってみよう」


≪森の南の端見えないんだけどー 広すぎー≫

「儂も霞んで見えんわ」

「ちょっぴり、見える、かも?」

「リコの遠視で微かにか。広い森じゃの」


「あるじ、あっち、ちょっぴり開けたところ、魔物、猪、デカくて、ちょっと、強いの1、ザコっぽいの8、なんとかボア」


≪ボス付き猪の群れ おいしそー≫

「逃走資金稼がんといかんからバンバン狩るぞ」

「おー」


≪猪は皮も売れたっけ?≫

「うむ。肉と皮じゃな。胴体部分に傷付けなきゃええから首切り飛ばしでええじゃろ」


「全部、横になってて、動かない。寝てる?」

「ボスかなりデカイな。リコ、ボスを真上から襲えそうか?」

「だいじょぶ。邪魔な木、ない」


「んじゃ、リコとルールーはボスの真上上空、儂右手前上空に位置取り。初撃はリコ。真上から隠蔽してボスに接近、首切り飛ばせ。ボス殺ったら一旦上空へ。リコの初撃に合わせて儂は全体への拘束飛ばす。リコはボスの後、右奥側の雑魚に向かえ。その後時計回りに雑魚狩り。儂は右手前から時計回りに左奥側に向けて雑魚切り飛ばしていく。ルールーはリコの障壁維持しながらサポート。リコの背面守れ。射線があるならエッジ飛ばせ。リコと儂の動く方向には撃つな」


≪りょ≫

「おー」


「では位置取り開始。3人準備良しからリコ初撃へ」


≪儂準備良し≫

≪ルー準備良し≫

≪リコ、準備良し、いく≫


・・・・・・・・・



「あるじ、あっち、南、ちょっぴり西、魔力、溜まってる。分る?」

「ほほお、あそこ、魔脈だか龍脈だかが交わってるかして地上に漏れ出てるんじゃないかの」


「その向こう側、ちょっぴり東、魔物、超デッカイ、というか、超長い、ヘビっぽい、アークなんとかかんとかバイパ、かなり強い、上位龍クラス?」


≪まじー?≫

「強い魔物おるのは魔力溜まりがあるからかの」


≪さっきのデッカイ猪とその前のデッカイ熊って、下位龍ほどではないかもだけど亜龍かそれ以上でしょ? さらに上位龍クラスかー≫


「魔力溜まりがあっておいしいのがゴロゴロおる森って…… 儂らの国か周辺にあったか?」

≪思いつかないなー≫

「あったら、もう、狩ってる」

「じゃよな。ルールーの念話もこともあるし、来たことない所で間違いなさそうじゃな」


≪ヘビ狩るよね?≫

「狩る、でしょ?」

「狩るに決まっとる。儂、涎出てきた」

≪作戦はー?≫

「一度北側に引く。弁当食いながら話そう」



≪あるじ、この下、魔草、かな?≫

≪おお そのようじゃな≫

≪摘んでいこー≫

≪んじゃ適当に採集したらここで飯にしよう≫

≪りょ≫

≪おー≫


「魔草は一所に固まって生えないもんじゃけど、これだけの群生っちゅうのは見たことないの」

≪魔力溜まりの影響かなー≫

「そうであろうな」


・・・・・・・・・


「いぱい、採れた、うまー」

「誰も採りに来とらんのじゃろうな」

≪この森うまうまだねー≫



「モグモグ」

「もぐもぐ」

≪ペロペロ≫


「ヘビ狩りは夜になってからにする。月が出てリコが増幅使えるようになってからじゃ」

≪りょ≫

「おー」


「去年、20m超えのヘビを騎士団が狩ってきたの知っとるか?」

≪あー 話には聞いたー 剥ぎ取り前の見れなかったけどー≫

「リコ、見た。デカかった」


「あれは上位種だったそうじゃが、めっちゃ儲かったそうじゃぞ。3年分くらいの騎士団の買い替え装備があれ1体で賄えるそうじゃ」


≪まじ?≫


「さっきのヘビは上位種に間違いないが、下手したら統治者級もある。アークじゃし。ということは、涎が出るじゃろ?」


「お小遣い、めっちゃ、いぱい? じゅる」


「期待してええぞ。あれクラスのヘビなら間違いない。皮と牙だけではないんじゃ。肉・骨・血、全部売れる。龍と同じで捨てるところほとんどないんじゃが・・・ 一番高く売れる素材はどれだと思う?」


≪んー 皮?≫

「かな?」


「うんにゃ。血じゃ。龍なら皮というか鱗だと思うが、あのクラスのヘビは血なんじゃよ。皮が安いわけじゃないというか皮も高く売れるんじゃが、それ以上に血が儲かるんじゃ」


