38 海の男
「よぉ!おめぇさんがマルセアから来たって嬢ちゃんか!」
ギルマスの部屋に入った瞬間にデカい声でそう言われた。他に人がいないので恐らくこの人がギルマスだろう。真っ白な髪と髭、そして鍛え上げられた筋肉と体中の傷…
「どうも。リアです」
「何だ!?体だけじゃなくて声もちっせーんだな!」
「あなたが無駄に大きいだけです、ギルマス」
しれっと案内してくれたサラさんが会話に混じってきた。というか上司だろうに結構言うなぁ…
「当たり前だろうが!海の上じゃあ、声を張らなきゃまともに聞こえもしねぇ!」
「ここは海じゃなくて陸地です」
「心はいつだって海の上よ!」
いや、訳分かんないって。何?元海賊とかそんななの?
「ギルマス、とりあえずリアさんが会話に付いていけてませんので話を進めてください」
「おっと、そうだったな!ババァからの手紙だったか!」
いや、あんたもジジィだよ。なんて事を思ったが口には出さず手紙の入った封筒を渡した。
ギルマスは意外にも手紙を読んでいる間は静かだったが、唐突に大笑いし始めた。
「はっはっは!なかなかやるじゃねぇか!嬢ちゃん、冒険者ギルドのギルマス追い出したって書いてるぞ!」
「軽く困らせる程度の予定だったけどね。結果だよ、結果」
「それにお前さんに紹介状を書いたってあるが、紹介状は?」
ちっ!お婆ちゃんめ!別に個人的な仕入れメインで仕事するつもりなかったから出さない様にしてたのに…
「別にここで仕事するつもり無いから出さないでも良いでしょ?」
「紹介状があるのでしたら欲しい物など、こちらで出来る限り用意させて頂きますが…」
サラさんが会話に混じる。普通に会話に参加している。
「えっと、サラさんって何者?あの新人っぽい子が呼んだから、それなりにベテランなんだろうけど…」
「お伝え忘れてましたね。私はギルドでサブマスターをしております。経理や商品の仕入れ、販売なども統括しております」
「それってサブマスの仕事なの?」
統括って普通ギルマスじゃない?マルセアはお婆ちゃんが許可出したりしてたし…
「ギルマスがこんななので」
「…確かに難しい事は出来無さそう」
見るからに脳筋って感じだし、簡単な計算とかもミスしそうだもん。なんで、そんな人が商業ギルドのギルマスやってんだろう。
「コレで人望はあるんですよ」
なんか心読まれた!?いや、表情に出てたのかも知れない。




