25 大商人?
メリッサさんが来てから数日。どこの世界でも主婦の情報網というのは凄いものなのか、女性客が大量にやってきた。もはや、ご近所さんでライターを持ってない家庭なんか無いのではと思うほどだ。掴みとしては悪くないがそろそろ消耗品の開発もしなければ…
他にも冒険者たちが何組かやってきた。素材の方を見て『ドラゴンの素材は無いか?』と聞かれた時は驚いたが、流石にドラゴンには遭遇していないし、素材の扱いに困る。そのうち店の事は冒険者ギルドにバレるだろうし、店の仕入れも自分でやっている事もバレれば、ドラゴンを狩れる実力があると思われる。恐らく、素材があってもバレるまでは店に出さないだろう。
ちなみに番犬として召喚しているリルは見事に魔力を抑え、店の隅で番犬兼マスコットをしてくれている。
その時、店のドアのベルが鳴った。入ってきたのはドルトさんよりもデカい腹をした男と厳つい感じの大男だ。
「ふん。おい、そこの店員。店主を呼べ」
「えっと、店主にどういった御用でしょうか?」
「お前みたいな小娘に話した所で何にもならん。さっさと呼んで来い」
奥の方でリルとまったりしてるとめんどくさそうな感じになってきた。とりあえず、ユリナを助けよう。
「なんか用?」
「ああ?なんだ、小娘。私はここの店主に用があるんだ。邪魔するな」
「そう。私と話すことが無いって言うなら帰ってくれる?営業の邪魔だから」
「ああ!?何様のつもりだ?小娘」
「ここの店主様だけど?」
見た感じ貴族ではない。そして体型を考えれば冒険者でもない。という事は恐らく商人だな。しかも体型と性格的に荒稼ぎしてるタイプの…
「ここの店主だと?はっ、そうか。ちょうどいい。この店と商品の流通ルート全てを私に売るんだ」
「はっ?」
「こんな所でこんなしょぼい店を出してるんだ。金に困ってるんだろう?全部、私が買ってやろう。良い話だろう?」
うん、多分金に物を言わせて事を進めるバカなんだろう。
「別にお金に困って無いし、売る気も無いよ。交渉は決裂だね。さっさと帰って」
「ふ、ふざけるなよ!そ、そうだ!私はこの街では名の知れた商人だ。ギルドマスターに掛け合ってこんな店、潰してやる!」
「ほぅ…。面白い話をしてるじゃないかい?店と流通ルートの買取に私の肩書を使っての脅迫かい?」
知らない間にお婆ちゃんことギルマスのアマンダが店に入ってきていた。
「それに仕入先や流通ルートを無理やり聞こうとしたり、商売の邪魔したりってのは規約違反だった気がするがねぇ」
「ぐっ…。おい!帰るぞ!」
連れていた大男を引き連れ、おっさんは帰っていった。
「ったく、開店してから顔を見せないから様子を見にくりゃ妙な現場に出くわしたもんだ」
「助かったよ、お婆ちゃん」
「あんな相手なんとでもなるだろう?」
「いや撃退したら、アレ絶対金に物言わせてなんかしてくるじゃん…。私に襲われたーとか言って衛兵連れてきたり…」
「やりそうだねぇ…。あいつ、証拠の類ももみ消してるみたいで面倒なんだよねぇ…」
とんでもない悪党もいたものだ。あの感じだと近い内に何かやってきそうだ。




