27 夜襲
辺りは物音1つしないような真夜中。リアーナ雑貨店に何者かが近付いていた。
(明らかにこっちに向かってるなぁ。多分、昼間のおっさんのとこの刺客なんだろうけど…)
数は3人と少ない。狙いは商品か店を潰す事だろう。そんなに簡単にやらせるつもりは無い。というか、私が店内にいなければ結界がすべて守ってくれる。今回は面倒事を潰すために相手は捕らえる予定だ。
「シャドーマン。よろしくね」
『御意…』
新たに召喚していた『シャドーマン』に指示を与える。正直、敵だった時は厄介だったが味方になれば心強い。何しろ魔法耐性が高いくせに物理無効なのだ。こいつを倒す為に光魔法を覚えたと言っても過言ではない。
そろそろ行くか、と立ち上がり店の外へ出る。どうやら店横の路地にいるようだ。
「こんな時間に何か用かな?」
刺客3人は真っ黒い服を着ている。その上、顔も目元だけ出ている。ちょっと忍者っぽい。
「多分、昼間来た男の関係者だと思うけど、大人しく話す気はある?」
男たちは視線はこちらにやるものの喋りはしない。まぁ、見るからに裏の人間ですって感じだし喋ったりしないか。
「それじゃ喋りたくなるまで待とうかな?」
ニコリと微笑み魔法を発動する。その瞬間、男たちは絶叫した。
「く、来るなぁぁぁ!!」
「や、止めてくれ!」
「全部、話す!」
意外にあっさり白状する。しかし、夜中だ。近所の迷惑である。
「じゃあ、今から衛兵の所に行くけど良いよね?あ、ついでにお婆ちゃんも呼んでおこう」
シャドーマンで拘束したまま、真夜中の街を歩く。基本的にギルドは24時間営業らしい。しかも緊急時に備えてギルマスはギルドに寝泊まりしているらしい。
商業ギルドによってお婆ちゃんを連れ出して、一緒に衛兵の詰め所まで行く。
「すいません。うちの店がこの人たちに襲われまして…」
「それで捕らえてきたのか…。ん?リアーナ雑貨店の子か?」
「ええ。そうですけど?」
「そうか。妻が良い物を買ったとライターとやらを自慢してきてな」
「それは良かった」
そのまま衛兵に引き渡し、男たちから事情を聴く。予想通り昼間の男の命令で動いていたらしい。それさえ聞ければ他はどうでも良いので後はお任せした。お婆ちゃんと共にギルドに向かって歩く。
「しかし、随分すんなり話したね。訓練ぐらい受けてるだろうに…」
「ちょっと魔法で幻覚を見せたからかな?」
「何を見せたらあんなに素直になるんだい?」
「身動きできない状態で『アレ』をおっ起てたオークがジリジリと迫ってくる幻覚」
「………。あんた、鬼だね…」
お婆ちゃんは気持ち悪い物を想像したのかげんなりしている。まぁ捕まえた男たちからすれば、もう少しでオークと『アッー!』な展開だった訳だ。普通の人間には耐えがたいかも知れない…




