35 道中
リルに乗って街道を進む。マルセアを出て丸1日程だ。
「何も起こらないな…」
普通、ラノベとかなら次の街への移動となると、次の街でメインとなる人物と遭遇して助けたり盗賊とかに襲われる物だが、全く何も起こらない。結局アレはコ〇ン君が行く先々で事件に巻き込まれるようなマイナス側の主人公補正なのかも知れない。
え?異世界に1人で来ておいて私、主人公的な存在じゃないの?、とか思ったが、そもそも本当に1人なのかも分からない。知らない森からスタートだったし、ランダムに元プレイヤーが配置された可能性もある。というかホントにゲームがベースなのかも不明だ。確かに自分はゲームのキャラなのだが、ゲーム時代にマルセアなんて街は存在しなかったし…
「他に元プレイヤーがいるなら会ってみたいけど、無理して探すほどでも無いかな…」
『主の様に実力ある者ならば探さずとも噂くらいにはなるだろう』
「あー、それもそうか」
リルとのんびり昼食を食べながら駄弁る。
現在は昼休憩中だ。昨夜は自作の簡易ベッドを使って寝たわけだが、ここ最近ベッドでずっと寝ていた為に寝心地が悪くしっかり休めなかった。その為、少し休憩でも取ろうと街道から少し逸れて昼食を取っている。
「ごめん、リル。ちょっとだけ寝させて。30分くらいしたら起こして」
そう言って、寝そべっているリルのお腹を背もたれにして目を閉じた。
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『主。そろそろ起きろ』
「…ん…あと、5分…」
リルは急に立ち上がり、リルのお腹に背中を預けていた私は当然、後ろ向きに倒れた。
「いった~…。もっと優しく起こしてよ」
『主がなかなか起きぬからな。何度、あと5分と聞いたことか…』
「リルのお腹の寝心地が良いもんだから…」
昨夜の自作ベッドの寝心地に比べ、ふわふわもこもこで良い感じに温かいリルのお腹は、最高に寝心地が良かった。
簡易ベッドもただの布じゃなくて毛皮を使うべきだろうか?いや、夏場は暑苦しそうだ。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
『主が素直に起きていれば、すでに出発していたのだがな…』
「伝説とか言われてるフェンリルが細かい事言わないでよ」
リルがまるで小言をいう母の様だ。いや、一般的な話であって、うちの母とは比べたくも無いが…
リルに乗り、街道をさらに走っていった。




