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風紀の悪魔(仮)  作者:
3/7

委員会役員決定会議

 5月は一年を通して大して目立たない月であろうが、俺はこの時期が一番好きだ。快適な気温、周期的に巡る天気、そして周りの奴達から孤立し始める俺……。それはさておき、新入生が入学してどこか浮ついていた学校の空気が落ち着き始め、グループが出来上がりつつある時期でもあるわけで、だからこそなのか、委員会決めの時期でもある。各委員会は男子一人、女子一人、計2人ずつ選出される。基本的に最低1人選出されればいいので、無所属の枠が生まれる。中学の3年間は無所属を貫いてきた。今年も無所属のつもりだ。50分かけられるこの委員会決めは、話し合いに参加するやつには有意義な時間らしいが、俺には無論、無駄な時間である。先日の一件のせいでここ最近、ずっと寝つきが悪い。こんな無駄な時間は居眠りに限る。というか、しようと思わなくてもしてしまう。


 授業終了のチャイムの音で起きた。こんな教室からはさっさと退散して、家に帰ろう。あらかじめ帰宅の準備はしておいたので、バッグを持ち上げて足早に教室を出ようとした矢先


 「寺下クン、帰っちゃダメよ」


 「え」


 一週間ほど教室でろくにコミュニケーションをとらなかったツケなのか、頭が一瞬真っ白になった。が、よく考えると、この声には聞き覚えがある。担任の桜田先生だ。しかしながら、俺はこの人に呼び止められる筋合いが無いはずだ。まさか、あまりにも喋らないから、親を呼んで三者面談なんてことは無いだろう。なら何故だ?と頭がグルグル回っていた。


 「え、じゃありません。委員会、サボっちゃだめよ。」


 「え」


 別に、()という発音しかできないんじゃない。ただ、脳の回転が追いつかないのだ。


 (委員会? 何のことだ?)


 そして、新たに、またまた聞き覚えのある声が近づいてくる。


 「かずとー! 帰っちゃ駄目だー!」


 今日は運が良いな! 女性に2回も話しかけられたぞ!


 「まったく、なんでいつもすぐ帰っちゃうんだ?」


 「ってなんだ、お前か……」


 「いきなり失礼な奴だぞ……」

 

 田上 惹鶴(たなかみ  ひづる)。親同士が仲が良く、小学生のときからの付き合いであったが、別々の中学校に進学して以来話すのは初めてで、こいつが俺のことを覚えていたのはもちろんだが、自分でも覚えていたのは驚きだ。おっと勘違いしないで頂きたい。女性とコミュニケーションがとれないと言ったが、俺の中では、彼女は女性のカテゴリに含まれない。確かに生物的な分類上は女性に属するかもしれないが、俺は彼女の女性としての魅力を貶しているわけではなく、むしろ敬意を持って真剣に付き合うために、女性として見ないようにしている。これが俺なりの誠意なのだ。だが、高校に上がってからというもの、一言も話してなかったな。好かれてるとは思ってないが、距離を置かれているように感じる。


 「委員会、早くいかないと遅れるぞ!」


 「だから、委員会って何の話だよ! 俺は参加するつもりなんて……


 と言いかけながら黒板の方に一瞥した。そこには、桜田先生の細くて綺麗な字で、



 風紀委員―――――寺下 田上



と書かれていた。もう一度惹鶴の方に目をやった。明らかにこちらから目を逸らしている。なぜか口笛を吹いている。いや、吹こうとしているのか、口をすぼめてスースー空気を吸っている。そうか、分かったぞ。風紀委員は毎朝、朝早くに登校し、校門前であいさつ運動の呼びかけや服装の乱れをチェックしているところを見たことがある。あいつら……面倒な役だけ押し付けやがって! 少しでも信用したらこれだ! 誰でもないあいつら(・・・・)を恨むことしか出来ない自分が情けない。


「惹鶴、なんで俺の名前があるんだ?」


「あ……その、だ、誰かがかずとを推薦してな? それに皆賛成したんだぞ! いやぁー、かずと暗いけどしっかりしてそうだもんな! 」



「その信用はどこから来てるんだよ」

ついさっきの自分の言葉を思い出す。盛大なブーメラン的発言である。


「今日はよく喋るし元気だな、かずと……?」


不安そうな目をしている。妙に気を使った。


「い、委員会は嫌だよ。で、お前も押し付けられたのか?」


 「偶然空いてたんだ! 偶然! ほら、風紀委員ってなんかカッコ良くないか? 学校の風紀を守るんだぞ! ……もしかして迷惑……か?」

 

「いやいや、そんな事はない。むしろ久しぶりに人と話せて良かったぜ」


「……!」


 一瞬、惹鶴の目が見開いたように思えた。


 「委員会、一緒になれて良かったな! 頑張ろうな!」


声が小さかったのか、どこが、という質問は無視された。


 「お、おう……」


 サボってやろうとも考えたが、恐らく天井の蛍光灯のせいで、惹鶴の目が輝いている様に見えて、前を歩いて行ったその細いのだが大きくなった背中について行ってしまった。が、少し距離を詰めるとあからさまに距離を開けるために歩調が速くなっていた。


 (やっぱり避けられてるな……)



 


 

 

眠い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!zzz

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