33 準備
海業都市マリーナに行くと決め、早速準備に取り掛かった。まずは商業ギルドだ。
「…もう一回、言ってくれないかい?」
「ちょっとマリーナまで魚食べに行ってくる」
「魚食べるだけでわざわざ行く距離じゃないと思うんだがね?」
「その辺は人それぞれでしょ?」
日本でも何時間もかけて店に食べに行く人がいるみたいだし、物流がまだしっかりしていないこの世界では現地でしか食べられない物も多いだろう。それに魔導具作りのヒントになる物もあるかも知れないし、魚醤もあるかもしれない。それに交易も栄えてそうだから、他国の珍しい物とかもあるかも知れない。
「とりあえず、しばらく店は閉めるからね。ついでに何か欲しい物があれば買ってくるけど?」
「いつ出発予定なんだい?」
「とりあえず明日か明後日くらいにしようと思ってるよ」
「じゃあ明日また来とくれ。向こうのギルドへの紹介状と頼みたいもののリストでも用意するからね」
そういう事で明日また行くことになり、続いて冒険者ギルドに顔を出す。
「どうもライナさん。あっ、サブマスって呼んだ方が良い?」
「リアさん。お久しぶりです。あと、まだ慣れないので止めてください…」
「呼ばれてるうちに慣れるよ」
前回の一件でライナさんは受付嬢からサブマスに昇格した。本来ならどこのギルドにもギルマスと補佐のサブマスがいるものだが、このギルドではあの前ギルマスが貴族だった為、サブマスを任命しても色々とどうでも良い事まで命令されて嫌になり辞める事が相次ぎ、空席となっていた。
今回、グランドマスターのベルガさんが信頼出来る人にギルマスを代理で頼み、前回私の事を律儀にずっと黙っていた事で評価されたライナさんがサブマスに任命された。ゆくゆくはマルセア支部のギルマスになる予定だとか…
「それで今回はどういった御用ですか?」
「マリーナに行く予定だから、しばらくいなくなるから一応連絡に…。いない間にベルガさん来ても困るし」
「マリーナですか…。ちなみに何をしに行くか聞いても良いですか?」
「新鮮な魚を食べに」
「は、はぁ…え?魚?」
「そう、魚。こっちじゃ干物とか保存が効くものしかないから新鮮なものを食べたいと思ってね。あとは魔導具のネタになりそうなものを探したりとか?」
「そ、そうですか。かしこまりました。グランドマスターにはこちらから伝えておきます」
ライナさんと会話を終え、冒険者ギルドから出た。ギルドにいた冒険者が何やらこっちを見ながら『死神…』とか呟いていた気がするが、きっと気のせいだろう。
~ギルド内にて~
冒険者A「やべぇ、『死神』だ。目を合わせんなよ…」
B「死神?」
A「ああ、登録初日にCランク冒険者を廃人にした…。冒険者続ける所か武器すらまともに握 れなくなったらしい…」
B「え?なにそれ、コワい…」
A「しかもギルマスに喧嘩売ってギルドから追い出したらしい…。目を付けられたら仕事を辞 める羽目になるからクビを切る、って事で死神って呼ばれてる(俺の中で…)」
B「マジやべぇ…((((;゜Д゜))))」
てな感じで、すでに一部の冒険者から2つ名を貰ったリアでした。




