109 模擬戦の誘い
「あれ?リアちゃん?」
王様と騎士団の訓練を眺めていると、声をかけられた。ダンジョンであった4人組。つまりは勇者一行である。
「彩音だよ。ダンジョンで会ったの覚えてる?」
「覚えてるよ。そもそも会ったのって一昨日の夜だよ?」
「ああ、そうなんだ。ダンジョンの中って時間分からないんだよね…」
「その辺は感覚で覚えるしか無いよ」
「で、何で国王と一緒にいるんだ?」
今かよ…。普通は王様の方に目が行くでしょ。なんで私なのよ?
「なに、優秀な冒険者がいると聞いてな。ちょうど王都にいると言う事で来て貰ったのだ」
王様ナイス!それで通そう!
「ダンジョンから帰ったらお迎えが来ててね。さっき謁見が終わって、案内してくれてるんだ」
「何故、国王自ら?」
「私が個人的に気にいったのでな。私自ら案内しているのだ」
「そうでしたか」
「優秀な冒険者って事は強いんだよね?ちょっと模擬戦しない?」
彩音が急にそんな事を言い出した。正直、面倒。けど、個人的に勇者一行の実力は気になるな。分析魔法では見えないし、体感すれば大体の実力は分かるだろう。
「良いけど、私強いよ?」
「そうこなくちゃ。正直、オリバーさん以外相手にならなくて」
そりゃそうだ。騎士団長とギリギリの勝負してるって言うのに、他の団員に負けないでしょ。どんだけレベル差あると思ってるの?いや、聞いたのは勇者だけだっけ?この子の実力がどの辺かは聞いてないな。まぁ、あのダンジョンにいたし、前衛職だし、勇者に近い実力はあると見るべきかな。
「ついでに勇者君…天翔くんだっけ?一緒にどう?」
「訓練か?そうだな…。一緒にやろうか。僕もオリバーさん以外の実力者は気になるしね」
これでついでに勇者君の実力も分かるな。残りの2人は大体分かるし、これでパーティの実力も分かるな。
さて、前回の勇者は弱かったって玉藻が言ってたけど、今回の勇者はどうかな?まぁこっちに来てそんなに経ってないだろうし、そこまで期待はしてないけど…。




