91 冒険者リア
新章突入!
とは言え、雰囲気だけであんまり分けてる意味は無いんですが…
今までは1章当たり30話程でしたが、今回は多分少し長くなるかと思われます。
リーゼが共に暮らすようになり、特に問題も起こらず1週間が過ぎた。問題が無いどころか薬草の生育が妙に良くなったので、魔力濃度を高めて実験して、魔力が濃いと薬草の育ちが良い事を発見した。しかも、ポーションを精製した際に効果が高くなる事も分かった。
リーゼは私同様に冒険者、商業とどちらのギルドにも登録し、現在は店の手伝いをしている。と言ってもカウンターでユリナの隣に座っているだけで、男性客が勝手に来てくれる。美人って得だね。
「特にやる事も無いねぇ…」
店はリーゼとリルがいるから私はいらなくなったし、子供たちの訓練は休み。家の事はセバスがやってくれる。
「たまには冒険者ギルドにでもいくか」
グランドマスターとの約束で仕事をしなくても、登録が消される事は無い。とはいえ、一応冒険者だし、暇だし行っても良いだろう。
準備を整え、セバスとアリスにギルドに行くことを伝えて家を出た。近所のおばちゃんたちと軽く挨拶を交わし、少し歩いてすぐに冒険者ギルドに到着した。元々、通りに近い所に店を構えているのだから当然だが…
ギルド内に入ると反応は3つに分かれた。まず、リアを知っている者は息を殺し、気配を殺そうと視線を逸らし黙った。リアを知らない者は子供が入ってきたと、こちらを気にするように視線を向けてきている。そして、昼間から酒を飲んでる者は入ってきた事にも気付かず、騒いでいる。
(昼間から飲んでる人もいるんだ。多分、仕事の時間とか決まって無いだろうし、朝方まで働いてた人もいるのかな?夜勤的な…)
と、見ていると何を思ったのか一部の冒険者が慌てた様子で、酔った連中を無理やり席に座らせた。良く分からなかったが、とりあえず受付に向かった。
「あっ、ライナさん久しぶり」
「えっ?リアさん、お久しぶりです!今日はどうしたんですか?」
「やる事なくて暇だから、たまには冒険者として活動しようと思ってね」
「はは…そうでしたか。暇だからなんて理由で来る人はリアさんくらいですよ」
「まぁお金に困って無いし、登録消される事も無いみたいだからね。そういえばグラマスから依頼って来てないの?前に聞いた時にはちょくちょく魔物が来るって言ってたけど」
「何でも対策として高ランクの冒険者を専属で雇ってるらしいです。ただ高ランクを常駐させるとなると、どうしてもお金がかかるみたいで…」
「まぁ、普通に依頼受けた方が稼げるだろうし、その補填ってなると結構な額だろうね。まぁ依頼が来てないなら良いや。なんか依頼ある?て言っても、下位ランクの依頼しか受けられないけど」
「そうですね。リアさんは依頼を受けてないので最下位のFランクです。そうですね…この辺りですね」
そう言って見せられたのは依頼の書かれた紙が数枚。内容は、薬草の採取や街の溝掃除、空き地の草むしりなどの雑用だ。子供のお手伝いだろう、コレは。
「そういえば、登録って15歳からなんだよね?」
「え?はい。リアさんはすでに登録されてますし、気にしなくても良いんじゃないですか?」
「いや、教会の子供たちを弟子にとってね。冒険者になりたいって言ってたから」
「ああ。リア教会の子たちですね。それでしたら…」
「ちょっと待って。なに?リア教会って?」
「リアさんが建てたんですよね?しかも、領主様のいる前で宣言したって。だから、一部の人はリア教会って呼んでるんですよ」
「…はぁ。まぁいいや。もう、諦めるよ…。それで?」
「ああ、子供たちですね。確かに冒険者として登録するには15歳以上である事が必要ですが、10歳以上であれば冒険者見習いとして仮登録が可能ですよ」
「メリットあるの?」
「はい。Gランク扱いでFランクの依頼しか受けられずランクも上がりませんが、15歳で本登録した際に働きに応じて、Fランクのポイントが貰えます。そのままEランクに上がる子もいますね。基本的には冒険者ギルドの扱い方を学ぶ事、仕事に就けない子がお金を稼ぐ事を目的としています」
「Fランクって事はこの薬草採取みたいに外に出る事もあるんだよね?大丈夫なの?」
「仮登録といえど扱いは冒険者に近いものがありますので、危険はあります。ただ、外に出る依頼の場合Dランク以上の冒険者の同伴が義務づけられています」
なるほど。これならあの子たちも登録できるし、外で経験を積ませられるな。今まで上げてこなかったけど、ランクを上げとかないとな。
とりあえずDランクを目標に、渡された依頼書をすべて受注した。驚かれはしたが、私の事を知っていたので割とすんなりいった。その後、計6つの依頼を2時間ほどで達成して帰った。




