お出かけ3
それから10分後。
落ち着きを取り戻したおれは再び観察をした。
スズメのような鳴き声。
ウサギのような耳。
鳥のような体。
鳴く時口を一切開けない。
なんだこいつは(再び)
そうこうしている間にルイリはこいつがかわいくなってきたようで。
さっきから撫でまくっている。
あれだけはじめは距離を取っていたのに、いまは触りまくっている。
本当、女性ってのはかわいいものにこうも弱いのか不思議でならなかった。
「ね、ホウ。この子に名前つけない?」
急にルイリが言い出した。
おれは反対だ。まず得体がしれないし話を聞く限りこんな凶暴なやつそばに置きたくない。
「いやだ」
おれは断固拒否の姿勢で話していたため。
話がかなり長引いた。
それから数十分話した後
「きりがないわね、ここは平等に一つ腕相撲でもしましょうか」
この筋肉はいったい何を言っているのであろうか。
先ほども説明した通りこいつは隆起あるすごく綺麗な筋肉をつけている。
そんなやつ相手に勝てるわけがない。
「どこが平等だ。自分の体を見てから言ってほしいもんだよ」
突然寒気がしたかと思うと
ルイリを中心にどす黒いオーラ、いや、熱気が出ていた。
「まだ言ってるの?」
おれは焦りに焦り、冗談だとごまかしまくり成功した。
「それじゃあ、じゃんけんでいいでしょ?」
そもそもこの世界にじゃんけんがあるのにびっくりした。
意外といっしょなのかと考えていた。
「それじゃ、じゃんけんポイ!」
ホウ→グー
ルイリ→チョキ
「残念だ、おれの」
「やった!勝ったわよ!これでこの子飼うことに決定!」
ルイリの言っていることが訳が分からなかった。
不思議に思い、おれは自分の手を見た。
なぜか手が開いている。
閉じようにも閉じれない。
握ろうにも握れない。
「ルイリ。なんかおれの手が変なんだけど」
冷や汗を流しながらルイリはなっていない口笛を吹きながら言った。
「...何のことかしら?」
どう考えてもおかしい。まず動かそうとするとなぜか激痛が走る
それにおれの手になぜか人のような指の跡がついているのだ
「なあルイリ、飼ってもいいからさこの手なおしてくれない?」
「ほんと!?流石ホウね!そんなのすぐに治してあげるわよ!」
確信犯だこいつは。
その後おれはこれも魔法の一種なのかは知らないが手を治してもらった。
「で、名前は何にするんだ?」
「実はじゃんけんする前から決めていのよ。」
「ふむ、で?」
「とり」
「?」
「とり」
「何言ってんのお前」
ルイリは何のためらいもなく鳥のような奴を{とり}といい始めた。
「だってこの子の本当の名前、トバッチリオンって言うのよ?だから、とりにしたの」
ダメだこいつ。
「とり以外の選択肢はないのか?」
「ないわね」
非常に困った。
ここで、また討論になるとおれの手がいかれてしまうかもしれない。
「…じゃあそれでいいんじゃないか」
「さすがホウね!よくわかってるわ!」
そう言わざるを得ない状況を作る筋肉は怖いです。
「私はとりと遊びたいからちょっと外でも行ってきたら?
昨日からずっと家にいっぱなしじゃない」
そう言えばそうだ
昨日色々あったため外がどんな世界か、どんな風景かもなにも知らなかった。
「そうさせてもらうよ」
「夕方までには戻ってきてね。話したいことがあるから!」
「了解しましたー」