表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の女大賢者  作者: 山田 奏
第一章 新世界編
6/150

05 人

狼の1匹を降ろし、土魔法で低めの壁を作り、即席の台にする。



「意外と応用がきくなぁ…。さて…」



目の前には首のない死体。どうしたものかと考える。



「考えても分からないか。とりあえず魚みたいに内臓出すか。食べるの怖いし」



斬り落とした首の切り口からナイフを入れ、浅めに腹を開いていく。ちゃんと血抜きが出来ていたのか血が流れることは無い。



「血が出ないなら料理と大差ないな。若干、気持ち悪さはあるけど…」



肉と言われれば、基本的にはすでにカットされている物か精々数キロの肉塊くらいだろう。皮付きの獲物なんて猟師くらいしか捌かないだろう。内臓を取り出し、軽く水魔法で洗い解体していく。



「あっ…。皮に穴あいちゃった。まぁ、初めてだし良いか。最悪、今日の分の肉を確保できれば問題ないし」



練習として、適当に解体を進めていく。数十分後にはいくつかの塊になった。



「いまいち部位の違いが分からないな。一応、塊は出来たけど…」



大きさは適当だし、塊にはなったがちゃんと部位で分かれてはいないだろう。解体は専門の人に任せようと心に決め、適当に肉を薄く切っていく。材料も無いし、道具も限られているので焼く程度しか出来ない。その辺で落ちている枝を拾い、魔法で火を点けて焼いていく。



「まさか5年ぐらい前に買った道具一式が今になって役立つとは…」



野営用の道具だが簡単な調理道具もあった。とりあえず金串に薄く切った肉を刺し、直火が当たらない様に火の近くに刺していく。あとは焦げない様に気を付けながら焼くだけだ。

その時、またも探知になにか引っかかった。



「またぁ?いや、方向的に森じゃないな。もしかして、人?」



街道の先を曲がって見えなくなっている方から5つ程の反応がある。



(とりあえず、見えてから対処でも良いか…)



肉が焦げない様に向きを変えながら考える。少し経ってようやく探知の反応の正体が見える位置までやってくる。



「馬車…だね」



幌付きの馬車がゆっくりとこちらの方に向かってくる。といっても街道からそんなに逸れた位置でも無いし、道なりに進んでいるんだろう。そう思っていると、馬車が停まり1人がこちらに歩いてきた。



「すまない。俺はそこの馬車の護衛をしている冒険者のアランだ。聞きたいのだがここで何をしている?」


アランと名乗った男は腰にロングソードを付け、フルプレートの鎧をしている。いや、兜が無いしフルでは無いか…。30代後半くらいの男はこちらを見ながら後ろにチラチラと視線を送る。視線の先には血抜き用に吊るしたウルフがぶら下がっている。



「えーと、食事?」


「なぜ疑問系なんだ?」



これが初の人間との接触になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