≪ほほー≫


「おかしな値段がついとるのに貴族のエロジジイなんかが争って買っとる薬知っとるか?精力増強剤とかいう、役に立たなくなったジジイのアレをビンビンにするやつな」


≪知ってるー 時々偽物が出回って喧嘩になるヤツでしょー≫

「ヘビの血、あれの、材料、かな?」


「その通りじゃ。かなり薄めて使う。あれクラスのヘビ1体で山ほど薬出来る。ぼったくり放題。あ、涎が」


「リコも、涎、いぱい、じゅる」

≪ルー がんばるうううううう≫


「血を流させたくないから狩り方がかなり難しいというか面倒じゃ」

≪首断ち切ってすぐ収納したら?≫


「ヘビは大体そうじゃが、首断ち切ればいずれ死ぬんじゃが結構な時間心臓動いて生きとる。生きとるから収納に入れられん。おまけに死ぬまで暴れまわるんじゃ。その間に血がドバドバじゃ。1滴1滴が金になるのにドバドバじゃぞ?」


≪ダメかー≫

「ドバドバ、禁止!」


「騎士団が狩ったヘビの死体、リコ見たんじゃろ? 首もどこも落としとらんかったじゃろ?」

「つながってた」


「脳筋系の魔物なのに、第1や第2じゃなくて第3騎士団主体で狩ったそうじゃ」

≪第3って魔道騎士団だっけ?≫

「吸った?」

「うむ。暗黒系と神聖系の魔術師が総動員されたそうじゃ」


≪神聖系は何使ったの?≫

「あのクラスのヘビは闇系だからホーリーで削れる。アンデッドほどではないじゃろうが」

≪なるうううう ホーリーなら傷つかないもんね≫

「うむ」

≪姫とリコが吸いまくって、ルーはホーリー撃ちまくるだね?≫


「その通りじゃ。ホーリーの方が削れるならば儂も使うが、多分吸う方がええかの。3人でチビチビ削るしかないから時間はかかると思うが、儂から魔力線2人に繋いどけば魔力切れにはならんじゃろ」


≪がんばるうううう≫

「リコ、できる子」



「リコ弁当あといくつある? 儂6個」

「同じ。6個」

「明後日の昼間までってとこか。ルールーは余裕あるな?」

≪ルーは2週間分位あるー≫


「んじゃ、明後日の早いうちに森を抜けることを目指そう。弁当足りなきゃ肉焼けばええけどな。なんとかなるじゃろ」

≪りょ≫

「おー」


「暗くなるまで一眠りじゃ。ヘビは長丁場になると思うからの」



■某国某城 政務の間


「今の波動はなんだ? 宰相、心当たりあるか?」

「大規模魔術の気配でございましたな。本日は催しのようなものありませぬが。調べてまいります」



「陛下、先ほどの魔力発動の件、まだ詳細は明らかではないのですが宝物庫で何かあったようです。沢山の者が波動を感じておりまして、方向を結びますと宝物庫になるとのことです。今々宝物庫は施錠されており外目からは不振な点はないとのことですが」


「賊か?」

「それは考えられませぬ。城自体も鉄壁、ましてや宝物庫の施錠魔術のこと考えますれば」



「自然に魔力を蓄積していく魔道具が臨界を迎えてのようなことであろうか?」

「その可能性はないとは言えませぬが、そのような類の品は研究所に別途保管をしておりますれば」


((・・・・・))


「となると宰相、一つ心当たりがないではないのだが」

「陛下、私も心当たりと言えば一つだけ」


((・・・・・))


「近衛、姫の居場所と本日の予定を調べろ」

「「「はっ」」」


「宰相、宝物庫の開け方は如何であった?」

「魔力波を登録してある者のうち2人が同時に解錠の術を施す必要がございまして、陛下と私も登録されておりまする」


「宝物庫にまいるぞ」

「はっ」



■某国某城 中宮


「奥方様、先ほどからの騒ぎのこと聞いてまいりました」

「ご苦労様。何か分かりましたか?」


「宝物庫内で大規模魔術の発動があったとのこと、陛下・宰相殿が確認に向かわれましたが宝物庫は施錠されていたとのこと、解錠して中を調べましたところいくつかの品々が紛失しているとのこと、魔道具類の置き場に砕けたオーブのようなものが散らばっていたとのこと、保管目録と照合中なれど砕けていたのは古代遺跡から発掘された転移のオーブらしきこと、今のところこの程度で御座います」


((・・・・・))


「あの子の今日の予定、知っていますか?」


「それも調べてまいりました。本日のご予定は側付きと共に狩りに行かれるとのことです。城を出た記録はないのですが。お姿は見当たらなく」


「あの子の気配、あの騒ぎが起きた時から消えています」


((・・・・・))


「同行の者はルールーとリコですね?」

「はい。ご予定ではそうなっております」

「私の念話が届く範囲に3人ともおりません」


((・・・・・))


「あの子の仕業ですね」

「そうなりましょうな」

「あの子は、まったく、もう」


((・・・・・))


「私が念話で探せる範囲は我が国と隣国全てを合わせた程度です」

「それより遠くということになりますか」

「あの子の心配は要らぬでしょうが。ルールーとリコもおるようですし」


((・・・・・))


「昨年北方の国で城が1つ吹き飛ばされて更地になった事件がありましたな」

「ありましたね」

「その前にもいろいろとありましたな」


((・・・・・))


「まずいですね」

「まずいですな」


「探せと言っても困るでしょうが、何か考え付けば居所突き止めるように。私も調べてはみますが」

「承知いたしました」


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