06 交流
馬車はちょうど野営の準備を始める予定だったらしく、一緒に行動することになった。最初は盗賊がたまに出ると情報があり、私が見張りのような事をしているのではないか、と思ったらしい。しかし、近付いて見てみると女だった上に首のない狼を4匹も吊るしているという目立つ状況に違うと判断したらしい。
しかし、なぜ一緒に行動しているかというと…
「いや~、こんなに状態の良いウルフは久しぶりです!ありがとうございます!」
「いや、お金も貰ったし街まで乗せてくれるんでしょ?お礼を言われる事じゃないよ」
「いやいや!冒険者は大体ギルドに納品しますからな。ギルドを通じて購入する分、少々高くなるのですよ。しかも大体は肉や皮に傷がついていますが、この死体は首が落とされている意外に傷がありません!ウルフの素材としては最高級品ですよ!」
「そうなんだ。なら良かったよ。街に着いたらギルドとかに登録しようと思ってたから」
「おや?冒険者では無いんですか?」
「違うよ。ちょっと遠くの村の出身でね。街とかにも寄った事が無いし登録はしてないんだ」
このちょっと小太りのおじさんはドルトさんという商人らしい。息子を跡継ぎにすべく2人で行商に周っているらしい。本人曰く、そこそこ大きい商会の商会主らしい。
ゲーム時代は冒険者登録とか無かったし、それらしいアイテムも持っていない。というか商品ってギルド経由なんだ。今までは大体どこの店でも対応する物なら売れたけど…
「へぇ、そうなのか。じゃあ、街に着いたら一緒に行くか?リアちゃん。俺たちも報告があるしな」
そう声をかけてきたのは、さっき様子見にきたアランさんだ。護衛の依頼を受けてドルトさんに同行している冒険者だ。ちなみにあと2人メンバーがいて、チャラそうな男の方がリッツ、胸の大きい女の方がレイファというらしい。もげれば良いのに…
ちなみに合流した時に自己紹介は済ませている。ちなみに先程言われた『リア』というのが私の名前だ。ソロが長かったせいで自分の名前を忘れかけていた。ちゃん付けで呼ばれているのは見た目のせいだろう。ゲーム開始時、どうせなら可愛い方が良いと年齢を最年少設定の15歳。身長も少し小さめの銀髪のキャラを作った。当然、見た目に合わせて胸も小さめに作っている。いや、現実の方も大差無かったけど…
「いいの?探す手間が省けて、私は助かるけど」
「別に良いさ。ついでだし、肉も貰ったし」
「私としても解体の仕方、習ったし別に良いよ」
狼の肉を分ける条件で、解体の仕方を習った。1回見たぐらいで完璧に出来る訳でも無いが、何も知らないままやるよりはマシだろう。あとは数をこなすだけだ。まぁ、わざわざ申し出てくれてるんだし有難く受けておこう。