50 敵意
私達が港に帰ると行った時よりも人が増えていた。野次馬か冒険者かと思ったがゲイルさんが見えたので漁に出ていた人たちが帰港したのだろう。
「ただいま、玉藻。ゲイルさん、昆布獲れた?」
「いや、昆布って、お前さん…なんかいねぇか見に行ったんじゃなかったのか?」
「いたけど倒したから問題無いよ。で、昆布は?」
「昆布なら獲れたぜ。量を聞いてなかったから適当なカゴに詰めてきたが…」
「お、おい!やっぱ何かいたのか!?」
ギルドの職員に怒鳴っていた漁師の人が聞いてきた。まぁ船を壊された訳だし、原因は気になるか…
「えっと…そういや名前知らないな。ちょっと皆離れてて」
「何する気だ?」
「見た方が早いでしょ?」
アイテムボックスから巨大ウツボを出した。ついでに分析魔法で見ると『キングモーレイ』と出た。確かウツボの英名がモレイとかだった気がするから、多分ウツボなんだろう。
「キングモーレイじゃねぇか!確かにこいつが居れば他の魚が逃げ出すのも分かる」
ゲイルさんが驚いている。ゲイルさんの話によれば『モーレイ』は10年くらいの周期で近場に現れるモンスターらしく、そこまで問題では無いが数十年に1度くらいの頻度でこの巨大なキングモーレイが現れるらしい。と言っても、そう言われているだけで50年程前に1度現れた以外は見ていないとの事。
「よくこんな奴を倒せたな。50年前は当時、街にいた冒険者や漁師たち100人くれぇ集めて何とかなったってぐらいなのに…」
「まぁ、召喚獣にも手伝ってもらったしね」
そう言って視線を海にやるとセレンが近くまでやってきて、こちらに向かって頭を下げた。その瞬間、冒険者たちは武器を抜き構えた。殺気らしきものも感じる。
「…なに?」
「…人魚ってのは魔物の中でも知能が高く、魔力も高い。今まで安全に海を渡る為に色んな国で契約が試されたが成功した例は無い。国の魔導士たちの間では人間には不可能だという結論になったってのが、冒険者の間じゃ一般的だ」
つまり私は人間じゃない、と。短絡的過ぎじゃない?不可能を可能にすることで未来は開けるんだよ?多分。
「つまり私は人間じゃない可能性があるから、武器を向けている、と?私は人間だよ」
「人を騙そうとしてる奴が、わざわざ本当の正体を明かす訳が無いだろう?」
「確かに…。とは言え証明も出来ないな。てことは、私と敵対するって事で良いのかな?」
軽く視線を送ってみると、冒険者の体が強張っているのが分かる。まぁデカいウツボ倒しちゃってるしなぁ。海産物は定期的に確保したいしどうしようか?
「お待ちください」
そのとき、1人の男が私と冒険者たちの前に現れた。




