26 懐かしい顔
お婆ちゃんの用事はただ顔を見に来ただけじゃなくて、少し情報も持ってきてくれた。私が狩った獲物の素材についての問い合わせが来ている事や、貴族や商人たちから冒険者ギルドに高ランクの依頼が出され始めた、と教えてくれ、何故かライターを1つ買って帰っていった。
とりあえず第1段階はクリアだ。あとはしばらく待って、依頼が達成されず批判が来るまで高ランクの素材を流すだけである。
「とりあえず、さっきの男が強硬手段に出るかも知れないから、私は1週間ぐらい店に泊まるよ。ユリナは帰る時にリルと帰る様にして」
「リルちゃんですか?」
「その辺の冒険者よりは頼りになるから」
実力的に考えれば冒険者どころか軍でも相手出来ると思うけど。私は問題無いし、ユリナを人質に取ろうと考えるかも知れない。問題無いなら良いが、対策を立てずに何かあれば後悔するだろう。
その後、閉店してからユリナはリルを連れて帰っていった。いっそ家に住まわせても良いかも知れない。部屋は無駄に余ってるし、店からも近い。ドルトさんの許可は必要になるが…
「とりあえず今日はなんか食べに行こうかな…」
近いとはいえ、一度帰ってからというのは面倒だ。風呂は入りたいがしばらく拭く程度で我慢しておこう。
適当に店を探しながら歩いていると、見覚えのある人が見えた。
「あれ?もしかしてリアちゃんじゃね!?久しぶりー!」
「え!?ほんとだ!久しぶりー!」
やかましい。そして苦しい。おっぱいのせいで首が折れるかと思ったわ!
「すまんな、リアちゃん。今から飯か?良かったら一緒にどうだ?」
マルセアの街に来るときに会ったアランさんたちだ。1人で静かに食べようと思ったが、特に断る理由も無いので同行することにした。アランさんたちが良く来るという酒場に入った。
「調子はどうだ?ギルドの方では見かけないが?」
「今は冒険者じゃないよ。店やってる」
「店!?なんで!?回復魔法使えるんなら、どこのパーティも欲しがると思うんだけど」
「おい、リッツ。うるさい。周りの客に迷惑だ」
「同感。まぁ、何でと言われると仕事が出来なかったからだよ」
「…どういう事か聞かせてもらえるだろうか?」
アランさんが妙に真剣な顔で言ってきたので、周りに言いふらしたりギルドに文句を言わない約束で教えてあげた。
「何よ、それ!?横暴じゃない!」
「ああ。相手が実績のない新人とはいえ、冒険者をバカにしてるぜ」
「特に気にしてないよ。そろそろギルドにしわ寄せが来るだろうし」
「しわ寄せ?」
普段、お気楽で騒がしいレイファやリッツでさえ、怒った表情をしている。アランは元々割と静かなので変化は感じられない。
「そう。最近、高ランクの依頼が出始めてるんでしょ?しかも、この街の冒険者じゃ厳しいような…」
「確かに出ているが…。まさかリアちゃんなのか?原因」
「まぁ、そんな所。言わないでね」
やや沈んだ雰囲気にはなったが話題を変え、その後はなんとか楽しい雰囲気で食事が出来た。その後、店の事を聞かれ、レイファが絶対に行くと言って別れた。




