136 田植え
2週間程が経ち、死ぬ可能性があるからか訓練はあまり進展せず、未だ2体で続けている。そんな中、勇者たちがマルセアに帰って来た。
「おーい。いないのかー?」
「お帰りなさいませ」
「うおっ!?ビビった…」
「勇者とあろう者がこのような事で驚いていては、リア様にまたしごかれますぞ」
リアの屋敷を訪れた天翔たちの背後に、音も無くセバスが現れた。
「黙っててください。それとその本人の師匠は?」
「自身の修行で少し疲れたから、土地を買って、タウエ、と言うのをすると子供たちを連れ、街の南の方に行っておられます」
「は?田植え?」
セバスに地図を描いてもらい、その場所に向かった天翔たちは驚愕の光景を目にした。
周りに何も無い街の外れに田んぼがあった。
「ん?あれ?帰って来たの?」
「おい!?何でこんな所に田んぼがあるんだ!?」
「作ったからだけど?」
「この世界、米があるのか?」
「あるよ。苗も貰ってきた」
金に糸目を付けぬとばかりに大金を払って、米農家から少しずつ買って回った。
一家庭当たり金貨5枚くらいは払っているだろうか。この世界においては、農業用の機械なんかは無いので、それほど金は使わない。金貨5枚もあれば数年は遊んで暮らせるだろう。まぁ1度、両替の為にどこかの街に行く必要はあるだろうが。
「しかし、今まで見た事無かったぞ?」
「あー…、私も偶然発見した。牛の飼料用に育ててるみたいでね。味は分からないけど、とりあえず育てる。で、食えない様なら改良する」
「いや、品種改良とかって手間なんじゃ…」
「魔法の力で一瞬でしょ」
正確には植物系の召喚獣に頼む訳だが…。ドリアードとかアルラウネとかなら、なんとかしてくれるだろう。気候とか土壌とか色々、問題はあるが駄目だったらその時はその時である。
「米の世話の仕方とか知ってるのか?」
「テレビとかで結構やってたじゃん。ほら、アイドルグループが農業とか開拓やってるやつ」
「ああ、アレか。1人減って大変そうになったよな」
「え?何それ?知らないんだけど」
あのグループの1人脱退でもしたのかと思ったが、どうやら捕まったらしい。私の知らない数年でそんな事になってたなんて…。あと数年もしたら番組、終わってるかな?いや、こっちと向こうで時間の流れが違う可能性もあるし…、いや、違った所で私の体、もう無い可能性があるな。
たまには天翔の名前にルビをふっとかないと…
ぶっちゃけ名前ミスりましたかね?ちょっと面白くと思って天翔とかいて、かけるですが、つい『かける』と入力して出ない事に気付いて、打ち直します。
昔は辞書みたいな機能で、こう打ったらこう出る、みたいなのがあったんですが…
『やまだ』と打ったら→(@´・ω・@)みたいな…




