03 遭遇
「暑い…」
街道を歩いていたが、遮る物は何もない。更に雲一つない青空が広がり、大地が太陽にジリジリと焼かれている。幸いな事に魔法使いっぽさを求めて作ったローブには、フードが付いていてそのおかげで直射日光からは守られている。
ステータスが高い為に疲れは無いが、暑さで体力的な何かが奪われている気がする。実際、ステータスには変化は無い。時折、土魔法で壁を作って日陰を作り水魔法でコップに水を入れ休憩している。かれこれ2時間ほど歩いているが、街らしきものは見えない。
「そういやラノベとかでも隣の町まで馬車で2日とか3日とか見るしなぁ…。今日中は無理かな。適当にどっかで休んだ方が良いかな?」
幸い、キャンプセットのような物は持っている。ゲームを始めてしばらく経った頃に買った物だが使った事は無い。別にキャンプを張らずともゲーム内で朝になるまでログアウトすれば良いだけである。前はログアウトして軽くご飯を食べてまったりした後、再ログインしてやっていた。
「ログアウト出来ないからゲーム内で過ごさないと…。って、ご飯どうしよ?ウルフしか無いし解体もしてない…。確か血抜き?しないといけないはずだけど…」
ラノベや漫画の知識しかないが、確か首を落としてロープとかで吊るしていた気がする。おぼろげながら記憶を頼りに実践してみる。アイテムボックスから何で買ったか分からないロープを取り出し、更にウルフを出して後ろ足を縛り上げる。
「あとはコレを近くの適当な木に吊るすっと…。どんぐらい吊るすものなのかな?」
どれほど時間がかかるか分からない為、ついでに何匹か吊るしておく。吊るし終わって眺めてみると酷い絵面だ。首のないウルフの死体が5匹、逆さ吊りにされている。
「これは…気持ち悪いな」
猟師の人とかも猪とか鹿とか獲った時はやるんだろうか?それとも血抜き用の道具みたいなのでもあるのかな?
「ん?」
探知になにか引っかかった。どうやらこちらに向かってきている様だ。森の中に目を向けるとデカい熊が歩いている。もしかしたら血の匂いにつられてやってきたのかも知れない。
「私の肉を狙うとは良い度胸だ。熊鍋にしてやろう!」
作り方分からんけど…。と頭の中で考え、熊の前に立ちふさがった。